「非鉄金属業界って何を取り扱っている業界なの?」
「非鉄金属業界のホワイト企業はどこ?」
「非鉄金属業界の将来性は?」
この記事では非鉄金属業界の基礎知識から選考に役立つ情報まで、普段の生活からはなかなか想像できない非鉄金属業界業界について詳しく解説していきます!
最近のニュースや動向、売上高ランキングやホワイトな企業など皆さんが知りたいと思っている情報をぎゅっと詰め込みました!
ぜひこの記事を読んで、非鉄金属業界の業界研究の助けにしてくださいね!
この記事の登場人物
富田:理工学部の3年生。自己主張は苦手だが心根は優しい草食系男子。メーカーを志望して就活をしている。
白河:社会人3年目のヘッドハンター。ホワイトアカデミー在学中に内定をもらった東証一部の人材系企業で勤務。ホワイトアカデミーとは、特別講師という形で現在も付き合いが続いている。
目次
非鉄金属業界とは?
非鉄金属業界はその名の通り銅やアルミ、ニッケルなどの鉄以外の金属を扱う業界です。
身近な製品としては自動車、電子機器、住宅などが挙げられます。また、原料となる鉱石は生産量が少ないものも多く、ほとんどの企業が海外から輸入しています。
非鉄金属業界のビジネスモデルは、一般的に以下のようになっています。
- 鉱山から原料となる資源を調達する
- 製錬:その鉱石からを地金を生成する
- 地金を板や合金に加工し、電子部品や自動車用製品にする
非鉄金属業界のビジネスで重要となるのが2の工程で、製錬マージンと呼ばれるものです。
これは鉱山から採鉱された鉱石を地金に加工する手数料ですが、日本は鉱石の輸入を海外に頼っているため海外に主導権を握られがちという現状があります。
また、メーカーとして製造をするだけでなく、研究開発や販売、それに関連する営業なども行っています。
年収はどれくらい?
年収ラボのデータによると、非鉄金属業界の平成26年度の平均年収は621万円になっています。
厚生労働省が行った平成28年賃金構造基本統計調査によると、平成28年度の日本人の平均年収が304万円ですので、この数字と比較すると非鉄金属業界は給料が高い業界であると言えます。
また、これは業界全体の平均年収で開発職や営業職の他に工場で現場作業をしている人などもすべて含めた数値として算出したものであるため、大手企業の総合職などになればもっと水準はいいと考えられます。
どのような職種があるの?
企業には様々な職種があり、営業や事務、人事などは思い浮かびやすいかと思います。
ここでは非鉄金属業界で重要になってくる3つの職種について説明します。特に理系の方は読むことをおすすめします。
研究開発職
研究開発とは、研究によって得た知識や技術を生かして、新しい商品を開発していく仕事です。
非鉄金属の場合は、電子材料や金属加工、熱処理など様々な分野で研究開発が必要とされています。
基本的に理系の人が就く職種であり、大学院出身だと選考で有利になる場合もあります。
また、研究開発は1つの仕事が成功するまでに長い時間が必要なうえ、必ずその研究開発が成功するわけでは無いので、「粘り強さや忍耐」が必要とされる職種でもあります。
製造
原材料などを加工することによって製品を生産・提供していく工程が製造です。
非鉄金属業界の場合はルミニウムやマグネシウムなどの「軽金属」、銅やスズなどの「ベースメタル」、ニッケルやクロムなどの「レアメタル」などが原材料に当てはまります。
工場での生産ラインなどで勤務する場合が多く、立ち仕事などある程度の体力が求められる職場もあります。
生産技術職
「良質で安全で効率的な生産」を行うのが生産技術職です。
「生産技術職」は現場の生産プロセスを管理するのが主な仕事です。
具体的な仕事内容としては、現場の生産体制について予算や時間、材料調達を管理し、工場の新設・増設、新規生産ラインの立ち上げや復旧、など工場の生産性を向上させるために様々な業務を行っています。
研究開発職などに比べると少し地味ですが、非鉄金属業界にとって業界を下から支える、なくてはならない職種です。
国内の主な4企業
三菱マテリアル
三菱マテリアル株式会社は国内売り上げシェアNo.2の企業です。
「人と社会と地球のために」を企業理念としており、鉱山権益からの安定的な収益や堅実でリスクを負わない経営を強みとしています。
セメント事業や・電子材料事業など多岐にわたっていますが、特にコアとなっているのが金属(主に銅)事業で、売り上げの50%を占めています。
また、循環型社会への貢献を目指しており、金属リサイクル事業にも積極的に取り組んでいます。
住友電気工業
住友電気工業株式会社は国内No.1の売り上げとシェアを誇る最大手の非鉄金属メーカーです。
もともとは電子部品や電線・ケーブルなどを製造している会社でしたが、今では世界シェア1位のワイヤーハーネスを中心に、売上の50%以上を自動車むけの材料が占めています。
国内外問わずに多くの関連会社やグループ会社を設立しており、支社や製作所もたくさんあります。
さらに、医療機器やスマートエネルギーの分野など、新規事業にも積極的に取り組んでいます。
三井金属鉱業
三井金属鉱業は「創造と前進を旨とし価値ある商品によって社会に貢献し社業の永続的発展を期す」という経営理念のもと、機能材料事業、金属事業(とくに銅)、自動車部品事業を主に行っている会社です。
様々な分野で世界シェアNo.1を獲得しており、特に半導体パッケージ向け極薄銅箔においては90%にも上ります。ほかにも、二輪向けの部品にも強く、この分野では世界シェア50%近くを保持しています。
しかし、金属事業は元々が汎用の金属のため大きく稼ぐことができず、最近ではリサイクル事業にも力を入れようとしています。
DOWAホールディングス
DOWAホールディングスは、「地球を舞台とした事業活動を通じ、豊かな社会の創造と資源循環社会の構築に貢献する」という企業理念のもと、環境・リサイクル、精錬事業、電子材料、金属加工、熱処理の5つのコア事業を主に取り扱っている会社です。
「資源循環型事業」にも力を入れており、半導体材料になる「高純度ガリウム」や太陽電池に使われる「銀粉」、自動車のスイッチの接点に使われる「銀めっき」などでも国内外でトップシェアを誇っています。
他社とは違ったニッチな分野に強みのある企業と言えます。
ランキング
売上高ランキング
まず紹介するのが売上高のランキングです。
- 1位:住友電気工業 2兆9,330万円
- 2位:三菱マテリアル 1兆4,178万円
- 3位:JXホールディングス 1兆449万円
- 4位:古河電気工業 8,748万円
- 5位:住友金属鉱山 8,554万円
- 6位:昭和電工 7,809万円
- 7位:フジクラ 6,785万円
- 8位:UACJ 5,757万円
- 9位:日本軽金属HD 4,644万円
- 10位:三井金属鉱業 4,505万円
業界動向サーチ(https://gyokai-search.com/3-hitetu.html)
こちらのランキングを見ていただくと分かる通り、上位3社が多くを占めていることが分かります。
また、企業によっても得意な分野やシェアを持っている分野は変わってきます。
年収ランキング
次に紹介するのが年収ランキングです。
- 1位:JXホールディングス 1104万円
- 2位:日本軽金属HD 973万円
- 3位:住友金属鉱山 828万円
- 4位:DOWAホールディングス 822万円
- 5位:住友電気工業 788万円
- 6位:アサヒHD 752万円
- 7位:古河機械金属 744万円
- 8位:三菱マテリアル 744万円
- 9位:カナレ電気 734万円
- 10位:古河電気工業 722万円
業界動向サーチ(https://gyokai-search.com/4-hitetu-nensyu.html)
こちらのランキングをご覧いただくと分かる通り、売上高のランキングとは少し違ってきていることが分かります。
1位のJXホールディングスでは年収1000万円を超える額となっています。
また、企業選びをする際は年収だけを見るのではなく、福利厚生などにも注目すると良いでしょう。
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業界の動向と課題
非鉄金属業界の国内規模は12兆円にものぼり、重要な産業の1つです。
市場の成長率についても、波はあるものの世界のGDPとともに順調に伸びており、今後も成長が見込める業界です。
しかし、日本に限定するとこれ以上の成長はあまり見込めないため、どの企業も海外への進出に積極的に取り組んでいます。
また、非鉄金属業界の課題としては鉱山開発の限界が挙げられます。鉱山も石油などと同じように、資源の1つなので獲れる量には限界があります。
さらに、鉱山の開発や工場の稼働による環境問題への対処も企業にとって重要な課題となっています。そのため、リサイクル事業や環境対策の推進についても業界全体の課題と言えます。
その他にも、そもそも扱っている金属が汎用性の高いものであるため、いかにコストダウンできるかも企業にとっては大きな問題です。
業界のニュース・話題
ここからは非鉄金属業界のニュースや話題を3つ紹介していきます。
これらの話題は業界のことを知るためだけでなく、面接対策にもつながるので日頃から意識して情報収集しておくようにしましょう。
ニュース①三菱マテリアルが銀焼成膜付DBA基板を開発
三菱マテリアルによると、自動車や工場などの排熱回収技術として今後採用が期待されている熱電発電モジュールの用途に、中高温とよばれる300~450℃の大気中でも使用可能な銀焼成膜付DBA基板を開発したという。
近年、自動車や工場の排熱を電力として再利用するための熱電変換技術が注目されており、これからの活用が期待されています。
非鉄金属業界において新たな技術開発は企業や業界が利益を拡大していくうえで重要なポイントであり、今後の動向にも注目です。
ニュース②住友電工が台湾に切削・研削工具の販売会社を設立
財経新聞によると、住友電工は台湾に切削・研削工具の販売会社を設立し、営業を開始しました。
これは台湾での市場拡大を狙ったものであり、この会社では新会社では、「自動車、機械関連業界、エレクトロニクス・精密微細加工業界向けの切削・研削工具」を中心に取り扱っています。
この例だけでなく、今後もさらに日本企業の世界進出が増えていくと思われます。
ニュース③非鉄金属リサイクル中国向けが半減
Yahooニュースによると、非鉄金属リサイクル全国連合会のリサイクル環境推進部会は、非鉄金属リサイクルの最新の動向について、中国向けの輸出が前年度に比べて45%減っていると発表した。
中国における非鉄金属の需要は今後も大幅な回復は見込めないため、今後新たな利益源の獲得が重要となってきます。
3つのホワイト企業
非鉄金属業界は、業界全体の傾向としてはホワイトであると言えます。また、同じ企業でも職種によってホワイト度は変わってくるので注意が必要です。
この記事では非鉄金属業界の中でも特にホワイトな企業を3社紹介します。
ホワイト企業①住友電気工業
住友電工はその優れた業績から給与水準が非常に高い会社です。
また、平均勤続年数が長く、会社全体で働き方改革に積極的に参加している会社でもあります。
男性が多い会社ですが、昨年には経済産業省より女性活躍推進に優れた上場企業として認定される「なでしこ銘柄」に認定されるなど、女性の活躍に対しても力を入れています。
ホワイト企業②古河機械金属株式会社
給与水準は特別高いわけではありませんが、ワークライフバランスに定評がある会社です。
残業時間が徹底されているうえ、休みが取りやすい、フレックスタイム制を導入しているなど、プライベートの時間がしっかり確保されている会社であると言えます。
また、平均勤続年数が20年を超えていることからも非常に働きやすい環境であると考えられます。
ホワイト企業③DOWAホールディングス
DOWAホールディングスはの福利厚生は、住宅補助が手厚く、社宅や寮などの施設が充実しているのが特徴です。
また、休暇については有給休暇のほかにリフレッシュ休暇や結婚休暇なども設けられています。
ただ、転職サイトなどによると、配属される部署によって大きく違ってくるようなので、そこは頭に留めておいてください。
志望動機【例文あり】
非鉄金属業界では、コミュニケーション能力よりも問題解決能力をアピールすると良いでしょう。
問題解決能力は研究や開発においてはもちろん必要ですが、営業職の場合でも現場や顧客、仕入先との「調整」が大切になってくるため、上手く問題を処理する力が必要なのです。
また、業界の雰囲気として、華やかでインパクトがあるというよりは、堅実で実直な仕事が求められることが多いので、そこも踏まえておきましょう。
ここでは志望動機の例文を1つ紹介しておきます。
私が貴社を志望した理由はグローバルな視点に立って仕事ができる環境があり、大学生時代の学業の経験を生かすことができると考えたからです。
私は大学生時代に留学を通じて、将来は海外での仕事をしたいと考えていました。長い留学生活を経験しているので、海外での生活にも順応しやすく、国際的な業務に貢献できるのではないか?と考え、そういった企業で働くことを望んでいたのです。貴社はアジア新興国などを中心に海外展開をしているので、その点がまず合致するというのがあります。
そして、私は理工学部出身ですから、貴社のような半導体や金属製品に関する業務に対して、大学時代の学業を生かすことができるとも考えています。グローバルな視点に立って国際的な仕事ができるという部分と大学時代に学んだことを生かして仕事ができるという点は非常に大きな喜びになると考えていますし、これが私が貴社で働きたいと思った理由になります。
志望動機の例文を集めました!(http://xn--fsqy3fo4pqqfw5bmyh.jp/kigyoubetu/hitetu/1000)
読んでおくべき2冊の本
ここからは非鉄金属業界について調べる際におススメの本を紹介していきます。
インターネットの情報ももちろん大事ですが、本でしか得られない情報もありますので、本気でその業界を目指すならしっかり読んでおきましょう。
非鉄金属業界大研究
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この本は非鉄金属業界についての基礎知識や仕事内容についても詳しく知ることができます。
また、業界全体ではなく企業ごとの動向が書かれているので、志望企業を考える上でも役立つかと思います。
また、実際に働いている人の声も載っており、非鉄金属業界の現場を知ることができます。
トコトンやさしい非鉄金属の本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)
(書影からAmazonに飛べます)
こちらの本は企業や業界というよりも、非鉄金属そのものについて詳しく書かれている本です。
非鉄金属業界を志望する上で最低限知っておきたい基礎知識を得るのにおすすめです。
内容も非常に優しいものになっているので、一から知りたいという人でも大丈夫です。
業界の今後
非鉄金属業界の今後としては、まず海外進出がもっと活発になっていくことが考えられます。
コストを削減したり、新しい鉱山を獲得するためにどの企業も海外進出に積極的です。
また、非鉄金属業界は景気や為替に左右されやすいため、利益を安定させるためにダウンストリーム、つまりは金属を加工する分野に力を入れる会社が多くなっていくでしょう。
さらに、非鉄金属業界は業務の効率化についてはある程度限界がきており、これ以上の改善は見込めないとも言われています。その中でいかに新しい技術を開発できるかが今後の成長の鍵となってくるでしょう。
非鉄金属業界はホワイト
非鉄金属業界は全体としてホワイトな傾向が強く、年収も十分にある業界です。
ただ、環境問題や海外進出、鉱山資源の限界など解決しなければいけない様々な課題も抱えています。
また、派手でインパクトがあるというよりは、堅実で問題解決能力が求められるような仕事が多いため、志望動機などを考える際はその点にも留意するとよいでしょう。
この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。