製薬会社への就職を有利に進めるための秘策とは?薬学部以外も必見!

指を指すスーツ姿の女性

この記事では、製薬会社へ就職するために大切なポイントを就活の流れに沿って解説しています。

薬学部以外から製薬会社に就職する方法必要な資格なども解説していますので、あなたの就活の参考にしてみてください。

製薬業界へ就職するか判断する

製薬業界を志望する理由を整理する

まずは製薬業界を志望する理由を整理しましょう。

なぜ製薬会社でなければならないのかという就活の軸や価値観が定まっていなければ就活を進められません。

製薬業界は高給で安定した業界なので人気はありますが、自分が本当に製薬業界で働きたいのかを考えることは必須となります。

あなたが医療系・薬学を専攻されていたとしても、必ずしもそういった業界に就職する必要はありません。

業界を絞るタイミングで自分と向き合い、価値観を明確にして進むべき道を選びましょう。

製薬業界には薬学部以外からも就職できる

製薬業界には薬学部以外からも就職できますが、薬学部卒業生の需要が大きいのが実情です。

研究職・開発職

薬学部から最も多く採用されていますが、医学部・農学部・理学部でも専門性の高い研究をしていれば採用される可能性はあります。

ただし、研究職や開発職ではほとんどが修士課程を修了した方なので、学部での就職は困難です。

MR・事務職

採用数も多く文系でも就職が可能であり、半数以上が文系という企業も少なくありません。

しかし理系からも多くの学生がエントリーしてくるので、競争は激しいです。

また、入社後も専門的な勉強をする覚悟が求められます。

4つの職種から自分に合ったものを選ぶ

製薬業界を志す理由が明確になったら職種を選びましょう。

同じ製薬会社の中でも研究職、開発職、営業職は全く異なります。

薬学部の大学院を出て営業職に行く方もいれば、学部卒で研究職や開発職に進む方もいらっしゃいます。

自分の適性とやりたいことを考えて職種を選択しましょう。

また職種をしっかりと調べずにやりたいだけで就活を進めてしまい、現場の実態に合わずミスマッチを起こすケースも少なくありません。

そこでオススメなのが、インターンシップやOB・OG訪問です。

インターンシップに参加することで、製薬会社について詳しく知ることができるだけでなく、優秀な学生が集まる中で自分の強みを見つけられるので、採用の可能性が高くなります。

また、OB・OG訪問では、実際に製薬業界で働いている先輩方からリアルな話を聞けるので、非常に参考になる話が聞けます。

ここからは製薬会社の4つの職種をご紹介します。

①研究職

新薬の合成実験や成分分析といった様々なジャンルの研究をしており、チームで業務に携わっています。

創薬には膨大な時間と費用が必要になりますが、候補物資が新薬になる確率は10,837分の1と言われており、製薬企業にとってはリスクの大きな仕事です。

製薬企業の要である研究部門では、研究者には高い能力が期待されます。

重い責任を持ち高い能力が発揮できるという点で、やりがいが大きいです。

しかし、その反面で人気が高く倍率も非常に高い難関職種となっています。

  • 勤務地:研究所がメインとなります。
  • 主な業務:実験で新薬候補物質の探索や合成を行います

②開発職

実際に患者さんに薬を投与する臨床試験の企画や実施などを行います。

研究職同様、臨床試験においてプロトコール(試験デザイン)を考えるなど、創薬に関われる点で人気があります。

また最近の流れとしてメディカル・サイエンス・リエゾン(MSL)と呼ばれる臨床研究及び臨床開発のスペシャリストへの注目が高まっています。

MSLはメディカル・アフェアーズ(MA)部に所属することになりますが、開発部門の中に紐づけれる企業も多いです。

  • 勤務地:本社がメインとなります。
  • 主な業務:近年では、臨床試験は外部(SMOやCRO)に委託するケースが多くを占めており、製薬会社の開発部門では企画が主な業務となります。

③MR(営業職)

MRは一般企業の営業職に相当しますが、商品の販売・流通、価格交渉に関与しない点で少し特殊な職種です。

営業職なので計画数字を持たせる会社が殆どであり、製品紹介から症例提案やフォローまで行うことで医師の処方に影響を与えて売り上げに貢献します。

研究職や開発職よりは競争率は下がりますが、営業手当や日当などがあり給料が高い点から、人気は高い職種となっています。

  • 勤務地:全国の支店・営業所で全国転勤があるのも特徴の1つです。
  • 主な業務:医薬品の情報提供と収集で、適正使用情報や副作用をはじめ幅広い情報を取り扱います。

④事務職

事務職は一般企業と同じような業務内容です。

本社での勤務以外にも支店での営業サポートの部門もあります。

経理や人事、法務などの職種がありますが、製薬企業の給与や福利厚生を受けることができるので優れた就職先の1つと言えます。

有利な資格

製薬会社に就職するために必要な資格はありませんが、薬剤師免許などの資格を持っていると有利です。

また、MRになるために必要な資格はないですが、入社後の「導入研修」の修了後に「MR認定証」(疾病や治療に関することや薬理学など医療全般の知識を問う試験)を取得しなければなりません。

なお、外資系企業では外国人の医師と話す場合があるのでTOIECなどのスコアがあると有利ですが、日系企業でも英語の論文を読み調査する機会があるので、英語は使える方がいいです。

また、大学入学以前から教授について調べたり研究などについて考えておいたりすることで、製薬会社にパイプを持つ教授に推薦してもらい選考を有利に進めるという理系ならではの秘策もあります。

推薦を得るためには、優秀な成績を収めたり高度な専門性のある研究をしたりする必要があります。

ホワイト企業選定

職種が決まったら次は企業選定です。

製薬会社も企業規模によって大きく異なりますが、「やりたい仕事」だけでなく「ありたい姿」も一緒に考えることが必要です。

ありたい姿

「個人でバリバリやっていくスーパー営業マン」や「和やかな雰囲気でプライベート重視」など、自分の生活も含めたビジネスパーソンとしての在り方を考えましょう。

新卒時代は「とにかく大手企業に入る」と考える方も多いですが、ここでミスマッチを起こせば長期的なキャリア形成が上手くいかないケースもあります。

やりたい仕事

興味のある疾患をベースに考えることがポイントです。

疾患によって大病院や開業医というように市場も異なり、伸ばせるスキルも全く異なります。

人の命に直結する「がん」などから、日常の悩みとなる「花粉症」まで、自分がやりがいを感じられる疾患に携われる企業を選びましょう。

製薬業界のホワイト企業

製薬業界には大手企業から中堅企業、外資系企業までホワイト企業が多いのが特徴です。

一部をピックアップしてご紹介いたします。

大手企業

武田薬品工業株式会社・アステラス製薬・第一三共株式会社などが大手企業です。

  • 給与:非常に高く30代で年収1000万円を目指すこともでき、福利厚生も充実しています。
  • 経営:グローバルに展開しており、安定した経営が強みです。
  • 社風:高給の代わりにノルマは厳しく、長時時間労働や場合によっては休日出勤も多いのが特徴です。

準大手企業

大日本住友製薬株式会社・協和発酵キリン株式会社・塩野義製薬などが準大手企業です。

  • 給与:大手企業には劣りますが、高給で福利厚生も充実しています。
  • 経営:準大手企業の近年の特徴は、グローバル化を強く推し進めている点です。今後も成長が期待できる企業が豊富にあります。
  • 社風:今は内資的なアットホームな雰囲気が残っていますが、今後は厳しさが増していくことが予想されます。

中堅企業

マルホ株式会社・杏林製薬・持田製薬などが中堅企業です。

  • 給与:30代で700万円ほどとなりますが、福利厚生は充実しています。
  • 経営:中堅企業はスペシャリティーファーマとして領域特化による生き残り戦略が主流となっており、今後は更なるニッチ戦略を展開していくと考えられます。
  • 社風:内資企業らしくアットホームな雰囲気でゆったりと仕事ができます。

外資系企業

ファイザー株式会社・ノバルティスファーマ株式会社・サノフィ株式会社などが外資系企業です。

  • 給与:給与や福利厚生は企業により異なりますが、海外基準なので女性にも働き易い会社が多いです。
  • 経営:近年では外資系企業の中でも希少疾病薬(オーファンドラッグ)を扱うメーカーが大躍進しています。C型肝炎の特効薬を創薬したギリアド・サイエンティフィス社などはその顕著な例です。
  • 社風:企業によりますが、個人主義・成果主義の会社が多い傾向です。

グループディスカッション対策

多くの製薬企業(特に大手企業)はグループディスカッション(グルディス)を一次面接として設定していることが多いです。

大手企業や外資系企業のグルディスではリーダーシップや論理性を見られる特徴があります。

日本人的な調和よりもディスカッションを引っ張っていくこと、そしてそれが論理的であることが重要です。

その中でタイミングを見て、あまり発言をしていない人に意見を確認するなどして最低限の協調性を見せるのもテクニックです。

面接対策

面接は2~3次までのケースが大半で人事面接→部門長面接→役員面接というのがオーソドックスな流れです。

グルディスをやらない企業では一次面接で集団面接を実施することが殆どです。

①人事面接

製薬業界を志望する理由と適性を伝えましょう。

話の筋が通っており、強い意思でこの場に臨んでいると伝われば成功です。

②部門長面接

「適性」と「やりたい仕事」がポイントとなります。

  • 適性:企業があなたを採用するメリットを具体的に伝えてイメージをさせることが重要です。特に自分の今までの経験を引用し、それがどのように業務に活かせるかを話しましょう。
  • やりたい仕事:自分の「やりたい仕事」がまさにその業務であることを熱意を持ってアピールしましょう。

③役員面接

最終面接では「やりたい仕事」と「ありたい姿」を伝える必要があります。

その理由は、最終面接で最も多くされる「なぜ、当社を志望されるのですか?」という質問にあります。

例えば、大手企業の最終面接では「開発力が高い」「経営が安定している」「人の命に関わる薬が扱える」などと伝えることになりますが、それは他の大手企業にも当てはまることです。

つまり、最終面接では「その企業にしかない強み」をあなたの「やりたい仕事」にリンクさせて伝えることが必須となります。

実際に多くの学生がこの質問に的確かつ自分らしい回答ができずに不合格となっているのを見てきました。

自己分析と企業研究には力を入れて取り組みましょう。

製薬会社は狭き門

製薬会社は中々に狭き門なので、入社するのは至難の技です。

特に、薬学部以外から入社を目指す場合は、上記の内容を参考にしっかりと対策しておきましょう。

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