就活では面接やグループディスカッションと併せて小論文が課されることがあります。
小論文では400字から800字程度でテーマに対して自分の考えや主張を端的に説明することが求めれられます。
大学生活で小論文を書く機会はあまりないと思いますので、正しい書き方が分からずに悩んでいるかもしれませんが、この記事では小論文に悩まされているあなたのために小論文の構成の仕方や頻出テーマ、例文までを分かりやすく説明していきます。
小論文と作文の相違点
小論文と作文の特徴は以下のようになっています。
- 小論文:あるテーマに対して自分の意見や見解を述べ、その理由と根拠を筋道立てて説明する文章
- 作文:ある出来事に対して自分の感想を述べる文章。表現の上手さや感性の豊かさなどが問われる。
マスコミや公務員などといった業界などでは小論文が必要とされることが多いので、早めに対策を始めましょう。
どのような力を見られているのか?
業種や企業によって就活生に小論文を書かせる目的は多少変わってきますが、ここでは主に小論文で求められている能力を3つ紹介します。
①文章力
まず第一に挙げられるのが文章力で、基本的な日本語の使い方がマスターできているかを見られているということです。
語句や助詞が正しく使えているかはもちろん、主語と述語が一致しているか、誤字や脱字がないかなどがチェックの対象となります。
一見当たり前のことのように思えますが、正しい日本語を使えるかは仕事においても重要なことであり、社会人の基本ですので、これができていないと「あまり頭がよくないのかな?」と判断されてしまいます。
②論理的思考力
論理的思考力は小論文を書く上で最も重要な力の1つであり、この力を求めている企業は非常に多いです。
論理的思考力とは因果関係を整理し順序立てて考えること、またそれを分かりやすく説明できる力のことを言います。
ビジネスの世界においては論理的思考力は様々な場面で役に立ちます。
例えば、何か問題を解決するための解決策を探すときや、クライアントに物事を提案するとき、社内のミーティングで上司などを説得するときなどが挙げられます。
特に外資系企業やコンサルティング業界では論理的思考力を重視する傾向が強く、色々な方法で就活生を試しているのです。
③人物像・人間性
3つ目に挙げられるのが人物像です。
文章力や論理的かどうかといった形式的な部分だけではなく、テーマに対するあなたの考えそのものから浮かび上がってくる人物像や人間性も評価のポイントとなります。
あまりにも反社会的な考えや常識とかけ離れている発想が見受けられた場合は企業側から要注意人物とみなされてしまう恐れがあります。
会社は組織であり、少なからずチームとして動くことや協調性が求めれられる場ですので、それが危ぶまれるような記述は避けるのが無難です。
小論文の基本の構成
小論文とはどういうものなのかをある程度知れたところで、ここからは実際に小論文を書くためのノウハウを説明していきます。
小論文は論理性や相手に分かりやすく伝えているかどうかが重要視される文章ですので、文章の構成をきれいに整えることは必須です。
そこでマスターしていただきたいのが序論→本論→結論の構成です。
このスタイルは小論文を書く上で一番基本的な構成であり、この型をを押さえていれば小論文がグッと書きやすくなりますので、まずはこの型をマスターできるように練習してみましょう。
序論
文章の冒頭の部分に当たる序論には、文章全体に対する10%~20%くらいの文量を割きましょう。
序論の段落ではテーマに対するあなたの意見や問題提起、つまり、あなたが一番言いたいことを最初に簡潔に言ってしまうのです。
最初にあなたが一番言いたいことを書かないと、読む側は書き手の主張を探るような形でその先の文章を読んでいくことになります。
小説などの場合は、あえて最後まで大事なことを言わずに、読者に感動や衝撃を与えるといった文章の書き方をすることもありますが、小論文の場合はいかに分かりやすく伝えるかが大切ですので、言いたいことを最初に書くのです。
本論
本論は文章の中でもメインとなる段落であり、文章全体の60%~80%がこれに当たります。
本論では序論で述べたあなたの意見や考えを読み手に納得してもらうために序論を正当化していきます。
あなたが持っているテーマに関する知識や情報を持ち出して、あなたの意見や考えの根拠を具体的に挙げていきましょう。
また、具体的な事例としてあなたがこれまでの人生で経験したことが盛り込めると独自性が増すのでお勧めです。
結論
結論部分では序論と本論で述べたことをまとめながら、最後にもう一度結論を述べます。
文字数は全体の10%~20%程度が目安になります。
結論を書く上で大切なのが、これまで書いてきた内容と一貫性を持つように書くということです。
結論はあくまでもこれまでの内容のまとめと主張の念押しですので、新しい論点や今まで全く触れてこなかった話を出すのはNGです。
小論文を書く時に気を付ける3つのこと
小論文の構成について学べたところで、小論文を書いていく過程で特に気を付けていただきたいことを説明します。
これができているかどうかで完成度が大きく変わってきますので、自分で書くときには注意深くチェックしてくださいね。
①論点を明確にする
論点とはそのテーマに対してあなたが最も重要だと考える問題点のことを指します。
論点がずれていたり多すぎたりすると支離滅裂な文章として捉えられてしまいます。
論点を正確に捉えているかは論理性を保つ上で非常に重要なことなので、ぜひ意識するようにしてください。
では、日常会話を例に、論点がずれているとはどういうことか実際に見てみましょう。
この会話の例では「美味しいアイス」を論点としていたのに、論点が「アイスの値段」に変えられてしまっています。
小論文では、設問文で示されている論点とずれていることを書くと大幅減点になってしまいます。
また、論点と意見に一貫性を持たせることも重要です。
こちらも1つ例を見てみましょう。
【論点】「人生で最も重要なことは何ですか?」
【意見】「人は美味しいご飯を食べるときに一番幸福を感じられます。」
これでは論点に対して主張されている内容が答えになっていませんよね。
論点に対して意見がずれていないかも重要なポイントです。
②指定文字数の9割以上は書く
これは絶対に守らなければいけないルールとも言えるかもしれません。
「文章は量ではない! 質だ!」と思うかもいるかもしれませんが、そもそも就活の小論文なんて大した文字数が課されるわけではありません。
それにもかかわらず半分くらいしか埋まっていないと、内容が薄いとしか判断されません。
説得力のある文章にするためには、事前に構成をしっかり練った上である程度の文量を書きましょう。
③自分の立場をはっきりさせる
これは、あるテーマに対して中立な立場をとるなということです。
小論文には絶対的な正解は存在しません。
「言い部分もあるし、悪い部分もあるなぁ。」
「こっちもいいけどあっちもいいな。」
といった優柔不断さは小論文では必要ありません。
中立の立場で文章を書いても、結局あなたの言いたいことが何なのかが最後まで伝わらない文章になってしまいます。
もちろん、本論の中で対立する意見や異なる見方を提示するのはテクニックの1つですが、大切なのはそのような反対意見を踏まえた上で、なお自分の主張が正しいと納得させることなのです。
「どっちとも言えるな……」と思ったときでも、文章を書く上では自分の立場を明確にしましょう。
頻出テーマ一覧
就活の小論文では企業によって出題されるテーマは様々です。
ただし、ある程度オーソドックスなテーマというもはありますので、まずはそこから練習していくと良いでしょう。
ここでは3つの分類に分けて頻出テーマを紹介します。
企業に関するテーマ
- 営業職になる上で心掛けたいこと
- ○○株式会社で働く上で最も大切な力は何か
- 商品の売上を向上させるにはどうすればよいか
- 業界の課題は何か
- 会社があなたに求めると思う事[/aside]
過去に関するテーマ
- 自分が最も成長したと感じる出来事
- 今までに最も打ち込んだこと
- 一番感動したこと
- 学生生活で学んだこと
- これまでに苦労したこと
未来に関するテーマ
- どのような社会人になりたいか
- 将来の夢は何か
- 入社してから実現したいこと
- やってみたい仕事はあるか
- 1年後の自分がどうなっていたいか
社会問題や価値観に関するテーマ
- 少子高齢化社会に対してどうしていくべきか
- 人権問題についてどう思うか
- あなたの就活の軸は?
- 人生において一番大切なものは何か
小論文の例文
最後に、実際に就活で書かれた小論文をご紹介します。
ここでは文章の構成が分かりやすいように序論・本論・結論で区切って載せています。
どのような軸で就職活動を行っていますか(400字)
【序論】私は優秀な人と働ける環境を考えて企業を選んでおります。
【本論】私が優秀な人と働きたいのは、切磋琢磨し自分を成長させ、より大きな成果を残すことができると考えたからです。そう思ったのはゼミでの勉強を通してです。私はゼミを選ぶ際に教授と生徒の優秀さでゼミを選びました。ゼミに入ってからは厳しい指導の下で、生徒たちと競い合って自分は大きく成長できたと考えております。特に、夏と冬に2つの論文を書けたのは周囲のおかげだと断言できます。正直私は、ゼミに入った当初、テーマであるゲーム理論について深く理解できていませんでしたし、ゼミでの勉強の内容がとても難しくついていくのが大変でした。しかし、優秀な仲間に対するライバル心と先輩からのサポートがあったからこそ勉強を続けられ、最終的には論文を書くことができました。
【結論】このことから、私は優秀な人がいる環境なら様々なことを学ぶことができると思い、就職活動の軸としております。
この例文のように400字という限られた文字数の中でも、構成がきちんとしていれば分かりやすく説得力のある文章が書けるということが分かっていただけたかと思います。
練習しよう
小論文と聞くと手強そうなイメージを持ってしまいがちですが、要は自分の主張を相手に分かりやすく、かつ論理的に伝えることができればOKです。
文字数や文法、論点にずれがないかを意識して文章の構成を整えることもお忘れなく。
ただ、この記事で小論文の書き方を学ぶだけで満足するのは危険です!
方法を知っているのとそれができるかは別です。
ここで得たノウハウを参考に様々なテーマの小論文を自分で実際に書いてこそ、小論文を書く力が身につきます!
この記事を参考に、とにかく書きまくって就活の小論文を完全攻略してくださいね!