画期的で夢中になれるようなおもちゃを生み出して、子供の成長を促す。そんなおもちゃ業界を就職の視野に入れている人もたくさんいるのではないでしょうか。
今回はそんな方々のためにおもちゃ業界の志望動機の書き方や業界全体の動向・課題など、就活に必要なことを徹底的に調べてきました。
ぜひ参考にしてみてください!
この記事の登場人物
富田:理工学部の3年生。自己主張は苦手だが心根は優しい草食系男子。メーカーを志望して就活をしている。
春山:経済学部の3年生。あだ名はハルちゃん。明るくハキハキしていて「考えるより動け!」の行動派。母子家庭出身で、化粧品や日用品など女性を対象とした仕事に就きたいと考えている。
白河:社会人3年目のヘッドハンター。ホワイトアカデミー在学中に内定をもらった東証一部の人材系企業で勤務。ホワイトアカデミーとは、特別講師という形で現在も付き合いが続いている。
おもちゃ業界とは?
まず、おもちゃ業界の定義について確認しましょう。
おもちゃ業界とは、おもちゃの企画、生産、販売のすべてを行う業界です。
「おもちゃ」というものは2種類の分野に分けられます。
家庭用ゲーム分野
家庭用ゲームはさらに2種類に分けられます。
一つは家の中に設置してテレビなどに接続してゲームをする「据え置き型ゲーム機」で、任天堂のWii・Nintendo SwitchやソニーのPlayStation4、マイクロソフトのXboxシリーズなどが当てはまります。
もう一つは充電式で持ち運びが可能なタイプである「携帯式ゲーム機」です。これは任天堂の3DSやSONYのPlayStation Vitaなどが当てはまります。
この家庭用ゲーム分野は近年のスマホゲームの発展により、徐々に売り上げを落としています。特に、「据え置き型ゲーム機」の売り上げは早い速度で低下しています。
おもちゃ分野
おもちゃ分野は人形やアニメキャラクターグッズなどのテレビ接続などを必要としない、いわゆる「おもちゃ」を生産・販売している分野です。
具体的な名前を挙げていくと、リカちゃんシリーズ・シルバニアファミリーシリーズ・仮面ライダーシリーズ・プリキュアシリーズ・トミカ、プラレールシリーズ・各種ボードゲームなど、一度は聞いたことのある息の長い商品を多く生産・販売している分野です。
志望動機
おもちゃ業界を目指して、就職した人たちはどのような志望動機を持っていたのでしょうか?
おもちゃが好き or 子供が好き
これは、おもちゃ業界に入る上ではマストの動機ともいえるかもしれません。
子供が楽しめむためのおもちゃを作っている時に、作っている自分たち自身が楽しめていなければ良い商品は生まれないでしょう。
また子供達がおもちゃで怪我をしないように安全面にも配慮をする必要がありますから、子供の目線に立って、子供のことにしっかりと意識を向けることができる人でなければならないのも事実です。
「夢」や「希望」を持っている
これは、商品が「おもちゃ」という遊びのためのものであるというところが関わっています。
おもちゃを通して子供たちが得るものは、「現実」や「絶望」といったリアルなものではありません。「夢」や「希望」といったいわば現実とはひとつ離れたところにあるものです。
新しいおもちゃやゲーム機を手に入れたときの興奮や緊張、そのような今まで自分も感じたことのある気持ちの高ぶりを、今度は大人になった自分たちが子供たちに味わわせてあげたい。そのような思いを胸に、この業界を目指した人は多くいるようです。
業界の動向や課題
おもちゃ業界の現在の動向と、業界全体の問題点を見ていきましょう。
現在の動向
おもちゃ業界の家庭用ゲーム分野はスマホゲームの開発の進展で、非常に苦しい状況に追い込まれています。やはりスマホゲームはアプリをインストールするだけで簡単に出来てしまうので、その手軽さが若年層に人気な理由のようです。
おもちゃ分野では、先ほど紹介したようなロングセラー商品や各種ボードゲームなどはあまり売り上げが落ちることなく安定した利益が出ていますが、少子高齢化の影響も徐々に出始めており、年々売り上げが落ちてきているのも事実です。
そこで現在では、昔流行したアニメのグッズなどをクオリティを上げて再商品化することで、大人になったかつての子供たちが「懐かしい」という思いで購入してもらえるようにするなどのターゲット層の拡大に向かっている状況があります。
問題点
おもちゃ業界の大きな特徴としては、爆発的なヒットをした時は非常に大きな利益を生むことができるという点です。
おもちゃ業界は過去の例で言うと「たまごっち」や「ポケモン」、「妖怪ウォッチ」やディズニー系の関連商品(アナと雪の女王など)が爆発的に売れると、社会現象が巻き起こるほどの影響力を持っています。
しかし逆に言えばヒット商品が生まれなかったら、利益がほとんど得られないということです。
つまり、年によってかなり利益に幅がある業界なのです。
そのため、市場や在庫の管理が重要になってきます。流行の波に遅れた商品を作ってしまう、あるいは必要以上の数の商品を用意してしまうと多額の損害を負うことになってしまうというデメリットもある業界です。
この業界全体の年による利益幅の大きさが問題点をいえるかもしれません。
売り上げランキング
- 1位:ソニー 1兆4,797億円
- 2位:バンダイナムコHD 5,755億円
- 3位:任天堂 5,044億円
- 4位:セガサミーHD 3,479億円
- 5位:コナミHD 2,499億円
- 6位:スクウェア・エニックス・HD 2,141億円
- 7位:ハピネット 1,872億円
- 8位:タカラトミー 1,630億円
- 9位:ピジョン 922億円
- 10位:カプコン 770億円
これがおもちゃ業界の売り上げランキングです。
見てわかる通り、ソニーが圧倒的な売り上げを誇っています。
任天堂は2007年頃は「Wii」が爆発的に売れたおかげでおもちゃ業界全体を引っ張っていましたが、現在では新しく発売された「WiiU」や「Nintendo Switch」の売り上げがあまり伸びておらず、おもちゃ業界、特に家庭ゲーム機分野は低迷を続けています。
平均年収ランキング
- 1位:スクウェア・エニックス・HD 1,402万円
- 2位:バンダイナムコHD 1,174万円
- 3位:ソニー 935万円
- 4位:任天堂 891万円
- 5位:セガサミーHD 849万円
- 6位:コナミHD 776万円
- 7位:コーエーテクモHD 757万円
- 8位:サンリオ 749万円
- 9位:ピープル 629万円
- 10位:タカラトミー 609万円
こちらの平均年収ランキングではスクウェア・エニックス・HDが圧倒的です。
先ほど圧倒的だったソニーにも大きな差をつけています。
スクウェア・エニックス・HDは「ドラゴンクエスト」シリーズや「ファイナルファンタジー」シリーズなどのビッグタイトルを多く持っていることで、ある程度一定の顧客が確保できているという点が、高い平均年収という結果につながっていると考えられます。
業界のこれから
おもちゃ業界の将来性はどうなのでしょうか。
まずおもちゃ業界の将来性に関わってくる内容を挙げていきましょう。
少子化
まず、何よりも大きな影響を持っているのは少子化です。
やはりおもちゃ業界の商品の一番のターゲットは子供ですから、そもそものその全体数が減っているというのは非常に由々しき事態です。
家庭用ゲーム機の衰退
これは前にも述べましたがスマホゲームが発展してきており、その利用の容易さなどから家庭用ゲーム機の需要が減ってきており、その売り上げは落ちてきています。
それに対して、スマートフォンの市場や売り上げはこれからも加速度的に伸びていく見込みがあるので、ますます家庭用ゲーム機は苦しい状況に追い込まれていくことになるでしょう。
この二点が主なおもちゃ業界の将来に影響を与える状況です。
これらに対応するために今後おもちゃ業界がどう変化していくのかを見ていきましょう。
ターゲット層の拡大
これも前に述べましたが、昔に流行したおもちゃをクオリティを上げて再商品化するという商法が増えています。
「当時は買えなかったけど、大人になった今なら買える」「懐かしい」という感情を呼び起こし購入してもらうという、ターゲットを大人やマニアに向けた商品化を行っていくでしょう。
外国市場への進出
日本国内の子供の数が減少していることを受けて、海外の子供たちに目を向ける企業は少なからず出てくるでしょう。
海外の国には当然少子化に陥っていない国も多くありますから、需要は明らかに日本よりも海外の方があります。
しかし、やはり国ごとにニーズや好みは違いますので、それを理解していく必要が出てきます。そう考えるとますますおもちゃ業界を目指す時には、英語の需要が高まってくるかもしれません。
スマホゲームへの進出
最近では、スマホゲームの人気の波に乗ろうとしてかスマホゲーム開発に乗り出す企業が増えてきています。2017年には任天堂がディー・エヌ・エーと提携し、スマホゲームへの参入をすることを発表しました。
このように、おもちゃ業界は次々と市場の新規開拓や新規事業の立ち上げなどを行う可能性があります。
これから、おもちゃ業界は革新の時を迎えるかもしれないので、しっかりとした意思を持って就職活動をするようにしましょう。
業界のこれからに注目
おもちゃ業界は今、様々な時代の煽りや世界の流れに翻弄されています。
その中で、おもちゃ業界もまた様々な策を講じて状況を打開しようとしていくはずです。
市場拡大や新規事業の立ち上げなど、おもちゃ業界は近いうちに何かある業界だと考えておいて損はないでしょう。
おもちゃ業界を目指す方は、しっかりと業界の動向に目を向けながら業界研究など頑張ってください。
この記事があなたの就活の役に立てると嬉しいです。