ビジネスモデルからブラック企業とホワイト企業を見極める方法

本を読むYシャツ姿の男性

就活コンサルタントとして就活生の相談に乗っていると、ブラック企業とホワイト企業の見極め方をよく聞かれます。

この記事では、ビジネスモデルの観点からブラック企業とホワイト企業を見極める方法をご紹介します。

ただ安いだけだとブラック企業になりやすい

「安くて良いものをたくさんの人に届けたいんですよね」と言えば、世間的にはとても良いことを言っているかのように思えます。

良いものをこれまでよりも安い価格で提供すれば、確かにお客様に喜んでもらえるでしょう。

ただし、何も考えずに単純に価格だけを安くして市場に供給すると、その会社はブラック企業になりやすいと言えます。

だから、安く提供しても同業他社と同じだけの利益を確保できる理由があるかを見極めることが大切です。

もしそういった理由がないのだとしたら、ブラック企業である可能性が高いです。

なぜ安くて良いものを提供するとブラック企業になるのか

大量に顧客が押し寄せれば経営としては上出来のように思えますが、実はそうでもありません。

例えば他の学習塾が月謝を40000円で請求している地域で、あなたの勤める塾が20000円で同じ内容のサービスを提供したとします。

どちらも同じビルの1室に入っており、生徒を収容できる人数は建物の都合上60人までとします。

人件費・カリキュラム・合格実績も同じで建物の固定費が月に50万円だとすると、どちらの塾にも60人の生徒が入った場合、塾で働く先生の給料はどちらの方が多く出せるでしょうか?

もちろん月謝を40000円で請求している塾の方ですよね。

単純計算で月に240万円の売り上げがあり、建物の固定費を引いても190万円残ります。

変動費や特別損失を考えない場合、ここから人件費を出せますが、20000円で同じ内容のサービスを提供すると月に120万円しか売り上げがないので、建物の固定費を差し引くと70万円しか残りません。

単純に価格だけを下げて他社と勝負しようとするとブラック企業になる

上記の例だと、月謝が40000円の塾は社員に最大190万円出せますが、月謝が20000円の塾はたったの70万円しか出せません。

この例で分かる通り、働く社員の業務量は変わらないのにもかかわらず、売り上げや利益が少ない会社の方が社員は厳しい労働環境の割には賃金が少なくなるという事態が発生するのです。

もし仮に月謝が20000円の塾が月謝が40000円の塾と同じだけの給料を先生に払うためには、あと60人追加で生徒が必要です。

そうすると、生徒のフォロー、添削、指導、親のクレーム対応などの社員の業務量は倍になり、手間が今までの倍かかります。

きつい深夜残業で社員はどんどん疲れ、次第にサービスの品質が落ち始め、もっとクレームが増え始める……。

これが値下げの恐ろしさです。

安くサービスを提供してもブラック企業にならないケース

このように、単純に値段を下げて薄利多売で稼ごうとするビジネスモデルにするとブラック企業になりやすいと言えます。

「お客さんからお金をたくさん取るのは気が引ける」という経営者の心の弱さや高価値で売ろうとしない怠慢は従業員のハードワークという形で襲い掛かってくるのです。

ただ、値段を下げる代わりに技術や生産性の向上などによって人件費以外のコストを削減できる場合は十分な人件費を保ったまま競合店よりも安い価格でサービスを提供することが可能となります。

その最たる例がIT系の会社です。

労働集約系ではなくレバレッジの効いた事業を展開しているので、顧客が増えても固定費が増大しません。

こういった事業体では、安くサービスを提供しても会社自体はホワイトなまま成り立ちます。

ホワイト企業のビジネスモデルは高収益・高集客

値下げをすることで集客をすることは経営における最後の手段です。

スターバックスは競合店よりも高い価格でドリンクを売っているのに、行列ができています。

これはブランディングやマーケティングを通して高収益・高集客を実現できるように努力して単価を上げているからに他なりません。

ホワイト企業を見極めるためには、高収益・高集客を実現できるビジネスモデルがその会社にあるかをチェックしましょう。