「学部卒で就職した方が良いか、大学院進学後に就職した方が良いか迷っている」
「大学院って費用も掛かるだろうし、無理に進学する必要は無いのかな?」
こんなお悩みを解決していきます。
本記事の内容
- 大学院の進学か、学部で就職かどちらが有利か
- 大学院から就職のメリット、デメリット
- 学部就職のメリット、デメリット
現在大学生の方で、就活がいよいよ迫っておりこのまま就活をすべきか、もしくは大学院かで迷っている方には役に立つ内容となっております。
後悔しない人生を歩むためにもまずは、学部卒と大学院修了後の就職の違いについても理解すると良いと思います。
数学検定1級保持者で東京大学工学部卒にもかかわらず、自身の就活に失敗し就職留年した経験から企業の人材戦略の道へ。
新卒の学生が一流企業に内定するための独自の方法論と、3年後離職率・OpenWorkでの評価・帝国データバンクの評点を用いた客観的視点から日夜ホワイト企業を研究。
研究内容を自社メディアで掲載したところ、就活生や親御様の間で話題となり、月間で35万PVを達成した。
現在も、塾生がカリキュラムを消化したものの、ホワイト企業の内定を1社も得られなければ授業料を全額返金という方針で、上位大学だけでなく、全国幅広い大学の学生の就活指導を行なっている。
「就職浪人からANAグループに内定した! 」「留年すれすれから日本IBMに内定! 」「指導を受けた次の日から大手企業の面接で落ちなくなった! 」など、喜びの声多数。
著書に「子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法」(日経BP社)がある。
目次
就職するには、大学院修了後 or 学部卒どちらがベストか
この章では、就職する際に大学院卒か学部卒のどちらが良いのかを判断するために、それぞれの強みについて解説していきます。
自分に合った選択肢を進んでいくのが、一番ベストかと思いますので、それぞれの強みを見ていきましょう。
学部卒で就職する場合の強み
学部卒で就職する強みは、最も早く社会人デビューできる事です。なぜなら現役でストレートでそのまま就職すれば、22歳くらいに就職し、そこからキャリアを歩むことができるからです。
もし、大学院に進めば2年間余分に学生をやる事になるので、就職する頃には24歳くらいになります。たかが2年と考える方もいるかもしれません。
しかし、20代のうちは早くから経験を積めば、その分できる選択肢も増えていきます。
「2年間営業を経験して、次はマーケティング職にチャレンジしたい」、「営業で培った現場の声を参考に、企画部で新しい商品を企画したい」など。
若いうちは、失敗しても許して貰えますが、年齢が上がるとそうもいかなくなります。
キャリア形成の上で若さというのは、強力な武器になるのです。上記のように、「特に専門職、研究職など考えていない学生は、学部から就職するのが良いでしょう。」
大学院卒で就職する場合の強み
大学院に進学した場合、就職における強みとしては、自分の専門分野を武器として就職活動に臨めるという事です。
なぜなら修士修了の場合、大学院で2年間学べば、専門知識も付きそれを就活でアピールできるからです。
もし自分が持っている知識や専門性が、企業の求める能力、人材などにマッチすれば周りと一気に差別化できます。
さらに大学院の研究で養った能力や経験などは、学部生とは一味違ったバックグラウンドだと判断され、難関な専門職にも就きやすいと判断されるでしょう。
院では研究を通して、何かしら成果を出すため難しい論文や、多くの課題をこなさなければいけません。
その際に、ロジックを意識しながら仮説、検証、結果、改善と何度もその繰り返しを永遠と続けるという過程を経て、論理的思考力などが身に付いていくのです。
そういった、論理的思考力はコンサルでもメーカーの開発職でも役に立つことが多く、むしろこの経験があるおかげで仕事の生産性も上がるのです。
上記より、学部よりも大学院を経験した方が長期的なキャリアを築いていく上で、その経験は一生の武器となるでしょう。
従いまして、「研究職や専門職狙いの方は、大学院進学を検討してみる事をお勧めします。」
大学院生と学部生の就職活動におけるスケジュールの違い
次に大学院生と学部生のそれぞれの就活スケジュールの違いについて解説します。
事前に開始時期などを知っておくことで、いつから準備したら良いかが分かりますのでしっかり抑えておきましょう。
学部生の就職活動のスケジュール
学部卒の就活は、大学3年の3月に解禁されます。いつから就活に取り組むかは個々人によりますが、就活で結果を出す学部生の多くは大学3年の4月〜6月頃に就活を始めます。
なぜなら、大学3年生の8月に実施されるサマーインターンの選考は大学3年生の5月~7月に行われる以上、サマーインターンに参加するとなると3年生の4月~6月に始めないと間に合わないためです。
サマーインターン以降の就活の主な流れは下記の通りです。
時期 | 内容 |
3年生 6月~ | サマーインターンのエントリー開始 |
3年生 8月~9月 | サマーインターンの開催 |
3年生 9月末~11月 | 秋インターンの選考並びに開催 |
3年生 11月半ば~2月上旬 | 冬インターンの選考並びに開催 |
3年生 3月~ | 就活の解禁 ⇒企業説明会・ES受付 |
4年生 4月 | 選考本番の面接開始 |
4年生 5月~ | 内定 |
大学院よりも学部から就職した方が、自分にとってはベストな選択肢となるかもしれませんので、学部生のうちに就活を経験しておいてください。
大学院生の就職活動のスケジュール
修士は1年の4月から始まる
大学院生の就活のスケジュールとしては、大学院進学早々に1年時の4月から就活が始まります。
本選考は学部生と同じく、院生1年の6月にサマーインターンが始まり、3月から説明会、ESの受付が開始されます。
4年生の4月には面接を開始して、5月には学部生と同じように内定を貰うような流れです。
サマーインターンも考えると、修士1年生の4月には選考の準備がほとんど終わっているのが望ましいです。
6月には、面接やES、筆記試験など第一志望でも問題無いくらいにしておかなくてはいけません。
また修士の場合、研究や学会で追われるようになり、1年生の中盤以降はかなり忙しくなることを覚悟しましょう。
従って6月くらいの選考が始まる頃には、全ての対策が終わっているのが理想です。
博士は2年の夏から開始
博士の場合は、学部生や修士と異なり、これといった就活の決まりなどはありません。
そのため、一般的な就活のスケジュールより早めに選考が開始する事もあります。
また博士採用を重要視している会社では10月くらいから始まるなど、かなり早くから開始される所もあります。
従って、博士課程の方も早い段階で就職活動を始めておくのが良いでしょう。
理系でも安易な大学院進学は就職を不利にする理由3選
「周りが大学院進学してるから」、「何となく院に進学したいから」など明確な理由も無しに大学院に進学すると、逆に就職で自分の首を絞める事になります。
自分も該当しそうな場合は、下記の理由もご参考ください。
大学院の進学は理系でも狭き門
理系の院生の場合
大学院修了者は理系でも専門職はかなり難易度が高い事を初めに理解しておきましょう。理由は、採用枠が限られているからです。
研究/開発職は採用条件に「修士課程を修了している学歴の方」と設定している企業が多くあり、大学院生の方が就職に有利になる場合があります。
しかし、ここで注意しなくてはいけない事は、研究職などの倍率はどこの業界、企業も高い傾向にあり、採用枠が限られている為内定を貰うのはかなり難しいです。
厳しい試験や、ハードルの高い面接などをくぐり抜けた本当に優秀な人だけが内定を貰える世界だと考えておかなくてはならないです。
採用枠が少ないという事は、研究や開発以外にも品質管理や他の技術職なども視野に入れておく必要があります。
文系の院生の場合
文系の院を考えている方向けにも、参考として情報を記載します。(理系の方は飛ばしてください。)
文系の大学院に進学した場合、文系の学部卒の方と比較して就職先が増える訳では無い事を理解しておきましょう。
大学院では、もちろん専門的な知識やスキルを身につけることはできますが、文系だと企業の専門職の採用枠に合わない傾向が多いためです。
また企業は大学院修了者に対して基本給料のベースを高くする事が多いです。
従って学部生と同じ土俵での採用選考では、より慎重に院卒の学生に内定出すかどうか決める傾向にあります。
文系院生は以上のことから、一般的に就職では厳しい戦いになる事を想定する必要があります。
トップの一流大学院生を除いては相当な準備をしておく必要があるでしょう。
大学院卒の就職は年齢のハンデが付きもの
大学院に進んだ時に、特に年齢のハンデも注意しておきましょう。
理由は、若い方が有利だからです。
大学院修了者は、民間企業に就職したとしてトータルの勤続年数は、学部生よりも短くなります。
従って、より長く年数を掛けて働いてくれる人の方が、企業にとっては多くの利益を労働者に生んでもらえる事になりますので、若い方が有利です。
このように大学院生は、学部生と比較しても2年の差が生まれます。若い人材を採用する事を第一に重視するような会社では、院卒である事は不利になるでしょう。
現役合格のストレートで大学を過ごしてきた方はまだ良いですが、浪人や単位不足の留年などで人よりも年齢が上である方の場合は、就活は厳しくなります。
20代での若さとは、自分が想像している以上に武器になることを理解しておきましょう。
基本、学部生以上に求められる基準点が高くなる
大学院生の就活は、基本学部生よりも企業の求める採用基準は高くなります。なぜなら、大学院で研究や勉学に勤しんで多くの知識や高いスキルを得ているか見られるためです。
期待が高いという事は、専門性やスキルなど何も身に付けていない人は採用されるのはかなり厳しくなるという事です。
「周りの同級生はみんな院に行くから」、「学部時代に就職が上手くいかなかったから」などの理由で大学院に進学してしまう人もいると思います。
そういった方で、特に勉強したいから大学院に行く訳では無いという方は専門性が身に付かない可能性も大です。
そのため、面接でも特に自分のアピールする事が無いため、院に進んだのに就活でまた失敗してしまうという悲劇も起こりうるのです。
以上のように大学院に進む場合は、専門性の取り組みや研究を絶対に頑張るという意気込みを持つことが必須でしょう。
就職するか、大学院に進むか迷う時にやるべき事
自分が就職するか、もしくは進学したいのか定まらない方は、下記の行動も参考にすると良いです。
- 就活と進学の準備を同時並行で進める
- 学部生での就活経験は、院生にも有利となる
- なぜ進学という選択肢が頭に浮かんだか、自分を見つめ直す
下記の順番で解説します。
就職活動と進学の準備を同時並行する
学部での就活か大学院への進学か迷われている方は、どちらに転んでも大丈夫なように同時並行で準備する事をお勧めします。
理由としては、途中で大学院より就職の方に興味が湧いた場合に、就職の道も選べるからです。
学部生の就活は、3年生の6月にサマーインターンが始まり、3月から説明会、ESの受付、4月には面接を開始して、5月には内定を貰うような流れです。
大学院入試については、内部推薦の場合は学部4年生の6月頃、秋入試が8〜9月くらい、春入試は2月頃に行われるのが一般的な流れです。
例えば、東工大などの修士の出願は6月上旬に行われ、試験7〜8月と早めのところもあるようです。
(参照元:東工大HP)※日程は大学ごとに確認しておきましょう。
大学院入試は、就活の選考時期より少しだけ後に行われるので、同時並行も可能です。
就活を院入試が始まるギリギリまでやっていて、やっぱり大学院に進むことにした場合、試験対策などの時間が取れなくなります。
そうなると大学院進学の目標が叶わず、諦める形にもなりかねません。
もし大学院に進んだ場合でも、学部時代の就活経験はかなりの自信にもなるので、院で勉強してパワーアップした状態で就活する際により自分の強みとなります。
学部生での就職活動の経験は、大学院生にも有利となる
学部生で就活をしておけば、大学院に進んだ際にも有利に働きます。なぜなら、修士で就活する時に、学部時代の経験が参考になるからです。
博士号まで進まない場合は、大学院修士の就活は学部生と同じようなスケジュールの流れで行う形となります。
例えば学部時代に就活を行い、一流企業に内定を貰っておけば、仮に大学院に進学してもその時の経験を活かして再度同じようなランクの企業に内定が貰えます。
就活の面接では、特に場数がモノを言います。
度重なる厳しい面接の選考をくぐり抜けた経験は、自分の血肉となり、大学院に突入して同じようにまた面接を受けても突破する事ができるようになります。
大学院に進学して、年齢的にも時間的にも後がない状態で初めて就活するのは、よほどの自信のある方で無い限り避けた方が無難です。
なぜ進学という選択肢が頭に浮かんだか、自分を見つめ直す
そもそもなぜ、自分には大学院進学という道が頭に浮かんだのか一度見つめ直すのも良いでしょう。
理由としては、大学院進学は明確な理由無しに行っても何も得られないからです。
大学院は自分が研究したい事、極めたい専門性がある人が行く所で、生半可に軽い気持ちで行く所では無いです。
なぜ、自分は大学院に進みたいのか、「院卒の肩書が欲しいからなのか」、「ただ単に就活に有利そうだから」なのか本当の理由を思い浮かべましょう。
大学院は、本当にやりたい学問を学んだり、ある一定の専門性を身につけるために行く所です。
何となくの理由で行ってしまうと、研究や論文には全力になれず中途半端な成果しか挙げられないでしょう。
ただ単に時間を無駄にするだけであれば辞めた方が良いですし、若い内に就職して経験を積んでおくと更なるキャリアの選択肢が広がります。
それくらい20代のうちの1年、2年は人生で最も貴重なものだからです。
院に進学した後に就職するメリット
続いては、大学院に進んだうえで就職する事のメリットを解説していきます。進学を考えている方にとっては、特に参考になると言えます。
院卒以上が対象の募集枠に応募できる
大学院卒の方が就活の際にアドバンテージになる理由の1つに「専門職に就きやすくなる。」があります。
特に、理系の研究領域の専門性が必要とされるような職種(技術・研究職)では、応募条件に修士以上の学位を基準としている所が多いです。
従って、将来的に企業で研究職として活躍したい人には、学部より就職しやすくなるというアドバンテージがあるのです。
また文系の院でも、ビジネスに直接関わるような経営学や経済学の分野であれば、それらの専門性は活かす事ができる事もあります。
院の研究の中で身に付けた技術力、学ぶ姿勢は大学院に進学した事がきっかけで得られる事もあり、学部生との差別化、独自の強みとして就職で有利になるでしょう。
大学院で学んだ事を仕事に活かせる
大学院に進学するメリットとして、学んだ事/専門性を仕事に活かせるという事があります。事実、企業の大学院卒の人向けの求人は、ほとんどが高度な知識を求める求人が多いです。
特に先ほども説明していた、数字に対しての強さや論理的思考力の高さを企業は求めているケースが多く、高度な知識を有するのであれば就活では重宝されるでしょう。
給与が高い傾向にある
学部生よりも大学院卒の人の方が給与が高くなる傾向にあります。
厚生労働省のデータによると、学部卒の初任給が22万〜23万程度、大学院修了の場合は25万〜26万円程度と約3万円程度の違いがあります。
初任給ではこのような開きですが、生涯年収でも大学院に進んでいる方の方が高いと言われています。
内閣府 経済社会 総合研究所が2014年に発表した論文によれば、学部と院卒では生涯賃金の差が5000万近く変わる事も発表されています。
(引用元:大学院卒の賃金プレミアム)
院に進学した後に就職するデメリット
続いて大学院に進学した場合のデメリットについても解説したいと思います。特に注視すべきポイントを順番に説明していきます。
費用が掛かる
まず大学院に進学する際に、ネックになるのが費用が掛かる事です。
なぜなら、大学4年でも学費が高いと感じる人が大半な中で、大学院の2年分の学費も上乗せされればかなりの金額になるからです。
大学院の2年間の学費の目安は、国公立だと130万〜140万くらい、私立であれば170〜300万円程度にもなります。また理系だと基本的に授業料は高くなります。
もし奨学金なども借りている場合、院の授業料を払う為に、さらに奨学金を借りる事になれば社会人になった時に重い出費になる事を避けられません。
大学院修士卒は2年分、学部生より働くのが遅れる
大学院に進学して24歳で就職すれば、学部生よりも2年働くのが遅くなる事を覚悟しなくてはいけません。
もし新卒で入社した場合、会社の同期が自分より2個下で、直属の上司が自分と同い年となる可能性も出てきます。
また同い年の上司が、自分より経験も積んですでに結果を出している事を目の当たりにして、モチベーションが下がらないように注意しなくてはいけません。
研究活動と就職活動が重なりかなり忙しくなる
大学院に進んだ場合に、「思った以上に授業と研究に追われる」、「就職活動に時間を割けない」といった進学を後悔する声もあります。
修士課程1年生時には、単位の取得と研究を同時並行で行い、ほとんど休みなしで学業に費やさなければならないといった事もあるくらいです。
大学院に進学後に後悔しない為には、大学の教授や院の先輩に直接相談するのも良いです。
また文系の院の研究は専門職の仕事に結びつかない事も多々あるので、気をつけましょう。
学部卒で就職するメリット
この章では、学部卒で就職するメリットを解説します。学部には、学部生にしかないメリットがありますので、こちらも参考にしてください。
2年早く働き始められる
学部生は院卒より、2年早く働き始める事ができます。これは強いメリットと言えます。
なぜなら、実務経験を若いうちに積めば積むほど、より早く責任のある仕事を任せてもらえるからです。
若いうちに責任のあるポジションに就く事ができれば、キャリアを積み重ねていく上でも有利となります。
例えば、Aさんは22歳で働き始め30歳になった時には、営業も商品開発もリーダーの経験もあるとします。
対するBさんは25歳で働き始めて、30歳になって営業の経験のみの人だと比較すれば、前者のAさんの方がチャンスが転がってきます。
特に商社や金融のような長い経験と知識を必要とする業界は、年齢の差でキャリア形成にも影響する事があるでしょう。
時間がある分、他の事にも費やせる
学部生は、現役で受験に合格した方は時間的な余裕があると言えます。理由は、就活では2年くらい周りと比べて就職するのが遅くなっても、そこまで影響が無いこと挙げられます。
2年遅れても大丈夫という事は、2年分は留学や自分のやりたい事などに費やせます。
大学生の内に自分のやりたい事を見つけられる方の方が少ないので、大学時代の時間がある内に熱中できる何かを見つける事ができれば良いでしょう。
学部卒で就職するデメリット(理系学生は注意)
続いて、学部卒で就職するデメリットについても解説します。
本当にやりたい仕事に就けない可能性がある
学部から就職するデメリットとしては、専門性の高さを求める求人枠に応募できない事がある事です。
例えば、研究職などといった特定領域の知識、研究経験を必要とする仕事では大学院修了を応募条件と設定している企業がほとんどです。
希望職種や選考を希望している企業がある程度決まっている場合は、学部生も受け付けてくれるか先に調べておくようにしましょう。
大学院卒の就職先(理系学生におすすめ)
この章では、大学院に進んだ場合の就職先について解説していきます。各業界のどんなところに自分は行きたいのか、どんな仕事がしたいか参考にして頂ければと思います。
メーカー
メーカーは理系の院卒の就職先としては、花形的な業界です。
ソニーやトヨタ、パナソニックといった日本を代表するような大手のメーカーは日本人の学生に留まらず、海外の学生からも高い人気を誇ります。
一般にメーカーの研究開発職は人材を募集する際に、院卒である事が必須条件として設けている事も少なくありません。従って、メーカーへ就職をする為に大学院に進む方も割と多くいます。
メーカーの研究や開発職に配属されたのであれば、企業の主力商品やサービスの開発に関わる事もできますので、企業の中核を担う人物にもなれるでしょう。
メーカーは営業よりも、技術部隊の方が会社の核となる為、自分の仕事にやりがいを持つ方も多い傾向にあります。
外資系金融
外資系金融は、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーといったトップクラスの名だたる会社が連なりますが、院卒の学生にもおすすめです。
なぜなら、金融系の企業はデータ分析を行う際に、数字を扱う事が多いからです。従って、統計学や確率論といった分野を専攻しているとその経験は高く評価されます。
外銀などでは複雑な金融商品の価格計算や損益・リスクの計算をするモデルを作ったりと、金融は理系の地頭の良さや数字の強さと相性が良いです。
(トップ外銀になると、職場に数学オリンピック金メダリストなどもいたりします。)
ただ部署によっては、かなり過酷な環境のケースもあります。
金融出身者の間では外資金融業界は例えるなら、東京マラソン42.195kmを毎日全力で走り続けるような感覚に近いと言います。
その代わりに、若いうちから高年収を得ることができ、トップ層たちの環境で成長できる業界となっています。
外資系コンサル
外資コンサルは、レベルの高い学生に人気の業界です。
コンサルは、大量のデータからクライアント企業事業の傾向などを把握して、業務の効率化や売上向上に繋がる施策を提案します。
データの分析には大学院時代に取り組む研究から得られる仮説思考力や分析能力は非常にいかせます。特に大学院で統計学や、データ解析、プログラミングなどを必要とする研究を行っている方とは相性抜群です。
商社(理系の方必見)
商社は文系のイメージが強いですが、実は理系学生にも活躍できるフィールドが用意されています。
なぜなら、IT、計測機器のメーカー、医療機器のメーカーなどを取り扱う専門商社では、理系の院生が営業として活躍できるからです。
上記はメーカーの技術営業的なモノに近いです。
一般的な商社に比べると、専門商社で扱うような高度なテクノロジーを用いた製品の顧客は専門的な知識を持っている方もいます。
そういった顧客の中には修士卒や博士号を持った知識階級も多く、文系卒では太刀打ちできない事があり理系院卒の出番となるのです。
それにプラスして、金融やコンサルの世界と比べると商社は、社内で社員を定年まで育て上げる文化が強い傾向にあります。
(年齢的なハンデもあまり気にしない自由な社風の所が多い)
長く会社に居てもらいたいという傾向が強く、メーカーにも引けを取らない福利厚生の良さがあったりと、文系にも理系にもおすすめの業界と言えるでしょう。
(長瀬産業など優良な専門商社は社宅など充実している。:長瀬産業HP)
日系金融
日系金融は、銀行や証券、損保や生保など日系の金融業界は人気の高い業界であると言えます。
文系学生が活躍しているイメージですが、理系の方にも金融は勝てるフィールドがあります。
なぜなら、金融は銀行マンにしても、証券でも損保、生保までどの業界でも数字の強さ、論理的思考力の高さが強く求められるからです。
銀行では、中小企業の社長に対して、融資などお金の貸し借りをやったり、損保ではなぜその保険に入ると客は得するのかメリットなどを営業します。
その際に、お金の貸し借りでは数字の間違いは許されませんし、保険の営業では加入する事のメリットを筋道を立てて論理的に説明する能力が必要です。
そういった業務の中では、大学院で鍛えた数字を見る力、エクセルなどでデータをまとめるスキル、論文を読み込んで鍛えた思考力は武器になると言えます。
理系の学問と証券や保険などは畑違いのようにも見えます。しかし院の研究で鍛えられる数字的感性と論理的な思考力の本質の部分は、十分に金融にも応用できるのです。
IT系
ITといった情報通信業界は、GAFAを台頭とする時代の先端を走る業界です。そんな中で、ITは理系の大学院卒が特に活躍できる業界でもあります。
理由としては、IT業界は高い専門知識を有する人材を必要としているからです。
機械学習やデータサイエンスの分野は、比較的新しい領域ですが、より高度な専門スキルを必要とする事から院卒である事が前提となっているケースが多いです。
例えば、アメリカにはAmazonが開発したAmazon Goと言われる「無人コンビニ」があります。
(物理的な決済が必要無い)Amazon Goは世界中からコンピューターサイエンティストやプログラマーが招集され開発が行われました。
世の中には、こうした既存の枠組みを壊すようなイノベーションが度々起こりますが、その背景は理系院卒の方たちの努力があるからと言えます。
世の中にこれまで存在しなかった、新しいフレームワークを創り出す事に挑戦したいという方はIT分野が特におすすめです。
まとめ
最後に本記事について、ポイントごとにまとめていきます。
- 専門職、研究職を考えていない人は学部卒で就職すると良い
- 研究職、専門職狙いの人は、大学院進学を検討するのを推奨
- 学部卒は社会人デビューが早く、キャリア形成に有利となる場合もある
- 大学院卒は専門性を武器として、研究職などにも挑戦できる
- 大学院の修士は1年の4月から、博士は2年の夏から就活開始
- 院の進学は、文系だとあまり武器にならず、理系も選考の倍率が高い
- 就職活動と大学院進学の準備は同時並行するのが良い
- 本当に大学院進学で良いのか、自分自身を再度問い直す
- 理系院卒の就職先の職種は、会社の中核を担うポジションが多い
- 大学院の費用はかなり負担となる
以上のポイントを押さえられましたでしょうか。
いずれにせよ、大学院の進学はそれ相応の覚悟がいる事が分かり、しっかりと研究や勉強に取り組めば就活で有利になる事も分かりました。
本記事を参考に自分に一番合う選択肢を取って頂ければと思います。