農学部では食べ物について学ぶことも多いため、健康食品、加工食品、冷凍食品、飲料などを扱う食品業界には、学んだことを生かすことができるという点で志望がしやすい。
市場動向としても、最近の健康食ブームや企業同士がコラボ商品をするなどの動きが国内では起こっているし、海外ではアジア圏を中心に日本食市場が伸びてきているため、安定かつ将来性のある業界となっている。
ただし、この業界は選考の倍率が100倍以上となっていることがザラなので、しっかりとした対策をしないと、内定するのは難しい。
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食品業界についての記事 なお、食品業界における農学部出身者の活躍の場は主に4つあるので、ここからはそれについて具体的に説明する。
研究職
研究職の中でもいくつか分類がある。
- 新しい食品の開発に関係する発見を探す基礎研究
- 実際に販売される商品の味や形、香りを研究する製品開発研究
- 製品を実際に作るときに必要な技術を研究する技術研究
いずれも研究所に勤務し、日夜研究することになる。
とはいえ、この研究職は理系の中でかなりの人気を誇っている上に、採用数が1企業あたり例年3名程度となっている例も多いため、倍率が50倍、100倍となることも珍しくない。結果的に、上位校の大学院卒ばかりが就職しているのが現実である。
製造技術職
製造技術職は、作業員の勤務の管理、また工場の生産ラインにある機器などの設計やメンテナンスを行う。
これらの業務の幅広さは就職先によってまちまちだが、基本的には工場で生まれる商品を効率よく、低コストで、安全性を保って生産するための仕組みづくりを行うのが仕事である。
具体的には、アルバイト・パートの方と一緒に、どのような機器をどう置けば良いのか、人員配置はどうすれば良いのかなどを考えることになる。また、経験を積んで役職が上がっていけば、工場での製造体制を考えるだけにとどまらず、会社全体の生産体制を考えることも多い。
この製造技術職は、責任重大な仕事だが、「現場で実際に食べ物とかかわりたい!」という人には向いていると言える。
品質管理職
品質管理職の仕事は食品の品質を検査し、安全性について管理するものだ。具体的には、工場で生産された商品の品質を、国際的に推奨されているHACCP(ハセップ・ハサップ)という方法に基づいて、農薬残留量・病原菌などの危険因子がどうなっているかを検査し、管理する。
検査の過程で万が一不良品があれば、工場のどの段階で問題が発生したのかを調査し、関係部署へ報告し、改善策を提示する。製品出荷前の最終確認をすることもあるから、背負う責任は重いと言える。
しかし、お客様に食品を届ける最後の現場に立ち会えるので、そのぶんやりがいも大きいと言える。
営業職
食品メーカーが食品を消費者に販売する際には、基本的にスーパー、コンビニにとどまらず、レストランなどの流通業者を介している。そのため、それらの流通業者に自社の商品を置いてもらえるよう、営業活動を行う必要がある。
スーパーなどに訪問し、商品の陳列方法や店頭で貼るポップ、商品の広告方法なども提案しながら、お店側と交渉して自社の商品を置いてもらえるようにするのが営業職である。
営業職が最も採用人数が多いが、文系学生との競争になるため、こちらは大手企業だと倍率100倍越えが普通となる。生半可な覚悟では内定できないので注意したい。