最終更新日 2021.04.23
業界研究
金融業界の仕事内容と就職する方法を徹底解説
金融業界は年収が高いこともあり、例年大学生の就職人気ランキングで上位にランクインしている。しかし、銀行・保険・証券・外資系金融・クレカ・リースなどでビジネスモデルが違うため、金融業界の仕事内容は理解しづらいのが特徴だ。
それゆえに、志望理由・志望動機などの「なぜ」を聞かれた際に困ってしまう就活生が多くいる。やはり金融業界は人気で選考難易度が高いため、応募前に概要をしっかり掴んでおくことが重要だ。
そこでこの記事では、就活で金融業界を志望する際に押さえておきたい知識を徹底解説する。金融業界で働く関係者へのインタビューをもとに、人気企業ランキング・仕事内容・やりがい・転職可能性だけでなく、コロナに伴う金融業界の今後の動向にも言及した。
金融業界について抑えておきたい内容はほぼ全て網羅したので、ぜひ最後まで読んで難易度の高い金融業界への就職を成功させてほしい。
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この記事を書いた人
東京大学工学部卒。大手一流ホワイト企業の内定請負人。就活塾「ホワイトアカデミー」を創立・経営。これまで800人以上の就活をサポート。塾はカリキュラムを消化した塾生のホワイト企業内定率100%を誇り、カリキュラムを消化したにもかかわらず、ホワイト企業の内定が出なければ費用を全額返金する返金保証制度を提供中。2019年に『子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法』(日経BP刊)を出版し、「親が子育ての集大成である"就活"に臨む際の必読書」、「これができれば本当に一流企業に内定できる」と話題。塾のYouTubeチャンネルではホワイトな業界の紹介や大手企業の倍率、ESの添削を公開するなど塾の就活ノウハウを一部紹介している。
YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCm1vSnSBj7kksfi8GIBnu0g
金融は「お金を融ずる」と書く。本来、お金が必要な個人・企業にお金を行き渡らせることが仕事である。行き渡らせ方は銀行のような貸付や、証券会社のような資金調達などが昔はあったわけだ。
しかし、社会が豊かになってくるとお金にまつわる様々なニーズが生まれ、金融サービスもそれに合わせた形で様々なものが生まれていった。
- お金を安全なところに保管したい→銀行預金
- 溜まったお金を株で増やしたい→証券会社
- 自分の身に何かあったときのための備えをしたい→保険
- 会社を買収するためのお金を調達したい→投資銀行
- クレーン機材を導入したい使いたいがまとまったお金がない→リース
- 危険なのでお金を持ち歩きたくない→クレジットカード
といった具合である。最近はビットコインに代表される仮想通貨や、家計簿アプリに代表されるfintechも出てきて、「お金に関わる仕事をするのが金融」というイメージが醸成されてきた。
しかし、それぞれの金融会社が別々の顧客および顧客ニーズに対応している以上、なかなか全体像が把握できない。そこで、各社の種類および仕事内容について解説する。
基本的な業務は預金・融資・為替が中心となっているが、近年は金融商品や資産運用のコンサルティングを行うリテール職で新卒を多く採用している。
銀行は大きく日本銀行・政府系銀行・メガバンク・信託銀行・地銀・信金・ネット銀行に分類される。メガバンクである三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行が有名だ。
職種としては、個人富裕層や中小企業オーナーの資産運用を手伝うリテール、中堅企業や大企業への融資を行うホールセールが代表的であるが、一部のエリートは王族や上場企業創業家の資産運用を支援するプライベートバンカーになる。
関連記事:高倍率の銀行に就職する方法 ノンバンク(ファイナンス・カンパニーやベンチャーキャピタルなど)
ノンバンクとは預金の受け入れを行わずに、個人や企業に対して様々な与信(貸付)業務を行う広義の金融業者の総称。
業務形態としては、
- 消費者金融会社(アコムやレイクなどのサラ金)
- クレジットカード会社
- 信販会社(セディナやジャックス)
- 事業者金融会社(商工ローン)
- リース会社
- ベンチャーキャピタル
等がある。
これらノンバンクは、貸付の原資を銀行借入等で賄っているため、貸出金利は銀行に比べて高い。一方で個人や事業者にとっては、借入れの審査の基準が銀行より緩くお金が借りやすいというメリットがあり、それがこうした業態の存在理由になっている。
保険会社は多数の顧客から保険料を受け入れたうえで、特定の条件を満たす事象(死亡、事故など)が発生した場合には、加入者に対して保険金を支払う。これらは健康などへの不安、あるいは事故や火災などへのリスクを排除したいというニーズに応えている。
受け取った保険料から会社の利益を引き、残ったものを保険金として支払っているので、ビジネスモデルとしては「宝くじやカジノの胴元」と全く同じである。
加えて、保険料を受け入れてから保険金を支払うまでには通常かなりの期間がかかるため、保険会社では受け入れた資金の大部分を将来の支払いに備えた準備金として積み立て、これを株などの有価証券等で運用することでも儲けている。
そのため、保険会社は機関投資家としての性格を持つ。
このうち、「生命保険会社」は死亡保険や個人年金保険により集めた資金を、長期貸出や有価証券投資によって運用している。企業の資金需要が乏しい現在は、運用の大半を有価証券で行っている。
一方、「損害保険会社」は自動車保険や火災保険、地震保険等で集めた資金を生命保険会社同様運用しているが、運用する資金量は生命保険会社よりかなり小さい規模となっている。これは損害保険の契約が1年ごとで、生命保険ほどまとまった金額を集めることが難しいためである。
職種としては保険の販売を行うリテール・ホールセール、保険の設計を行うアクチュアリーが代表的である。
証券会社や投資銀行は有価証券の売買や、M&Aの仲介によって利益を得ることを主な業務とする銀行で、預金を預かり貸出を行う商業銀行とは全く異なる存在だ。海外、特に米国では投資銀行は独立して存在しているが、日本では銀行や証券会社の一つの部門として投資銀行業務を行っているケースが多い。
職種としては、証券の販売を行うリテール、投資先の分析を行うアナリスト、会社のお金を運用するトレーダー、金融システムを作るクオンツ、M&Aのアドバイザリーを行うIB、顧客の資産運用を手伝うアセマネが代表的である。
ファンドとは、投資家や金融機関、富裕層から資金を集め、それを運用する投資のプロのこと。投資先企業の価値を高めて保有する株価を上昇させ、その売却益の増大を目指す「プライベート・エクイティー・ファンド」や、各種相場に投資し利益確保を実現する「ヘッジファンド」等がある。
日本では2000年代に「物言う株主」というフレーズで、村上ファンドやスティール・パートナーズ等、経営に強く関与するファンドの存在が注目された。
政府系金融機関は各種の政策目的を実施するために戦後の復興期から高度成長期にわたって次々に設立され、信用補完・リスク補完・収益補完といった機能を通じて民間金融を補完し、政策誘導的な金融活動を行っている。
現在は「日本政策投資銀行」「日本政策金融公庫」に集約されており、「日本政策投資銀行」は将来的には政府保有株式を売却し、完全民営化を図る方針となっている。
郵便局が取り扱う郵便貯金及び簡易保険については、長年政府系金融機関が融資を行う上での資金調達元となっていたが、民業圧迫との批判を受けて民営化が進められた。
2007年に郵政事業の民営化が行われ、郵便貯金はゆうちょ銀行に、簡易保険はかんぽ生命保険となった。民営化後のゆうちょ銀行の貯金残高やかんぽ生命の運用額は、それぞれの業界における民間の最大手をはるかに上回っており、国内最大規模となっている。
金融業界の共通の課題としては「マイナス金利」「他業種からの参入」がある。
マイナス金利については日本銀行による異次元の金融緩和の影響によるものだが、これにより貸出金利と預金の金利差が縮まり、金融機関の伝統的な収入源であった貸出金利鞘が減少している。これは貸出を生業とする銀行や信用金庫、生損保共通の問題となっている。
また、そもそも国内の資金需要が人口減少や経済活動の海外移転によって乏しい状況なので、貸出で利益を上げようと思えば海外市場を開拓する他ない状況である。
他業種からの金融業への参入についてはここ数年で急速に進んでおり、預金や住宅ローン、国内外決済等に参入する企業が増えている。特にFintechの登場は影響が大きく、従来人の手で手間をかけて行っていた金融機関の業務は見直しを迫られており、これついても銀行・信用金庫・生損保共通の問題と言える。
その他証券会社については、リテールビジネスについて、「短期間で利益」から「長期的な取引の中での利益」を目指すことを政府から求められている。リテールビジネスでは短期間に顧客に何度も株を買わせることで手数料を儲ける回転売買という手法をとっていたが、政府が日本国民の「貯蓄から投資へ」の流れを目指しているため、儲からないビジネスにも力を入れざるを得ない状況である。
2020年に流行した新型コロナウイルスによる影響は以下の通りである。
・銀行
企業の業績悪化に伴って新しい融資先を開拓する可能性が広がっている。一方、融資先企業については業績悪化に伴って資金を回収できなくなるリスクが高まっている。
この場合は引当金を計上することになるので、損益計算書上の業績は悪化する可能性が高い。与信調査にはこれまで以上に力を入れることになるだろう。地銀や信金は危険。
・証券会社、投資銀行
相場が大きく動いたため、株式の売買手数料によって一時的に潤っている。しかし、中長期的にはリテールビジネスがネット証券に手数料で負けてしまう構図は変わらないので、M&A関連にしか活路がない。
・保険会社
対面販売ができず、一時的に業績が下がっている。回復はするものの、国内市場は引き続き縮小していくだろう。海外に活路を見出している。
・クレカ、信販
コロナに伴うキャッシュレスが追い風となっている。
・リース
顧客企業の業績悪化に伴って支払いが滞るリスクがある。これは銀行と同様である。
・ネット銀行、ネット証券
今回のコロナで顧客数を増やしている。今後も顧客数は増えていくだろう。
就職をする際に重要になるのが年収とやりがいだろう。2021年版の業界地図によれば、40歳時の平均年収は以下のようになっている。
メガバンク:735万円
ノンバンク(クレジット・信販・リース):715万円
生命保険・損害保険:682万円
証券・ネット証券:670万円
地方銀行:608万円
ただし就職四季報の詳細なデータを確認すると、総合職の場合は上記の金額にあと100~300万円ほど上乗せされる会社が多いので、全般的に見れば総合職の平均年収は700~800万円のレンジに収まるだろう。
国内上場企業の40歳時の平均年収が600万円台であることを考えると、やはり金融業界の平均年収は高いと言える。金融業は儲かる、というのは本当だ。
なお、外資系の投資銀行は破格の報酬額で、ドイツ銀行は42.8歳で2082万円となっている。実力主義でクビにもなりやすいが、そのぶん残ることができる人の年収はやはり高い。
ヒアリング結果を総括すると、「顧客に喜んでもらえた時」「成長を実感できた時」「目標を達成できた時」などが大半であった。
銀行であれば、日々財務の専門性を身に付けることで成長が実感できることに加え、顧客である中小企業の社長と対等に仕事ができた時にはさらなる成長を実感できるだろう。
証券会社であれば、目標額の1億円の手数料を稼いだり、顧客の資産を増やして喜んでもらったりすることがやりがいにつながる。
また保険会社であれば、お客様が困った時に保険金を支払って喜んでもらうことなどでやりがいを感じられるといえる。
これらの「仕事のやりがい」に加えて、働くメリットも大きのが特徴だ。先ほどの年収の良さに加えて社宅・家賃補助やローン審査が通りやすいなどの福利厚生が良いこと、さらには土日休みでワークライフバランスを取りやすいということ、そして業界の知名度があって安定していることがやはり金融業界に就職するメリットといえる。
業界によって向いている人は若干違うが、下記の通りである。
銀行
新しいことをどんどん覚えないといけないので、勉強ができることは必須。その上で、目標に向かって努力ができたり、ミスなくお金を扱えたりするような几帳面な人は良い。
証券
リテール営業はハードで1日あたり200件訪問をすることもあるので、体力がある人や根性のある人、そして人情味があって人と接することが好きな人には良いだろう。一方、ホールセールは法人相手のため、論理的思考力の高い人が向いている。
保険
生命保険の場合、仕事の多くが個人営業のため人のためになることが好きな人や、目標を達成するために頑張れる人が向いている。一方で損害保険の場合は顧客が法人のため、ヒアリング能力の高さと論理的思考力の高さを持った人が向いているといえる。金融業界に就職するメリットは上記のものだけでなく、金融マンとしての専門性が身について転職がしやすくなることだ。どの企業も資金調達や財務・経理などの部門を必要としているため、金融業界出身者への求人は多くある。
加えてどの金融機関に行っても法人営業や個人の富裕層を相手にするビジネスに従事することが多いため、同じB to Bの会社(人材や広告、コンサルなど)に転職することは十分に可能だし、高級商材を扱う富裕層ビジネスの会社に転職することもできる。
また、身についた金融リテラシーを元に独立するという手もある。人によっては投資家になる人もいるし、FPとして独立する人もいる。お金をうまく扱うことができれば人生を自由に設計できるのであるから、独立を見据えた場合でもこの業界に就職するメリットは大きいといえる。
まずは就職の難易度から紹介しよう。ヒューマンデザイン研究所によると、金融業界への就職偏差値ランキングは以下の通りとなっている。
【75】ゴールドマンサックス
【74】JPモルガン モルガンスタンレー メリルリンチ ブラックロック
【73】フィデリティ ドイツ銀行
【72】バークレイズ シティグループ UBS クレディスイス BNPパリバ
【71】ソシエテジェネラル クレディアグリコル HSBC RBS
【70】日本銀行 野村證券(GM採用)
【69】日本政策投資銀行※DBJ 国際協力銀行※JBIC 日本取引所グループ※JPX 野村證券(IB採用) 東京海上日動火災保険(SPEC採用)
【68】野村アセットマネジメント※野村AM 大和証券(IB・GM採用) みずほ証券(IB採用) みずほフィナンシャルグループ(GCF採用) 三菱UFJモルガンスタンレー(IB採用) SMBC日興証券(S&T採用) 日本生命保険(AC採用)
【67】みずほフィナンシャルグループ(GM・AM採用) SMBC日興証券(IB採用) 第一生命(AC採用)
【66】三菱UFJ銀行(戦略財務会計・FT採用) 大和証券投資信託委託 三菱UFJ国際投信
【65】三菱UFJ銀行(GCIB採用) 日本証券金融 アセットマネジメントOne
【64】証券保管振替機構 ニッセイアセットマネジメント※ニッセイAM 三井住友DSアセットマネジメント※SMAM
【63】三井住友トラスト・アセットマネジメント※SMTAM 大和住銀投信投資顧問 全国銀行協会
【62】日本証券業協会 日本損害保険協会 日本相互証券 農林中央金庫
【61】損害保険料率算出機構 東京海上日動火災保険(総合職採用) 三菱UFJ信託銀行
【60】日本生命保険(総合職採用) 東京短資 セントラル短資 上田八木短資【59】トーア再保険 格付投資情報センター※R&I 三菱UFJ銀行(OP採用)
【58】三井住友信託銀行 三井住友海上火災保険(総合職採用) 全国共済農業協同組合連合会※JA共済 生命保険協会 信託協会 預金保険機構
【57】日本政策金融公庫(JFC) SMBC日興証券(総合職採用) 第一生命保険(総合職採用) プルデンシャル生命保険 損害保険ジャパン日本興亜 信金中央金庫
【56】みずほフィナンシャルグループ(OP採用) 商工組合中央金庫※商工中金 明治安田生命保険 全国信用協同組合連合会※全信組連 東京中小企業投資育成※SBIC
【55】住友生命保険 かんぽ生命保険 あいおいニッセイ同和損害保険 東京金融取引所 全国地方銀行協会 東京信用保証協会(首都圏・大都市) 松井証券 マネックス証券【54】ゆうちょ銀行 野村證券(総合職採用) SMBC日興証券(総合職採用) 全労済 Quick 地場証券ディーラー
【53】大和証券(総合職採用) 三菱UFJモルガンスタンレー証券(総合職採用) みずほ証券(総合職採用) 新生銀行 大同生命保険 JCB オリックス 三菱UFJリース※MUL
【52】横浜銀行 富国生命保険 りそな銀行 三井住友海上プライマリー生命保険 あおぞら銀行 三菱UFJニコス 三井住友ファイナンス&リース※SMFL
【51】静岡銀行 千葉銀行 中央労働金庫 東京海上日動あんしん生命 三井住友海上あいおい生命保険 三井住友カード
【50】福岡銀行 常陽銀行 SMBC信託銀行 京都銀行 朝日生命保健 太陽生命保険 三井生命保険
【49】富士火災海上保険 共栄火災海上保険(共栄火災) 日新火災海上保険(日新火災) 城南信用金庫(城南信金) 京都中央信用金庫(京都中央信金) 損害保険ジャパン(SJNK) SOMPOひまわり生命保険
引用:
ヒューマンデザイン研究所 基本的には外資系投資銀行→政府系銀行→証券会社→メガバンク→損害保険→生命保険→地銀・信金という序列になっている。多くの就活生が、先ほどの展望を予測し、地銀や信金を倦厭している様子が現れている。
なお、金融業界はその待遇ゆえ、高倍率になりがちである。一番人を採用するメガバンクの場合でも50倍程度なので、なんとなくエントリーしても受かる業界ではないことは覚えておいてほしい。
ちなみに、ネット証券で業績を伸ばしている松井証券の倍率は246倍、クレジットカード会社のジェーシービーは153倍だった。
ちなみに、2020年に就活をして2021年4月に入社する大学生を相手にキャリタスが調査した人気企業ランキングは以下の通りだった。
1位 東京海上火災保険
2位 損害保険ジャパン
3位 三井住友海上
4位 三菱UFJ銀行
5位 三井住友銀行
6位 日本生命保険
7位 みずほフィナンシャルグループ
8位 明治安田生命保険
9位 第一生命保険
10位 ジェーシービー
引用:
キャリタス これらの会社に内定しようと思った場合、これから記載する専用の就活対策をしていくことを勧める。
金融業界の就職事情②〜就活時期・学歴・資格について〜
金融業界の就活については大学3年生の2月などに行われる冬インターンシップから始まる。ここである程度優秀と認められれば、その後企業側から「説明会」「質問会」と称してアプローチがある。
もちろんインターンに参加せず通常の説明会・面接の順に就活を進めても内定は取れるが、インターン生の方が企業に対してアピールする機会が増えるので、インターンには積極的に参加すると良いだろう。
ただし、優秀でないと判断された場合はそこでペケをつけられてしまうので、準備ができてから参加する方が良いといえる。
「金融業界の就職は学歴と関係はあるのか」という質問が例年聞かれるが、結論、ある。というのも、金融業界は新しく覚えないといけないことが多かったり計算が多かったりするため、必然的に高学歴の方が業務適性があるからである。
先ほど人気ランキングと倍率の部分でも記載したが、採用数は予め大学毎に決まっている。そのため、毎年100人取ると決めている大学もあるし、1人も取らなくても別に問題ないという扱いをされている大学もある。
ただ学歴があまり高くない大学の出身であっても、やるべきことをやれば採用されるので、現時点であきらめる必要はないということは覚えておくと良いだろう。
「銀行は色々な資格が必要になるので簿記などを就活前に取得しておきたい取っておきたい」と考える学生は多いが、公認会計士や税理士などを取らない限り、基本的に有利になることはない。
よく簿記に取り組む学生がいるが、実際に会社に入ってから簿記を使うのは主計部等ごく限られた人だけであり、就活でそこまで有利になることはない。
それより、金融業界は高い営業目標が与えられてそれをクリアしてくことが求められるので、大学時代に何か高い目標を立ててそれをクリアする経験をしておくことを勧める。
銀行が代表的だが、金融業界はカッチリとした服装や言動が求められることが多いので、アパレルやIT業界を受けるのと同じノリでいかないこと。加えて、就職留年をして2度同じ会社を受けると、金融業界では落とされることが多いので注意したい。
ここからは、就職難易度の高い金融業界に内定するための3つのポイントについて解説する。
上述した通り、金融業界は経済や財務のニュースや資格を含めて常に新しいことを学んでいく必要がある。加えて、計算をすることも日常茶飯事なので、SPIに代表される筆記試験ではその基礎能力があるかどうかを判断される。
算数や数学が苦手であれば、できるだけ早めからSPI対策を始めた方が良いだろう。詳しくは以下の動画で解説しているので見ておくことと勧める。
関連:SPI動画
面接においては、なぜ金融業界なのか?→その中でなぜ銀行なのか?→その中でなぜ当社なのか?という形で業界選定理由→業種選定理由→会社選定理由の順で志望動機が聞かれる。
これらに対して論理的かつ自分の経験を根拠に話していかないと突っ込まれて落選してしまうため、正しい志望動機を各業界に合わせて持っておく必要がある。
とはいえ、どんなものが正しい志望動機かを理解するのは難しいと思われるので、以下に一例を示す。自身の思いや体験と一致するものがあれば、これらを参考に志望動機を組み立ててほしい。
・国民(個人)の資産形成に役立ちたい
→銀行(運用全般)、生命保険会社(個人年金)、証券会社(運用全般)
・中小企業の経営を支援したい
→銀行(法人融資)、生命保険会社(法人保険)、損害保険会社(各種保険)、証券(運用全般、M&A)、信託銀行(事業承継、不動産事業)
・どんな業界にも広く生かせる“営業力”を身につけたい
→金融業界全般(形の無いサービスを取り扱うため担当者の営業力が物をいう世界)
・人が幸せに暮らせるための支援をしたい
→銀行(住宅ローン等個人向けローン、預金)、生命保険会社・損害保険会社(各種保険)
・富裕層の人たちへのサービスに興味がある
→銀行(資産運用)、証券(資産運用)、信託銀行(資産運用)、生命保険会社(資産運用)
・災害や事故などで困っている人や会社を助けたい
→生命保険会社・損害保険会社(各種保険)
・市場(マーケット)のフロント業務に携わりたい
→銀行・信託銀行・証券・生命保険会社・損害保険会社等の市場部門
・大規模な事業開発を金融によって支援したい
→銀行・信託銀行・証券
・企業経営に深く関われる仕事がしたい
→銀行・信託銀行・証券
・多額の資金を運用してみたい
→銀行・信託銀行・証券・生命保険会社・損害保険会社等の運用部門、ファンド
・経済や市場の動向を予測する仕事に携わりたい
→銀行・信託銀行・証券・生命保険会社・損害保険会社等の調査部門
・金融を通して生活を便利にする仕事がしたい
→銀行・信託銀行・証券・生命保険会社・損害保険会社等の個人分野の企画部門
・金融の仕組みや商品開発に興味がある
→銀行・信託銀行・証券・生命保険会社・損害保険会社等の法人個人両分野の企画部門
・理系として学んだことや資質を生かしたい
→銀行・信託銀行・証券・生命保険会社・損害保険会社等のリスク管理部門、計数管理部門、商品開発部門
・ヘッジファンドに関心がある
→ファンド
以上の2つのポイントができれば、最終面接には進めるはずだ。しかし最後の相手は役員や頭取であり、そこでは必然的に経営や経済についての話が出る。
そういった話に対応できるよう、日経新聞を読んで経済や経営について会話できるようになっておくことを勧める。「今後伸びそうな事業はどこか」「銀行としてはどこにビジネスチャンスがあるか」「提携すべきfintechの会社はどこか」といったことについてしっかりと意見を持てるようになっておくと良いだろう。
ニュースについて全く調べずに金融業界を受けても、面接官やOBOGとの会話にならない。基本的に新しいことを情報蒐集していくことが必要な業界なのだから、日頃から経済に関するニュースはしっかりとチェックし、ビジネスマンとしての視点を持つことが重要だ。
金融業界への就職活動について書いてきたが、やはりこの業界は年収も良いし、スキルや専門性も身について転職もしやすいため、ファーストキャリアで選ぶに値する業界であるといえる。
とはいえ、高倍率な業界であるし選考基準も高いため、何も考えずに受かることはない。筆記試験対策や面接対策を始め、日頃から着々と準備を始めないと内定はおぼつかないので、できるだけ早くから就活対策をしてほしい。
特に、就職偏差値の高い金融機関に内定するためには、論理的思考力の高さも重要だ。文系の学生はこの辺りが弱いので訓練して身につけてほしいし、もしそれが独学では難しいということであればホワイトアカデミーに来ることを検討してほしい。
ホワイトアカデミーでは銀行・外資系投資銀行・証券会社などでの勤務経験豊富な先生や、現在現役の先生がマンツーマンで金融業界に内定するための訓練とアドバイスを提供している。
毎月20名限定で無料相談会を行なっているので、本気で金融業界に内定したい人はぜひ一度検討してほしい。