内定率とは?2020年就活生の就職活動と内定率の推移

最近の大学生の内定率はどうなっているのでしょうか?

2020年卒の就職活動は、空前の売り手市場と言われています。

内定率も過去最高のペースで上昇しています。

そんな売り手市場ですが、その中でも苦戦している就活生は多くいます。

今回は内定率の定義や内定率の推移、最近の就職状況や2020年卒の大学生の内定状況などを解説します。

さらに、苦戦している就活生の視点に立って就活成功のための戦略をアドバイスしていきます。

就活に苦戦している人必見です。

この記事を書いた人:「ホワイト企業への道」編集部

編集長の白河を筆頭に、「人材紹介会社や大学のキャリアセンターでは教えてくれない、就職活動の本当の情報」を書いていくライター集団。

人材紹介会社の不都合な真実を暴き、就活生・転職者のために役に立つ情報だけを徹底的に公開していく。

内定率とは?その定義はどんなもの?

内定率と一言にいっても、実は多様なデータが世の中には存在します。

最近、売り手市場で内定率が上がってきているのは何となく理解できますが、一体その定義はどういうものでしょうか?

大学生の内定率データとは?

就活生が一番気にする内定率というのは、そもそもどんなものなのでしょうか?

メジャーなものとして、文部科学省と厚生労働省が発表する「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」や、就職ナビサイトを運営している会社が独自に行う調査などがあります。

また、各大学が独自に発表している内定率のデータなどがあります。

実はこの内定率というもの、少し複雑な定義があります。

基本的には、

「内定出来た人の数 ÷ 就職希望者数」

で表されますが、問題は「データのサンプル数がどのくらいか?」「対象大学がどこか?」「就職希望者数とはどんな大学生か?」という事によってデータに差が出る点です。

特に就職希望者数というのは、変動してしまう数字です。

例えば就職を希望していた大学生が、就職のために敢えて浪人した場合、就職希望者数から減らされます。

つまり就職を諦めた人は、データ上最初から就職を希望しなかったように見えるのが内定率の微妙な点です。

また、データの対象大学が就職に強い大学に偏っているとしたら、そもそも信頼性に疑問が生まれます。

文部科学省と厚生労働省の定義

文部科学省と厚生労働省は定期的に大学生などの内定状況を集計して発表しています。

元になるデータとしては、設置者・地域の別等を考慮し、文部科学省・厚生労働省において抽出しているとのことです。

対象大学数は、国立大学21校、公立大学3校、私立大学38校、短期大学20校、高等専門学校10校、専修学校(専門課程) 20校の合計112校となっています。

引用: 文部科学省 平成30年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(10月1日現在)

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/11/1410969.htm

同じく、文部科学省の「公立大学について」という調査によると、平成29年5月1日時点での大学数は国立86校、公立89校、私立604校となっています。

このデータと前出の文部科学省の調査対象大学数のデータを比較してみると、各大学の調査対象比率は、国立約24%、公立約3.4%、私立は約6.3%であり、本当に実態を表しているのだろうかという疑念も湧きます。

さらにその中で国立大学の比率が大きすぎるのは問題です。

国立大学生の内定率が良いのは当たり前で、実勢の内定率はもっと低いことが考えられます。

調査対象をむやみに変更することは出来ないのでしょうが、文部科学省の力を持ってすれば全数調査は可能なはずですが……

引用:文部科学省 公立大学について

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kouritsu/index.htm

内定率と学校基本調査の矛盾

文部科学省が平成29年5月19日付で発表した平成28年度大学等卒業者の就職状況調査によれば、就職希望者に対する現時点での就職者の割合、つまり内定率は97.6%でした。

引用: 平成28年度大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在)

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/05/__icsFiles/afieldfile/2017/05/19/1385998_1.pdf

しかし一方、文部科学省の学校基本調査によれば、平成28年3月に卒業した大学生559,678人のうち、正社員での就職者は398,979人であり、進学者は61,521人でした。

正社員で就職するつもりで見事就職できたのは89%であったということです。

つまり、内定出来た人は96.7%にも及んでいるものの、実際に正社員で就職した人は89%であったという事です。

この差は、そもそも統計の土台が違うという事です。

同じ国の統計でありながら、内定率は国立大学に偏った統計を取り、実際に卒業するときの進路データとしては全大学のデータを取るためです。

ここに就活生が惑わされる要因があります。

引用: 文部科学省 平成28年度学校基本調査(確定値)の公表について

http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2016/12/22/1375035_1.pdf

ここら辺の数字の矛盾が世の中で叫ばれているため、文部科学省は各大学に対して計算式や表現の統一を呼びかけていますが、その隔たりはなかなか無くならないようです。

引用: 文部科学省における大学等卒業者の「就職率」の取扱いについて(通知)

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/gakuseishien/1343017.htm

大学や専門学校のパンフレットの数字

大学や専門学校が独自に発表する内定率の一部には、さらに怪しげな数字もあります。

例えば、「内定出来た人の数」を内定会社数にして水増ししたり、就職希望者数の中から内定しなかった人を削除したりして、分母の数を減らして内定率を上げようとするものです。

これらは、全く困ったものです。入学しようとする人に対して判断を誤らせることにつながります。

しかし、これが少子化時代に入学者を何とか獲得しようとする大学や専門学校の広報活動の実態と言えます。

あまり鵜呑みにしない方が良いでしょう。

就活生は内定率をどう見るべき?

このように内定率や就職率というものは、統計の取り方によってどうとでも変化するものであるという事が理解できます。

そんな状況を、就活生はどう捉えるべきでしょうか?

確かに近年の内定率の上昇は就活生にとって追い風ですが、内定が取れない学生にとってはとても重いプレッシャーです。

しかし、統計はどう変化しようと、必要なのは自分の内定です。しかも出来るだけ行きたい企業への内定です。

世の中の状況は知る必要はありますが、余りそれに振り回されずしっかり自分の1社をゲットしていきたいものです。

就職ルールに振り回されない

嘘と言えば、就職のルールも形だけのものになりつつあります。

大企業の多く参加する経団連では就職活動期間のルールを定めています。

3月に広報活動解禁(会社説明会など)、6月選考解禁、10月内定というスケジュールですが、経団連に加盟していない中小企業や外資系企業やIT企業などはこのルールに従う必要はありません。

多くの業界で人手不足が叫ばれている時代ですから、我先に優秀な人材を確保したい企業はいち早く学生にアプローチしてどんどん内定を出しています。

経団連加盟企業さえもルールを破る企業も出始めています。

そもそも、このルールは学生に学業に専念させるためのものでした。

つまり学生のためですが、新ルールでは実質的な活動期間が短くなり、短期間に多くの企業を見てエントリーシートや履歴書を提出し、面接を何度も受けなくてはなりません。

現代では、就職ナビサイトを使って多くの企業にエントリーすることが簡単になったため、学生も企業も大忙しです。

大学生としては自分に最適な企業を選ぼうとするため、経団連に加盟する企業だけでなく、中小企業や外資系企業にもチャレンジしようとします。

すると結果的に就職活動は長期化しているわけです。誰のためのルールなのか、わからなくなっています。

直近数十年の動向

1991年のバブル景気崩壊以降、日本は長期の平成不況が続きました。

その後内定率も徐々に回復したかに見えましたが、2008年に発生した「リーマンショック」を引き金にした金融恐慌で、一気に内定率が下がりました。

その後2011年を底として6年間連続で上昇しています。当面はこの傾向が続くと見られています。

就職内定率は、その時代の景気に激しく左右されます。

不景気な時代に就職活動を体験した学生は、運が悪いとしか言いようがありませんね。

2018年卒大学生の内定状況

全体の状況

2018年卒の大学生の内定率も好調です。

文部科学省の平成29年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査の10月1日時点での数字によると、内定率は75.2%で、前年同月に比べて4.0ポイント上昇しています。史上最高のペースです。

男女別、文系・理系別の内定状況

男女別では、男子が74.5%(前年比5.2ポイント増加)、女子が76%(前年比2.4ポイント増加)となっています。

国公立大学は男子73.8%、女子72.7%、私立大学は男子74.7%、女子77.1%となっています。女子が堅実に内定を取っていることがうかがえます。

文系・理系別では、文系が74.4%(前年比3ポイント増)、理系が78.6%(前年比7.9ポイント増)となっており、理系の伸びが注目されます。

理系の内定率が高いのは、学生数に対して求人数が多いのと、就職活動の期間が比較的短期間で済むためです。

理系学生の多くがゼミの教授から直接企業の斡旋を受けられます。

理系の教授は研究分野などで企業とのパイプが太く、企業に対して学生を強く斡旋する力を持っています。

そのため、教授から推薦を受けた学生は段階数の少ない試験や面接を受けて内定していきます。

教授から推薦を受けた時点で半ば内定は決まっているような場合も多いようです。

地域別の内定率

地域別としては、関東地区が最も高く79.8%(前年比0.1%増)、中国四国地区が最も低く58.8%(前年比13.8%増)となっています。

相変わらず企業数が膨大にある関東地区の内定率が良いものの、その伸びは少なく、その他の地方の方が、伸び幅が大きいのが特徴です。その背景には景気の上昇があるようです。

引用: 文部科学省 平成30年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(10月1日現在)

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/11/1410969.htm

最近の就職の特徴「リクルーター制度」

最近の就職ではエントリーシートを提出した後に、「座談会」とか、「質問会」などという名称で企業から電話がかかってきて(あるいはメールで)呼び出されることがあります。これがいわゆるリクルーターです。

リクルーター制度は1990頃まで活発に行われていました。

バブル景気という前代未聞の好景気時代でしたから、企業も人手不足なため、何とか良い人材を獲得したいと、盛んに行われていました。

その後景気の低迷に伴い、減少していきましたが、2016年から就職協定が変更になり、3月のエントリー解禁から6月の選考開始まで期間が短くなってしまいました。

そのため、企業側にとってはいかに早く優秀な学生を獲得するかが重要なテーマになりました。

選考前の「面談」はルール違反ではないため、企業は積極的にリクルーターを送り込んで優秀な学生を獲得しようとしています。

リクルーターとは、人材を獲得する人のことを意味しますが、人事担当者ではありません。各部署の比較的若手社員が担当します。

会社説明会やエントリーシートの提出後に、優秀な学生に対してリクルーターから非通知で電話連絡があります。

直接連絡がある場合もありますが、理系の場合は学校や教授経由でOB・OGが連絡してくる場合もあります。

リクルーターとはカフェなどの場所で面談を行います。内容は会社の説明や質問、雑談などリラックスした雰囲気で行われます。

しかし、これは実質的な面接試験です。

リクルーターは人事担当者から評価表を受け取っており、その採点結果によって次のリクルーターとの面談が決まります。

最終的に6月の選考時期になると、いきなり最終選考のみを受けて内定を受け取ることが多いようです。

このリクルーター制度のメリット・デメリットには次のようなことがあげられます。

【メリット】

  • 選考段階を短縮できる。
  • 内定の可能性が高い。
  • 若手社員に対して会社の実情を率直に聞くことができる。

【デメリット】

  • 建前上選考ではないので、合格かどうかが分かりにくい。
  • そのために、他社の就職活動がしづらい。
  • OBやOGがいるかいないかで選考に差が出る。

リクルーター制度は正式なルートでないとしても、実質的な試験です。

志望する企業からのリクルーターを望む場合は、エントリーシートを充実させたり、意欲を高めて説明会に参加したりするなどの事前準備は重要です。

また、面談の際の身だしなみや社会人に対して相応しい言葉遣いやマナーは、次のステップに行くための重要なポイントです。

今から自分の内定率を上げるコツ

就活生にとっては、就活生全体の内定率も当然気になりますが、大事なのは自分が内定することです。

特に年が変わって卒業まであとわずかという就活生にとっては、時間がありません。

そんな就活生が内定を取りやすくするためには、どんなことに気をつけて就職活動をしたらよいのでしょうか?

自分の軸をはっきりさせる

今年就職年次でありながら、まだ内定を貰っていない人は、大変焦りを感じていることでしょう。

しかし、まずは自分の就職に対する条件や考え方をしっかり確認しましょう。

そのためには自分が希望する業界や職種、勤務地、待遇など、改めて自分に問い直してみましょう。

自分の企業選びの基準が崩れてしまうと、「内定をくれる企業が自分に向いている企業」という感覚に陥り、入社後に必ず後悔することになります。

また、面接試験においても、その会社に入りたいというより、内定が欲しいという気持ちばかりが先走りして何度も不合格になることになります。

就活中は就活スクールでも親でもなんでも使って、自分の軸をはっきりさせてから企業を受けましょう。

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就職の条件、視野を広げる

自分の軸は決めていかなくてはいけませんが、内定状況によっては就職の条件も広げていかなくてはなりません。

待遇面に関しては、初任給にこだわり過ぎず、成果報酬や残業代、昇給のペース、福利厚生などを、複合的に考えましょう。

職種も幅を持って考えましょう。

特に総合職は採用後に本人の適性に応じて配置される場合が多く、自分の望む職種に到達できるチャンスもあります。勤務地も転勤の有無や条件を確かめましょう。

特定の地域にこだわりすぎるとチャンスを失います。よく条件を確認すれば、「〇年後に地元に帰ってこられる」とか、地域限定正社員という働き方が出来る会社も多くあります。

また、企業規模についても考えを広げてみましょう。大企業は確かに中小企業に比べて安定度はあります。

しかし、企業に絶対はありません。

現代は、銀行や大手航空会社さえ倒産する時代です。将来にわたって就職した企業が安定的に存続する保証はどこにもありません。

中小企業でも優秀な企業はたくさんあります。特定の製品分野では世界的なシェアを持つ企業は意外に多くあります。

そんな中小企業で頭角を現し、出世して高給を貰う事も夢ではありません。

中小企業で技術や能力を磨き、本命企業に転職という方法で再チャレンジすることも出来ます。

また、大企業の子会社から入社するというルートもあります。

企業とは自分を成長させる場所です。学校時代のように教師が指示した内容を忠実にやっておけば良い場所ではありません。

企業を頼りにしすぎず、自分の考えを持ち、企業という場を活用して自分をステップアップさせるという気持ちが大切です。

情報に振り回されない

企業を受験する際に気になるのが人の評判です。

つい、SNSなどの書き込みを見てしまいたくなります。

自分が就職しようとしている会社ですから、気になるのは当たり前ですが、SNSの特性として、自由に書き込みが出来るということがあげられます。

自由に書けるので、良いこともあれば悪いことも書き込めます。

さらに、本当のことも嘘も書き込めるということです。その会社の社員が書き込んでいる場合もあります。

つまり、SNSは信頼性に欠ける情報であるということです。就活生としては、参考にする程度が無難です。

しかし、どうしても確認したい事項がある場合は人事に聞いてみることも1つの手です。

自分が多くの時間を過ごす会社です。

不明なことはすっきりさせましょう。

もし、大事な問い合わせをしたことで不合格にするような会社であれば、入社しないほうが良い会社ということになります。

あくまで会社と就活生は対等な立場です。必要な情報は確認して納得いく就職をしましょう。

就職活動を効率化する

卒業まで後わずかの時間をどう使うかは、非常に重要なポイントになります。

就職は企業を選んでから訪問または説明会→書類選考→筆記試験→一次面接→二次面接→最終面接までに約1カ月はかかります。

それを1社ずつ行ったのでは、残りの月数分の会社数しか受験できません。

時は金なりです。ここはぜひ複数社を同時に進めましょう。出来れば3社程度は同時並行で就職活動を進めましょう。

そのためには、履歴書の左半分は常に3部をストックしておきましょう。

同じ業界や職種の場合は、自己PR・志望動機など、ある程度パターン化しておきましょう。

複数同時に動かしていることで、仮に1~2社落ちたところで全てが無くなったわけではありません。

常にテンションを上げた状態でいることが出来ます。

求人ルートを広げる

大学生の多くが就職ナビを活用しています。

しかし、当然ながら求人企業数や求人件数は減っていきます。求人情報は複数のルートから収集しましょう。

まず真っ先に活用すべきは、大学のキャリアセンター求人です。大学に来る求人は、その大学の学生のことを理解して出している場合が多く、内定を取りやすいといえます。

また、その中でも専願求人といわれる求人は、その大学だけに出している求人です。

最も内定の確率が高いといえるでしょう。

また、キャリアセンターの職員とは仲良くしていくことが重要です。就職の悩みに乗ってくれますし、学校求人に無い情報も教えてくれる場合があります。

また、大学では教授に相談することも有効です。ゼミの教授なら、何らかの相談に乗ってくれるでしょう。

教授によっては企業勤務経験があったり、研究上で関連分野の業界と強い結びつきを持っていたりする教授も多いものです。

特に理系の教授は工業系の企業とのパイプが太く、相談の価値ありです。

さらに、若者の就職支援をしている就活スクールを活用する方法もあります。

一流・ホワイト企業を目指すなら、ホワイト企業内定率No.1の就活スクール・ホワイトアカデミー

専任の先生がついて就職の相談やエントリーシート・履歴書指導、面接指導なども行ってくれます。

意外に知られていない方法だけに、今さら大学のキャリアセンターには行きにくい人にも有効な方法ですね。

人手不足の業界を狙う

内定は取りたいが、大手や有名な企業だけを追っていても、競争率が激しく、なかなか内定は取れないものです。

反面人手不足に悩む中小企業の業種は相対的に内定のハードルは低いといえます。

【人員が不足していると答えた企業の業種別割合】

  • 宿泊・飲食業 83.8%
  • 運輸業 74.1%
  • 介護・看護 70.0%
  • 建設業 67.7%
  • その他サービス業 64.1%

引用:日本商工会議所 「人手不足等への対応に関する調査」集計結果

www.jcci.or.jp/mpshortage2017.pdf

人手不足の原因としては、宿泊・飲食はそもそも構造的に不足な上に、海外からの観光客の増加やオリンピックの影響が考えられます。

運輸業はインターネット通信販売の激増に伴う人手不足が深刻化しています。

介護・看護業界は国民の高齢化が進み、急速に人手不足が拡大しています。

建設業界では東北や九州での震災復興需要やオリンピックによる特需が人手不足の原因です。

こういった業界の人手不足は企業の構造的な要因もありますが、主に外部要因によるものです。

また、「忙しくて大変だ」というイメージ湧くかもしれませんが、それは売上が拡大している業界ということでもあります。

新卒の新人だけが会社を背負っていくわけではありませんので、あまり心配する必要はないでしょう。

チャンスと思ってチャレンジしても良いでしょう。

個別企業の労働条件や待遇をよく確認すれば、自分に合った企業を見つけられるかもしれません。内定のチャンス大です。

効果的な就職活動を行う

なかなか内定を貰えない場合、受験社数を増やすことは必要ですが、一社一社の受験が雑になってはいけません。

丁寧さも必要です。

しかし、時間が無いという就活生がほとんどでしょう。そこで活用して欲しいのが、「お礼状」です。

お礼状とは、受験後に企業の人事担当者に送る手紙やメールです。お礼状を出す就活生は少ないものです。

連日、多くの受験生の対応をしている企業の人事担当者ですが、その中でポツリとお礼状を送ってくれる就活生には何らかの好感を持ちます。

企業は人で成り立っています。全ての選考が点数評価で白黒つけているわけではありません。

特に大きな差が無い受験生の中で誰を残すか迷ったときなど、お礼状は効果を出します。

お礼状のポイントは第一にスピードです。必ず受験したその日に出しましょう。

その企業が受験した場所の同じ市内や県内にあった場合、その手紙は翌日中にはその企業に届きます。

受験生の熱意が伝わります。

お礼状の第二のポイントは個人宛に出すことです。

「人事部御中」という宛名より、「○○様」という個人名を指定したお礼状のほうが、より説得力があります。

第三のポイントとしては、ワープロなどではなく手書きで出すということです。

手書きの文面は、より思いが伝わります。第四のポイントとしては、内容はシンプルにすることです。

決して多く記入する必要はありません。人事担当者はただでさえ多忙な日々を送っています。

当日のお礼、面接を受けてさらに就職意志が強くなったことなどを簡潔に述べるだけで充分です。

一次面接は主に落とす試験です。そのうち、面接試験の結果を出して本人に通知しなくてはいけない日が近づいてきます。

その時にあなたのお礼状が人事担当者のデスクの引き出しに保管されていれば、人事担当者としても、「もう一度話を聞いてみようか」というきっかけになるわけです。

奥の手:新卒紹介サービスの活用

どうしても就職活動がうまくいかず内定がもらえない人や、進学を予定したが就職をしなくてはならなくなった人には、就活生を企業に斡旋してくれるというサービスがあります。

本来、人材紹介のサービスとは、転職する人向けのサービスでしたが、最近は新卒向けにも広がっています。

この背景には、空前の売り手市場のために、なかなか採用予定人員が埋まらず、困っている企業人事担当者のニーズもあります。

その仕組みは、まず就活生が人材紹介サービス会社に登録します。

登録すると専任のコンサルタントが付き、就職の希望や適性を調べます。

予め企業も人材紹介会社に登録しています。その後その就活生の情報に基づいて企業に斡旋していきます。

人材紹介サービス会社は、就活生の就職が決まった段階で企業から料金を貰う仕組みになっているため、就活生には費用が一切かかりません。

しかし、このサービスにもメリット・デメリットがあります。それらをよく考えた上で利用しましょう。

【メリット】

  • 自分に代わって企業を探してくれるので、時間や手間が節約できる。就活生は一人で活動するには時間やノウハウが不足しているため、その道のプロに任せることが有効。
  • 専任のコンサルタントが付くので就活の悩みを何でも相談できる。特に専任のコンサルタントには若い人も多く、就活生も相談しやすい。
  • 試験や面接の段階が少ない場合が多い。説明会と選考を兼ねている場合も多い。

【デメリット】

  • 基本的に求人を出している企業は、人が集まらない企業であることを認識すること。つまり、ブラックに近い企業も入っている可能性がある。
  • 人材紹介会社は就活生が就職することによって収入を得られるため、強引に斡旋する場合も考えられること。
  • 入社後に仕事内容や条件が違うという事も考えられる。

利用するに当たっては、冷静な判断が必要です。特に仕事内容や給与、勤務時間など納得いくまで確認しましょう。

内定が取れない焦りから、安易に条件を妥協すると、後で後悔することになります。

自分でも就職活動をしながら、自分で開拓できない企業のみ人材紹介会社を利用するなど、利用方法を必要なだけに絞るという方法もあります。

数字はシビアに見よう

最近の内定率の動向と2020年卒の就職活動、そして未内定の就活生に対するアドバイスをまとめてみましたが、いかがだったでしょうか?

実は、内定率という数字自体も、捉え方によって色々な見方があることも理解していただけたと思います。

世の中の数字というのは、内定率と同じように結構ばらつきがありアバウトなものが多くあります。

1つ1つの数値はあながち間違っているわけではありませんが、実は対象のデータが少なすぎたり、特定のデータに偏り過ぎたりしている場合があります。

それぞれの数値の目的や意味を理解しながら活用していかなくてはなりません。

このことは、今後社会人になる人にも参考になることです。

就職だけでなく、仕事上も世の中に公表されている数値には、冷静に対処しなくてはなりませんね。