高学歴で就職できないって本当!?就活で不利になる意外な盲点

近頃話題の“ポスドク問題”を知っていますか?

ポスドクとはポストドクターのことで博士号を取得した非正規研究職員、つまり大学院生と研究助手の間のポジションです。

大学院を終えて博士号取得といえば、学歴の頂点とも言える超高学歴です。

しかし、彼らの多くはポスドクとして、派遣社員のような生活を送っています。

この”ポスドク問題”に代表されるように、最近はなかなか正社員として就職できない高学歴の若者が増えています。

実は、これには採用の仕組みが大いに関係しており、さらに高学歴学生の盲点とも言える意外な弱点が原因となっているのです。

今回は高学歴学生が就活で不利になる意外な盲点を解明していきます。無駄にお祈りされて神経をすり減らすのはもう止めましょう。

この記事を書いた人:Eri

「ホワイト企業への道」のライター。
ウェディングの会社、ブランディング会社やWEB制作会社で勤務後、フリーのライターとして現在活動中。ウェディングの仕事をしている最中、現場の社員が煩雑な仕事を仕組みや論理で鮮やかに解決する場面に遭遇してから、「共に頑張る仲間が使いやすいシステムを作る」ことがテーマ。問題解決や分析を得意とし、コンサルティング会社の仕事にも関わりながら、若者に向けたロジカルシンキングなどの勉強会も開催している。

原因①採用基準の変化

コミュニケーション力の重要性

企業側は「優秀な学生を囲い込みたい。」とインターンシップや事前セミナーで躍起になって囲い込みをしています。

しかし、”優秀な学生”とは何でしょう。

”優秀”の定義は難しいですよね。一昔前までは「優秀かどうかなんて働くまで分からない。

だから優秀である確率が高いであろう難関大学出身の学生を採用しておけば間違いないだろう。」という考えで採用していました。

しかし、何年もその採用を続けていると、企業も「そうではないかもしれない。」ということに気付きます。

時代の流れも相まって、「学歴より人柄!コミュニケーション力!」という話になり、「社会人基礎力」という言葉が生まれました。

社会人基礎力とはシンキング・アクション・チームワークです。

特に近年はチームワークが重視される傾向にあります。そこで必要になってくるのがコミュニケーション力です。

この頃の採用ではコミュニケーション力を特に見ています。

極端な話、実績が良くてもコミュニケーション力不足だとそれだけで落とされてしまうと言っても良いほどです。

企業の採用担当者に言わせれば、「勉強が出来ないことよりもコミュニケーションが取れないことの方が問題。

なぜなら仕事は一人でやるものではないから。」ということでしょう。

高学歴ほどコミュニケーション力不足になる仕組み

高学歴な学生が総じてコミュニケーション力不足に陥るのには理由があります。

彼らは難関の入学試験を突破するため、受験勉強に多くの時間を費やしてきています。

その分友達と遊んだり、恋愛をしたり、旅行に行ったりした時間が少ない人が多いでしょう。

勉強はコミュニケーションを取らなくても出来てしまうからです。

受験勉強だけではありません。影響は入学後にも及びます。

高学歴な学生に人気のアルバイトといえば家庭教師や塾講師です。勉強を頑張ってきたのですからその強みを生かしたくなるのが人の性でしょう。

まして、家庭教師などは難関大学の学生を優遇することもあり、総じて高時給になります。

東大生なら時給2000円とも言います。倍の時給がもらえるのならそちらを選びますよね…。

しかしここに落とし穴があります。多くの学生がする接客のアルバイトであれば、お客様は大人が多くなります。

ですから自然と大人の会話が耳に入る環境にあるのです。居酒屋が良い例ですね。

反面、家庭教師や塾講師のお客様は子供です。少なくとも自分より年下の相手ばかりです。

講師も大学生のアルバイトが多いですから、大人とコミュニケーションをとる機会が接客業などと比べて格段に少ないのです。

接客業ではマニュアルに基づいて丁寧な言葉遣いをかなり叩き込まれますし、お客様の前を横切らないようにといった礼儀も教わります。

ところが塾講師では堅い言葉を使う講師よりも面白いことが言える講師の方が人気でしょう。

お客様に合わせるのが仕事ですからこれは当然と言えます。

結果的に高学歴な学生ほど礼儀作法、マナーがなっていなかったり、大人との会話が成立しなかったりするのです。

原因②プライド・慢心

怒られたことのない学生も多い

高学歴な学生の多くは親の期待に応えて勉強してきています。

親の言いつけを守る”良い子”が多いのも特徴です。一見褒められたことのように思えますが、裏を返せば「怒られた経験がない」ということです。

彼らは懸命に勉強して頑張って褒められて、認められて育ってきている分、「できない自分」を認められない傾向にあります。

彼ら特有の症状として「怒られること・叱られることを極端に恐れる」というのがあります。

以前、アルバイトや新入社員のミスを咎めると、

「そんな指示はされてません。」「言われた通りにしただけです。」

といった反応をすると話題になりましたが、彼らの発言の裏には「言われた通りのこと以外のことをすれば怒られるかもしれない。」という心理が垣間見られます。

怒られたり叱られたりすることに慣れていない”良い子”ほどそれを極端に恐れてしまい、企業に言わせれば「指示待ち人間」と化してしまうのです。

「分からないことがあったら聞いて。」と上司に言われても何も質問してこないのも、「こんなことも分からないと思われたくない。」というプライドが邪魔をしてしまうからです。

折られた経験が無い

先ほどの話と通じますが、高学歴な学生は小中学校時代から成績優秀で褒められてきた人が多いです。

ゆえに自分より出来る人が多くいる環境に身を置いたことが無い人もいます。

「自分は大丈夫だろう」と井の中の蛙状態で就活に臨み、初めて折られる経験をする人も少なくありません。

それだけ、学校というのは閉鎖的な空間です。

学生の中で活躍するタイプと社会で活躍するタイプは根本的に異なります。

意外なようですが、学生団体のリーダーや部活の部長など、学生時代に華々しい経歴を持つ人ほど折られることが多いのです。

原因③学歴がとんでもない誤解を生む!?

“逆学歴フィルター”の存在

これは中小・零細企業の採用における話です。有利に働くと考えている学歴のせいで逆に落とされてしまうという事例です。

中小・零細企業は基本的に大手企業ほど潤沢な資金がないので採用コストはできるだけ抑えようとします。

ですから毎年の採用人数も少ないのが一般的です。少ない枠だからこそ選りすぐりの学生を採りたいというのが人事の本音です。しかしここが落とし穴。

中小企業にとって選りすぐりの学生とは、いわゆる優秀な学生ではなくこの会社で長く一生懸命働いてくれる学生です。

一人を採用するコストを考えたらその方がコストダウンに繋がるのです。

一般的に大手を狙う学生ほど「とりあえず中小企業の内定をとっておこう」と考え、中小企業を受けます。それは企業も織り込み済み。

そして一般的に高学歴な学生ほど大手を狙います。

ですから中小企業は高学歴な学生が受けに来たら基本的に「どうせ第3、4希望だろう。」という構えになりやすいのです。

たとえ第3希望であっても学生はそんなことを言わないのは企業も承知していますから、こうした”逆学歴フィルター”で判断するしかないという現状があります。

結果、高学歴な学生は倍率の高い大手はもちろん、中小企業からも内定をもらいづらい構図が生まれてしまっているのです。

このように、高学歴だからと言って安心できないのが今の就活事情です。

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社長は自分より優秀な学生を採らない

これは人の心理的に当然とも言えますが、社長は自分より優秀な学生を採ろうとしません。いや、採れないのです。なぜなら組織崩壊を招きやすいからです。

運動部で自分よりうまい後輩が入部してきて肩身の狭いを思いをする人がいます。

酷いと後輩がいうことを聞かず、基礎練習をサボり、それが他のメンバーにも伝播してしまい、チームワークがバラバラになります。

会社でも同じです。社長よりできる後輩が入ってきたら、よほど気を使わない限り上司からのやっかみに遭うか、社員が社長についてこなくなるかで会社にとっても、社員にとっても良くない事態を招くでしょう。

まして人数の少ない中小企業における一人の影響力は侮れません。

高学歴で実績も輝かしいのに落ちまくる就活生が生まれるのはこういった事情があるからなのです。

ザビ男
じゃあ、せっかく勉強して学歴を手に入れても無駄ってことですか!
いやいや~!そうではないんですよ!キーワードは「思いやり」!

やるべきこと

人事への“見せ方”を変える

多くの就活生は”見せ方”を間違えています。実績や経験のアピールに重点を置き、肝心のコミュニケーション力のトレーニングはしていないことが多いでしょう。

アピールすべきは“人柄”“企業への熱意”“可能性”です。実績ではなく過程を大切にし、エネルギーを持って伝えましょう。

なお、人事への見せ方をトレーニングしたい方にとって、就活スクールはぴったりの場所です。

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OB訪問をする

業界研究や企業研究のためにOB訪問をすると良いとはよく言いますが、貴重な社会人との密なコミュニケーションの場でもあります。

親切な人だとマナーや礼儀がなってないと指摘してくれることもあります。そういった場合は有難く受け取りましょう。

今、出来ていないことをはっきり指摘してくれる優しさを持つ大人は少なくなっています。

ちょっと勇気が要りますが、思い切って自分の礼儀作法やマナーについて、出来ていない点を指摘して欲しいとお願いするのは有効です。

社会人の方は基本的に一通りのビジネスマナーを身につけています。

学生でこれが出来ている人は意外と少ないので、マナーが完璧に出来ていると人事の目に止まりやすくなります。

ズバズバ指摘されるのは耳が痛いかもしれませんが、選考で静かにお祈りされるよりはずっと良いでしょう。

聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥です。

論理性を磨く

結論から話す、論点をずらさず簡潔に答える、単純に考える…

「ロジックが通っていることが大事。」とはよく言いますが、書き方、話し方まで日頃から徹底できている学生は非常に少ないです。

ケース問題やグループディスカッションではロジックを意識できても、日々の生活で意識出来ていなければ、面接の場で論理的に話すことなかなか出来ません。

まずは日常生活で結論から話すこと、抽象的な言葉よりも具体的な言葉を選んで話すことを意識してみましょう。

特に忙しい社会人と話す際には結論から話さないと相手をイライラさせてしまい、悪印象です。

「エレベーターピッチ」という言葉があります。シリコンバレーの起業家が生み出した言葉です。

エレベーターの中で投資家と乗り合わせたら自分のビジネスプランを30秒で的確に伝えなければいけない、という意味です。

確かにエレベーターに乗ってから降りるまで、だいたい30秒くらいでしょう。

ITベンチャーひしめくシリコンバレーでは、投資家に「面白い」と思ってもらえるかどうかが事業拡大のチャンスを左右しますから、この30秒は重要です。

ここまで極端ではありませんが、社会人になればエレベーター前で上司に「◯◯の案件は今、どんな感じかね。」と聞かれる場面もあるでしょう。

そういった時に簡潔に答えられなければ上司はイライラさせられるでしょう。貴重な仕事の時間を奪ってしまうことにも繋がります。

日常会話でも結論から簡潔に分かりやすく話すことを意識してやってみましょう。その方が話を聞いてもらいやすくなります。

相手視点で考えよう

高学歴でも就職できない学生の実態について、企業側と学生側の観点からまとめ、具体策を提示してきました。

最も重要なのは、常に「相手視点」で考えることです。

論理的に話すのも、見せ方に気をつかうのも、マナーも根底にあるのは相手への思いやり、心遣いです。

企業の人事も人間ですから、最終的には「一緒に働きたいかどうか」で決めるといいます。

まずはまわりの人を思いやり、丁寧に接していくことが一番の就活対策かもしれませんね。

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