富田:理工学部の大学3年生。自己主張は苦手だが心根は優しい草食系男子。メーカーを志望して就活をしている。
春山:経済学部の3年生。あだ名はハルちゃん。明るくハキハキしていて「考えるより動け!」の行動派。母子家庭出身で、化粧品や日用品など女性を対象とした仕事に就きたいと考えている。
白河:社会人3年目のヘッドハンター。ホワイトアカデミー在学中に内定をもらった東証一部の人材系企業で勤務。ホワイトアカデミーとは、特別講師という形で現在も付き合いが続いている。
回答例(メーカー編)
私は故郷である広島で働きたいとの思いから、御社での勤務を志望しています。御社は長年に渡り地元広島の食文化を支え、全国に発信してこられました。私は大学進学に際して上京しましたが、大学生活の4年間で、全国の食品が集まる物産展の運営を幾度も経験してきました。その経験を通して、食のPRを全国の他の企業ではどのように行なっているのかという実例を多く学べたと同時に、改めて、広島の食文化を全国に発信していきたいという思いが強くなりました。御社は物産展を中心としながらも、インターネットなども通じて広島の食を全国にPRする活動もしていらっしゃるので、ぜひ御社に入り、これまでの経験を活かして広島の食文化を全国に発信する中で、地元広島の発展に貢献したいと考えています。 |
ポイント:なぜ地元勤務にこだわるのかが明確
このメーカーは、「広島を代表する食品をつくり広島の食文化を支える」というビジョンを持っています。それに対し、この就活生は広島の食文化を発信する中で、広島の発展に貢献したいという思いを持っています。
つまり、「これまで東京で学んできたことを活かして地元広島の食文化をPRしたい」という思いは、このメーカーの成し遂げたいことと共通するため、だからこそ広島に帰って地元勤務がしたい、というロジックが通るのです。
メーカーというのは、何か商品を作って、それをお客さんに使ってもらうことで、お客さんに何らかの価値を提供したいという企業理念を持っています。
あなたがその商品を通してお客さんに提供したい価値は何ですか? それは、その企業が思い描いているビジョンと一致しますか?
メーカーを志望するなら、まずはこういった点から考えていくことが大切です。
回答例(金融編)
市場アナリストとして早く成長できるという理由から、御社を志望しています。私はお客様に対して適切な商品知識を提供し、お客様の財産を守れるような人材になることを目指しています。私の父は個人投資家でしたが、投資に失敗して私の一家は窮地に追い込まれました。父は投資への失敗を悔やんでいましたが、原因は市場の動向を見誤ったことにありました。そんな父の姿を見て、私は金融でお客様の財産を守ることの必要性を痛感しています。御社は社内の研修制度が競合のどこよりも整っているとうかがっており、最も早く職業人として成長できる環境です。私は市場アナリストとして少しでも早く研鑽を積み、多くのお客様から信頼されるような人材になりたいと考え、御社を志望させていただきます。 |
金融業界で求められること
この例では、成長のスピードがポイントとなっています。その結果、「商品知識」「研鑽を積み」といった言葉が述べられています。
父が投資で失敗をしたという経験から、できるだけ早く成長して一流の職業人になりたいという思いがあり、それが企業の研修制度と重なる、というのが企業軸の理由です。
外資系の企業では一般的に成果報酬制が採用されています。つまり、できる人材はどんどんインセンティブ報酬を貰い、できない人材は振るい落とされていくという世界です。
それを分かっている、だからこそできるだけ早く成長して一人前の金融マンになる、という想いがこの回答例にはにじみ出ています。市場や金融についての知識や透察力がものを言う金融業界を志望するにふさわしい理由となっているでしょう。
回答例(不動産編)
私は1日でも早く、1人で住宅を販売できるようになりたいです。そして、一早く独り立ちできるようになるためには、御社の教育制度が打ってつけであると考えています。御社では、入社後すぐに先輩に同行して実際の営業を経験させていただけます。また、週3回開かれている朝活や日報の添削などで、先輩からの手厚いフォローやフィードバックもしていただけます。このような環境で日々仕事をする中で、早く一人前になり、先輩やお客様から認められるようなセールスパーソンになることを目指しています。 |
不動産を売るということ
この例では、自分が早く成長して、一人前の住宅販売員になりたいという率直な思いが述べられています。
入社後の成長に焦点を当てて面接で話をする場合には、「なぜそこまでして自分が活躍できるようになりたいのか」という部分をしっかり伝える必要があります。
今回の例では住宅販売を想定していますが、住宅というのは一生のうちでも大きな買い物の一つです。
お客さんにどんな住宅を提供するかはセールスパーソンの提案にかかっており、そういう意味ではセールス一つでお客さんの人生を左右すると言っても過言ではありません。
逆に、そのような責任感のある仕事だからこそ、お客さんと共に住宅を選んだり創り上げたりすることでお客さんの未来を共に築いていけるというやりがいを感じられるはずです。
そういった仕事の意義があるがゆえに、1人でも多くのお客さんを少しでも早く担当できるようになりたいという思いを抱くに至ったということが考えられるでしょう。
これはあくまでも一例ですが、このように、ただ「成長したい!」という思いを述べるだけではなく、なぜそう思うに至ったのか、という理由の部分をしっかり考えることが大切になってきます。
それこそがあなたの仕事に対する思いに繋がる部分であり、それに裏打ちされた回答こそが、真に人事担当者に伝わるものになるのです。
回答例(コンサル・アクセンチュア編)
〇〇さんのような立派なコンサルタントになりたいと考えたからです。以前、交流会で御社の〇〇さんとお話をさせていただいた際に、〇〇さんの仕事に対する熱い思いをうかがうことができました。〇〇さんは「アクセンチュアだからこそクライアントに提供できる価値があるんだ!」と力強く語っておられ、御社での仕事に対する誇りとやりがいを話してくださいました。大学で計数工学を勉強しプログラミング技術を有している私は、コンサルだけでなく実行支援まで行える企業を志望していましたが、その中でも〇〇さんのお話しを伺って、「私も〇〇さんみたいな、仕事のできるアクセンチュア社員になりたい!」という思いがますます強くなったため、御社を志望させていただきました。 |
コンサルは人が命
実際に志望先の企業の社員に会い、その人柄や仕事への思いに触れる中で自分もその企業の一員になりたいと思うようになるのはよくあることです。
こういった「人」を就活軸に据えることはよくありますが、コンサルの場合は、特にそれが重要になってきます。なぜなら、コンサルではコンサルティングという行為を商品にしているからです。
メーカーなどの他業種では、ある特定の物やサービスをお客さんに販売することで利益を得ますが、コンサルの場合は提案資料やお客さんへのアドバイスによって利益を得ます。
つまり、コンサル会社の有しているデータやノウハウ、コンサルタントがそれらを駆使して作成する資料やアドバイスの質を売りにしているのです。
当然、コンサルタントにはそれ相応の力量が要求されるため、コンサルでは人が命になってきます。お客さんに信頼してもらえるスキルがあってこそ、初めてコンサルは成り立つのです。
今回の例のように、自分のロールモデルとなるような社員がおり、その人のようになりたいというのは、コンサルの本質に適った回答例だと言えるでしょう。
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