理系学生の就職活動の進め方と企業選びを解説

理系学生の就職活動の進め方と企業選び
  • 「理系に人気な職種や企業は?」
  • 「理系の就活スケジュールを知りたい」

といった疑問をお持ちではないでしょうか?

理系の学生は、企業への就職や大学院への進学など選択肢が豊富です。

また、文系とは就活のポイントが異なる他、狙うべき職種や企業も違うので、理系ならではの就活が必要になります。

ここでは、理系学生の進路や就職率、企業選びのポイントを解説します。

学部別におすすめの企業も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を書いた人:竹内健登

竹内校長の写真就活塾ホワイトアカデミー校長。デロイトトーマツグループの人材戦略コンサルタントを経て現在は就活コンサルタントとして活躍。

数学検定1級保持者で東京大学工学部卒にもかかわらず、自身の就活に失敗し就職留年した経験から企業の人材戦略の道へ。

新卒の学生が一流企業に内定するための独自の方法論と、3年後離職率・OpenWorkでの評価・帝国データバンクの評点を用いた客観的視点から日夜ホワイト企業を研究。

子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法研究内容を自社メディアで掲載したところ、就活生や親御様の間で話題となり、月間で35万PVを達成した。

現在も、ホワイト企業からの内定が1件も得られなければ授業料を全額返金という方針で、上位大学だけでなく、全国幅広い大学の学生の就活指導を行なっている。

「就職浪人からANAグループに内定した! 」「留年すれすれから日本IBMに内定! 」「指導を受けた次の日から大手企業の面接で落ちなくなった! 」など、喜びの声多数。

著書に「子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法」(日経BP社)がある。

理系の就職率

理系の就職率

理系の就職率は安定して高水準を維持しています。

令和元年以降の理系の就職内定率が次の通りです。

令和元年 98.50%
令和2年 95.90%
令和3年 97.40%

基本的に95%以上の就職率を維持しており、ほとんどの理系の学生が内定を得ていることが分かります。

理系の方は自信を持って就活に臨みましょう。

学部別の就職率

ここでは、理系の学部別就職率を表にしてまとめました。

早稲田大学の理系就職率が次の通りです。

学部 2021年 2020年 2019年
基幹理工学部 98.60% 99.10% 97.50%
創造理工学部 97.70% 96.70% 98.50%
先進理工学部 99.60% 97.70% 98.30%

参照元
2019年度 早稲田大学進路状況

2020年度 早稲田大学進路状況
2021年度 進路状況

次に、工学院大学の理系就職率をまとめた表が次の通りです。

学部・学科 2021年 2020年 2019年
先進工学部 生命化学科 97.80% 86.00% 90.40%
応用化学科 95.20% 94.20% 97.30%
環境化学科 97.70% 88.30% 100.00%
応用物理学科 73.90% 82.00% 85.10%
機械理工学科 95.50% 92.60% 98.00%
工学部 機械工学科 95.80% 86.60% 96.80%
機械システム工学科 84.30% 91.50% 86.60%
電気電子工学科 92.80% 91.70%
応用化学科 33.30% 66.60%
環境エネルギー化学科 100.00%
電気システム工学科 0.00% 66.60% 94.20%
情報通信工学科 100.00% 90.90%
建築学部 まちづくり学科 94.40% 92.90% 93.10%
建築学科 96.00% 94.00% 99.00%
建築デザイン学科 91.50% 88.20% 94.40%
情報学部 情報通信工学科 95.40% 90.40% 100.00%
コンピュータ科学科 95.60% 90.50% 95.40%
情報デザイン学科 91.60% 86.70% 94.90%
システム数理学科 88.60% 90.40% 97.30%

参照元:工学院大学 2019~2021年度学科・専攻別就職率

最後に、東京理科大学の理系就職率がこちらです。

学部 2021年 2020年 2019年
理学部 86.00% 82.70% 92.90%
工学部 91.70% 90.60% 93.30%
理工学部 90.40% 90.20% 93.00%
基礎工学部 90.00% 96.80% 97.00%
薬学部 96.60% 99.00% 94.10%

参照元
東京理科大学 2019年度(2020年3月卒業) 学部・学科 進路状況
東京理科大学 2020年度(2021年3月卒業) 学部・学科 進路状況
東京理科大学 2021年度(2022年3月卒業) 学部・学科 進路状況

表を確認してみると、どの大学・学部であっても理系就職率はほとんど90%以上をキープしていることが分かります。

理系の就職率は文系を上回る

理系の就職率は文系を上回る

理系の就職率は、文系を上回っています。

理系と文系の就職率をまとめた表が次の通りです。

2021年 2020年 2019年
理系 98.50% 95.90% 97.40%
文系 97.80% 96.0% 95.4%

参照元
文部科学省 令和元年度大学等卒業者の就職状況調査(令和2年4月1日現在)
文部科学省 令和2年度大学等卒業者の就職状況調査(令和3年4月1日現在)
文部科学省 令和3年度大学等卒業者の就職状況調査(令和4年4月1日現在)

基本的に理系の就職率が文系を上回っており、2020は文系が上回っていますがわずか0.1%の差となっています。

ただし、理系と文系はそれぞれ就活で有利になる業界や職種が異なり、一概に理系が就活で有利というわけではないので注意してください。

薬学部の就職率がやや低めの理由

薬学部が他の理系学部と比較して実就職率が低くなりがちです。

大学通信ONLINEの2020年学部系統別就職率ランキングでは、他の理系学部が就職率90%を超えている中、薬学部の就職率は85%と最も悪い数字になっています。

これは、薬剤師の就職に薬剤師国家試験の合否が関わっているためです。

薬学部が内定をもらう場合、薬剤師の国家試験に合格することを前提としている場合がほとんどです。

しかし、薬剤師の国家試験の合格率は低く、2022年の第107回薬剤師国家試験では合格率が68.0%となっています。

国家試験に不合格だった時点で内定取り消しになってしまうため、結果として就職率が低くなっています。

文系の学生と比べて就職率が高い理由

理系の就職率が高い理由

理系が文系より就職率が高いのには、様々な理由があります。

理系の就職率が高い理由が、次の4つです。

  • 専門知識や技術がある
  • 数字・計算に強い
  • 学校推薦
  • OB・OGの繋がりが強固

それぞれ詳しく解説するので、チェックしておいてください。

専門知識や技術がある

理系の就職が有利な理由として、専門知識や技術がある点が挙げられます。

理系の学生は、大学で専攻している分野の知識や技術を学びます。

就活では、大学で学んだことを活かして、文系では採用されにくい業界や職種に応募可能です。

例えば、技術分野への就職では、機械系や通信系、電気系や電子系を専攻していた学生のみを対象にしている場合があります。

また、情報通信系やIT系ならシステム管理部への就職が可能です。

これらの部署は選考時に理系学部を優遇する事があるので、理系の方が就職しやすいのが一般的です。

結果として、文系より就職率が高くなる傾向があります。

数字・計算に強い

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理系は、数字や計算に強いことから就活に有利だと考えられています。

理系の学部を受験する場合、数学が必要な場合がほとんどです。

また、専攻分野によっては進学後も日常的に数字を扱います。

企業に就職すると、売上や利益など日々数字を意識して仕事をすることになるため、学生のうちから数字に慣れているのは大きなメリットです。

また、大学で研究を行っていると論理的な思考力も鍛えられます。

論理的な思考力があれば、ビジネス上での提案に筋道の通った根拠を用意できる他、結論を出すときに論理的な根拠を用意可能です。

上記のようなビジネス上で役に立つ思考を身につけていることから、理系の就活は有利と言われています。

学校推薦

理系の就活が有利と言われる大きな理由が、学校推薦です。

学校推薦とは、大学のために推薦枠を用意している企業に、大学から推薦を受けて応募する就職方法です。

企業側からは、大学から推薦を受けるような優秀な人材だと判断されるため、自由応募よりも合格率が高い特徴があります.

学校推薦は理系だけではなく文系でも行っていますが、文系は理系ほど募集数が多くありません。

そのため、理系は文系よりも就活が有利になっています。

ただし、学校推薦は大学や教授の影響力によって成り立っているため、大学や学部によって学校推薦の枠に差があるので注意が必要です。

OB・OGの繋がりが強固

理系の就活が有利になる理由に、OB・OGの繋がりの強さがあります。

理系の学生は専攻している分野によって、就職する企業や職種がある程度決まっています。

そのため、同じ研究部門にいたOBやOGの体験談やアドバイスを聞くことで、自分の就活を有利に進めることが可能です。

就活で何か困ったことがあったら、同じ進路をたどったOBやOGに相談することで、精神的に安心できるのもメリットです。

その他、ニッチな分野を専攻している場合は、企業からチェックされていることがあります。

これは、企業側がニッチな知識・技術を求めている場合、社員が卒業した研究室をチェックし、適した人材を探しているためです。

上記のようにOB・OGの協力を得ながら就活できるのが、理系のメリットと言えます。

学校推薦と自由応募

学校推薦と自由応募

理系の就活は、大別すると学校推薦と自由応募の2種類です。

ここでは、理系の2種類の就職方法について詳しく解説します。

それぞれのメリットとデメリットも紹介するので、どちらの就職方法にするかの判断材料としてください。

学校推薦

理系の就活方法の1つが学校推薦です。

大学に寄せられた求人の中から企業を選択し、大学から受け取った推薦状を提出して選考に進みます。

学校推薦の最大のメリットは合格率が高いことです。

学校や教授からのお墨付きを得ているので、企業側からの印象が良い状態で選考がスタートします。

また、自由応募と比較して選考期間が短く済むのもメリットです。

筆記試験や書類審査など一部選考が免除され、短期間で内定を獲得できます。

一方で、理系学生が学校推薦を利用するデメリットとして、応募できる企業が限定される点が挙げられます。

大学に寄せられた求人から選ばなければならないので、必然的に自由応募より選択肢が少ないです。

また、原則的に辞退できないのもデメリットです。

内定を辞退すると企業側と大学・教授側の信頼関係にヒビが入り、その企業が大学に求人を出さなくなる恐れがあります。

その他の注意点として、学校推薦は必ず内定が決まるわけではありません。

あくまで合格率が高いだけで、ビジネスマナーや面接対策を身につけていないと、選考落ちする可能性があるので注意しましょう。

自由応募

理系のもう一つの就活方法が自由応募です。

自由応募では、就活生が就活サイトなどを利用して、企業が出している求人に自由に応募します。

自由応募のメリットは、選択肢が多い点です。

学校推薦と異なり、ほぼ全ての求人に好きに応募できます。

また、専攻分野に関係なく応募できるのもメリットです。

自分の専攻分野にかかわらず、希望業界や職種を選べます。

一方で、競争率が高いのがデメリットです。

自由応募では、文系学生と同じ枠を争うことになるため、必然的に倍率が高くなり合格率が下がります。

また、内定までの選考回数が多い点もデメリットです。

内定が決まるまでに、書類審査や筆記試験など数多くの選考をくぐり抜ける必要があります。

理系学生の進路

理系学生の進路

理系学生の主な進路は次の4つです。

  • 大学院への進学
  • 専門分野への就職
  • 専門分野外だが理系の就職
  • 文系分野への就職

それぞれ解説しているので、目を通しておきましょう。

大学院への進学

理系の大学生の取れる選択肢の1つが、大学院への進学です。

大学院とは、大学で学んだこと生かして、さらに深く応用的な研究を行う機関です。

大学卒業後に大学院で2年学ぶことで、修士という学位をもらえます。

専門分野に秀でた教授のもとでより専門的な勉強ができ、学部より知識や技術が身につくのが特徴です。

文部科学省の学校基本統計によると、理学・工学系の大学生のうち、約4割が大学院に進学しており、理系の学生の半分近くが大学院へ進学していることが分かります。

専門分野への就職

専門分野への就職

理系の大学生は、大学での専攻分野への就職が可能です。

大学で専攻した分野を生かして、研究職や開発職といった職業への就職を目指します。

理系の大学生が専門分野へ就職する場合には、学校推薦を活用できます。

学校推薦は、専門分野と関わりがある企業によって行われるケースが多いためです。

ただし、学部生が専門分野で研究職や開発職に就きたい場合、大学院生より選択肢が少なくなるので注意してください。

専門分野外だが理系の就職

理系の大学生は、専門分野外の理系就職も選択肢の1つです。

ディスコのキャリタス就活2022学生モニター調査によると、専門分野外の理系就職をした人の割合が30.4%となっています。

理系の学生の強みは、大学で学んだ専門知識だけではありません。

理系学生として学んだデータ分析力や研究スキルも評価されます。

それを活かして、専門分野外であっても、IT企業などに就職することが可能です。

文系分野への就職

文系分野への就職

理系の大学生であっても、文系分野への就職は可能です。

大学で学んだ、論理的思考力やデータ分析力を活かして商社やマスコミ、コンサルに就職できます。

企業側も、統計や分析スキルに秀でた人材を求めているため、理系大学生のニーズが高まっています。

ただし、上記の企業への就職を目指す場合、文系との競争になるため、必然的に倍率が高くなるので注意が必要です。

文系就職の中で理系出身者が有利な職種・業界

理系大学生と相性が良い職種や業界の例が次の通りです。

  • 金融
  • 技術営業
  • コンサル

理系大学生におすすめの業界として、金融業界が挙げられます。

金融業界では、投資判断を数学的手法で行います。

そのため、研究で学んだ数字を扱う能力を活かすことが可能です。

また、メーカーの技術営業も理系大学生におすすめの就職先となっています。

メーカーの営業では、製品についての理解が重要です。

理系大学生であれば、製品について理論的に理解でき、しっかりと売り込みできます。

その他、コンサル業界も理系出身の人が多くいます。

コンサルタントは、顧客の現状を分析し、課題解決を導く職業です。

理系大学生は、研究で論理的思考力やデータ分析力を学んでいるため、コンサルタントの下地があります。

そのため、素早く仕事にフィットし活躍することが可能です。

大学院進学のメリットとデメリット

大学院進学のメリットとデメリット

ここでは、理系大学生が就職せず大学院進学するメリットとデメリットを解説します。

大学院に進学するか悩んでいる大学生の方は、メリットとデメリットをみたうえで、進学するか判断してください。

大学院進学のメリット

大学院進学のメリット

理系大学生が大学院に進学するメリットは次の3つです。

  • 新卒時の給料が高まる
  • 知識量・専門性が上がる
  • 院卒限定の募集に応募できる

それぞれ詳しく解説します。

新卒時の給料が高まる

理系が大学院に進学するメリットとして、新卒時の給料が高い点が挙げられます。

大学院生として就職すると、大学生として就職するより初任給が高いです。

大学院生と大学生の初任給を比較した表が次の通りです。

院卒 学部卒
トヨタ自動車 23万円 20万8,000円
ソニー 28万5,000円 25万5,000円
NTTデータ 25万2,630円 22万3,130円

参照元
トヨタ自動車 募集要項
ソニーグループ 募集要項
NTTデータ 募集要項

上記の通り、院卒は学部卒と比べて約3万円初任給が高くなります。

これは、院卒は学部卒より知識やスキルを持っていると企業に判断されているためです。

給料が高いのは、単純にメリットと言えます。

知識量・専門性が上がる

知識量や専門性が上がる

理系大学生が大学院に進学すると、知識量や専門性が上がるのもメリットの一つです。

学部生の間は、基礎的な座学について学ぶ時間が必要になり、専門分野についての勉強時間が削られがちです。

一方で、大学院に進学すると、院の時間の大半を研究に充てられます。

大学では広く浅い知識しか手に入れられないのに対し、大学院では、さらに深掘りして学ぶことが可能です。

そのため、大学院に進学すれば、卒業後は学部で就職するよりも、学生時代の研究分野に関連する研究・開発職に付ける可能性が上がります。

院卒限定の募集に応募できる

大学院に進学すれば、院卒限定の募集に応募できるメリットがあります。

大手企業が技術職や研究職の求人を出す場合、条件として修士卒以上を指定しているケースが少なくありません。

そのため、学部卒の方が技術職や研究職になりたくても、事務職の求人にしか応募できない場合があります。

大学院に進学すれば技術職や研究職の求人にも応募できるので、ライバルが少なく倍率が低くなるのがメリットです。

大学院進学のデメリット

大学院進学のデメリット

理系大学生が大学院に進学するデメリットが次の3つです。

  • 大学院に進学している期間の間就職が遅れる
  • 学費が多く必要
  • 学部卒より生涯獲得賃金が下がる可能性がある

それぞれ詳しく解説します。

大学院に進学している期間の間就職が遅れる

大学院に進学するデメリットとして、2年間就職が遅れる点が挙げられます。

大学院に進学すると学部卒が働いている2年間を研究に集中することになるため、ビジネスマナーや立ち振る舞いに差ができてしまいます。

その分、専門性を深められるメリットがあるのですが、もし大学院で有意義に過ごせなかったら、ただただ社会に出るのが遅れたということになりかねません。

大学院はモラトリアム期間ではないので、研究や勉学を怠らないようにしましょう。

学費が多く必要

学費が多く必要

大学院に進学すると、学費が多く必要になるのがデメリットです。

修士課程に進学する場合、大学院2年分の学費が必要です。

国立の場合は一律135万2,000円、私立の場合平均180万円程度の学費がかかります。

本来、学部卒で就職していた場合に得ていた給料を合わせて考えると、金銭的な負担は大きくなります。

また、大学院では研究に忙しく、バイトをする余裕もないので、経済的に余裕ない方は進学するかどうかよく検討しなければなりません。

学部卒より生涯獲得賃金が下がる可能性がある

専門分野に就職しなかった場合、院卒であっても学部卒より生涯獲得賃金が下がる場合があります。

2014年に内閣府経済社会総合研究所から出された論文「大学院卒の賃金プレミアム」によると、院卒と学部卒の生涯年収の差は次の通りです。

院卒の生涯年収 学部卒の生涯年収 差額
男性 3億4009万円 2億9163万円 4846万円
女性 3億1019万円 2億6685万円 4334万円

上記のように、性別を問わず4,000万円以上院卒の生涯年収は多くなっています。

しかし、大学院に進学したにもかかわらず、研究を活かせない専門分野外や文系職種に就職した場合は、学部卒と待遇が変わらない場合があります。

その場合、学部卒より就職が遅れた分、生涯年収が学部卒より少なくなってしまうので注意が必要です。

大学院での研究が思ったようにできず、専門分野外へ就職したいと考えている方は、生涯年収が少なくなるリスクがあることを知っておきましょう。

企業選びのポイント

企業選びのポイント

理系学生は、文系と同じく、企業を選ぶときに注意しなければならない点があります。

理系学生の企業選びのポイントは次の4つです。

  • インターンに参加して社風や仕事内容を確認する
  • エントリー先を限定しすぎない
  • 推薦応募は慎重に進める
  • スケジュール調整をしっかり行う

それぞれ詳しく解説しているので、企業選びの参考にしてください。

インターンに参加して社風や仕事内容を確認する

理系学生が企業選びをするときは、インターンに参加するのが大切です。

就職が決まっていざ働き初めてから、仕事内容が自分に合っていなかったりやりがいを感じなかったりすると、高いモチベーションを持って働き続けることが難しくなります。

一方で、インターンに参加し社風や仕事内容を確認すれば、就職後のミスマッチを防げます。

実際に応募したい企業を見つけたら、短期間でもいいのでインターンに参加するようにしましょう。

エントリー先を限定しすぎない

エントリー先を限定しすぎない

理系の就活では、エントリー先を限定しすぎないことが重要です。

理系が就職先を探すとき、自分の専門分野に合わせてエントリー先を決める場合がほとんどです。

しかし、ニッチ分野を専攻している場合、エントリー先が少なくなる恐れがあります。

エントリー数が少ないと、それらの企業の就活に失敗した場合に持ち駒がなくなってしまい非常にリスキーです。

就活が上手くいかなかった場合に備えて、エントリー先にある程度幅を持たせておきましょう。

大学時代の学びが少しでも役立つ業界や職種を考えれば、あなたにあった企業は数多く見つかります。

推薦応募は慎重に進める

理系学生が推薦応募を利用して就活を進める場合には、企業選びを慎重に行いましょう。

推薦応募は、大学や教授と企業との信頼関係によって成り立っています。

内定が決まった後に辞退すると、その関係が崩れ、その後大学に推薦が来なくなる場合があるので、内定辞退をしにくいのが実情です。

推薦応募を利用するか考えている企業があれば、先にインターンなどに参加しその企業の社風や働き方を知り、「この企業に就職したい」と感じたら推薦を受けましょう。

スケジュール調整をしっかり行う

理系学生が就活する場合、スケジュール調整をしっかり行う必要があります。

理系学生は文系と比較して実験や研究が忙しいです。

そのため、就活のための時間を確保しづらく、しっかりとスケジュールを調整しないと就活が上手くいきません。

早め早めの行動を心がけ、余裕を持って就活するようにしましょう。

具体的なスケジュールは後述します。

就活スケジュールの特徴

理系の就活スケジュールの特徴

理系学生の就活スケジュールは、推薦応募と自由応募で異なります。

そのため、早めにどちらの就職方法にするか決め、行動を開始しなければなりません。

ここでは、それぞれのスケジュールを詳しく解説します。

理系は文系よりも就活が早い

理系学生は、文系より就活が早いのが特徴です。

リクルートの就職プロセス調査によると、2022年卒の文系の内定率は、5月1日時点で45.7%に留まっている一方で、同時期の理系の内定率は63.9%となっています。

上記の理由としては、企業は研究職など専門職の採用活動を早めに始める傾向にあるためと考えられています。

また、推薦応募により早期に就職が決まる理系学生が多いのも理由の一つです。

推薦応募の就職スケジュール

理系学生の推薦応募の就職スケジュールをまとめた表が次の通りです。

推薦応募の就職スケジュール

推薦応募は、大学3年の年末年始時点で説明・受付を開始し、3月頃から選考を開始する場合が多いです。

具体的な時期は大学によって異なるので、大学の就職課やキャリアセンターに問い合わせて確認しておきましょう。

内定そのものは大学4年の10月ですが、内々定は大学3年3月の終わりまでに決まる場合がほとんどです。

そのため、大学4年では研究など学業に専念できるのが推薦応募のメリットです。

自由応募の就職スケジュール

理系学生の自由応募の就職スケジュールをまとめた表が次の通りです。

自由応募の就職スケジュール

自由応募の場合、選考が始まるのは大学4年6月以降ですが、できるだけ早く情報収集を始めてください。

自由応募だと他の志望者も多くいるので、少しでも就活を有利にするためにライバルより早く行動を開始するのが大切です。

3年6月には志望業界の情報収集を開始し、その後、夏季・冬季インターンシップに参加して、自分に合った企業を見つけておきましょう。

理系学生に必要な準備

必要な準備

理系学生が就活を成功させるには、事前準備がかかせません。

理系学生に必要な準備は次の5つです。

  • 自己分析を行う
  • 企業分析を行う
  • インターンに参加する
  • 筆記試験の勉強
  • アプリを使って面接練習をする

それぞれ詳しく解説するので、就活を控えている理系学生は参考にしてください。

自己分析を行う

理系学生が就活する場合、事前に自己分析を行いましょう。

自己分析とは、これまでの経験を振り返って自分の強みや弱み、仕事選びの軸を明確にする作業です。

企業選びの前に自己分析を行うことで、自分に合った企業を選ぶ助けになります。

自己分析には、ネット上の自己分析サイトを利用するのがおすすめです。

ここでは、おすすめの自己分析サイト3つを紹介します。

上記のサイトを利用して、自己分析を行いましょう。

企業分析を行う

企業分析を行う

理系学生が就活で成功するには企業分析が不可欠です。

企業分析とは、企業の事業内容や働き方、企業理念などを調べ、どんな企業なのかを理解するための作業です。

企業への理解が不足していると、漠然とした志望動機で就活することになりかねません。

企業理解を深めることで、志望動機を言語化しやすくなり自己アピールをしやすくなります。

また、志望企業がどんな企業なのかを知ることで、入社後に「思っていた会社じゃなかった」といったようなミスマッチを防げます。

志望業界や企業の分析をきちんと行い、自分の希望通りの企業への就職を目指しましょう。

インターンに参加する

理系学生が就活するときには、インターンに参加するのがおすすめです。

インターンには、その企業がどんな企業なのか知る目的もありますが、本選考を有利にするメリットもあります。

インターン中に担当者に良い印象を与えることで、企業から声がかかったり、選考をいくつかスキップできたりします。

インターンは、大学3年の夏頃から募集を開始することが多いので、忘れず参加しましょう。

筆記試験の勉強

筆記試験の勉強

理系学生は、筆記試験の勉強をすることで、就活を有利に進められます。

就活では、書類審査や面接などに加えて、筆記試験を実施している企業もあります。

筆記試験の内容は、国語や数学についての問題や性格検査、時事問題や小論文など様々です。

中でも有名なのが、適性検査「SPI」で、学生の能力や人柄、適性を判断する内容のテストとなっています。

SPIの対策について記載している本やWebメディアは数多くあるので、就活の前に対策をしておきましょう。

SPI対策には1ヶ月程度かかるので、対策はできるだけ早く始めておくのがおすすめです。

アプリを使って面接練習をする

理系学生は、就活を有利に進めるために面接練習をしておきましょう。

就活では、選考の一環として面接を行う場合が多いです。

特に、理系就活では、研究内容や専門分野の知識・技術を問う「技術面接」を行う場合が多いので対策する必要があります。

面接を練習するときは、専用のアプリを使えば一人でも練習可能です。

ここでは、主な面接練習アプリ3つを紹介します。

面接練習アプリを使い、自信を持って面接に臨めるまで練習しておきましょう。面接の練習方法についてはより詳しく以下のページでまとめているので是非ご覧ください。

参考記事:就活の面接練習のポイントを大公開

理系学生の強み

理系学生の強み

理系学生は、文系学生とは違う強みを持っています。

企業もその強みに期待して理系学生を採用するため、上手く就活を乗り切るには自身の強みを知っておかなければなりません。

理系学生の強みは次の3つです。

  • 数字・データ分析に強い
  • 論理的思考力が高い
  • 忍耐力が強い

それぞれ詳しく解説します。

数字・データ分析に強い

理系学生は、数字やデータ分析に強いのが特徴です。

ビジネスシーンでは、財務管理や市場分析など数字を扱ったりデータ分析を行ったりする場面が数多くあります。

理系学生の多くは、大学で数字を扱っているため、数字への耐性があります。

また、大学の研究でデータ分析を行う中で、仮説を立て、検証を行うことを学んでいるので、データを取り扱った業務へ素早く順応できるのが強みです。

論理的思考力が高い

論理的思考力が高い

理系学生の強みとして、論理的思考力が高い点が挙げられます。

理系学生は、事実からロジックを組み立て、仮説を検証するといったPDCAサイクルを学んでいます。

ビジネスの場でも、問題解決には論理的なアプローチが必要です。

感情的にならず事実に基づいて物事を判断し、解決のために何をしたら良いのか考える能力は、社会に出ても大きな強みとなります。

忍耐力が強い

忍耐力の強さも理系学生の強みの一つです。

理系の研究では、データ検証のために同じような作業を繰り返すことがあります。

地味な作業をミスなく継続するには、強い忍耐力が必要になるため、理系学生は忍耐力が鍛えられています。

また、理系学生は、毎日長時間の実験やレポート課題をこなさなければなりません。

忙しい中、目的に向けて努力を続ける能力は、社会に出た後も評価されます。

出身学部別の知識を活かせる人気職種を大公開

理系学生に人気の職種を学部別に紹介

同じ理系であっても、学部によって人気の職種は異なります。

ここでは、学部別に人気の職種をそれぞれ紹介します。

理学部

理学部におすすめの職種の例が次の通りです。

  • メーカー業界:研究開発、品質管理
  • 保険・金融業界:アクチュアリー
  • 製薬業界:MR

理学部の学生に最も人気の職が、メーカー業界の研究開発や品質管理です。

理学部では基礎研究を重視しているため、論理的思考や分析能力が鍛えられます。

その能力を活かすために、メーカーで既存の製品の改良や新製品の開発、製品の品質を安定させる品質管理といった業務を目指す学生が多いです。

その他、保険・金融業界のアクチュアリー、製薬業界のMRなども人気の職種となっています。

工学部

工学部

工学部におすすめの職種の例が次の通りです。

  • 製造業界:開発・設計、営業
  • 建築業界:設計、インフラ整備
  • IT業界:施工管理、SEなど

工学部に最も人気の業界が製造業界です。

製造業界は自動車や輸送機器、電機など幅広い分野に及び、その中で開発や設計、技術営業といった職種への就職を目指す工学部の学生が多くいます。

また、建築業界の設計やインフラ整備、IT業界の施工管理やSEなどの職種も人気です。

農学部

農学部におすすめの職種の例が次の通りです。

  • 食品業界:研究、品質管理、技術営業
  • 製薬業界:研究、商品開発、MR
  • 農林業界:生産管理

農学部の学生の代表的な就職先が食品業界です。

食品業界は、食肉製品や水産品、乳製品や調味料と幅広く、農学部生は商品開発や研究などの分野に就職します。

また、製薬業界や農林業界も人気が高く、研究・商品開発やMR、生産管理といった職種に就く理系学生が多くいます。

医学部・薬学部

医学部と薬学部

医学部・薬学部に人気の職種は次の通りです。

  • 医療機関:医師、看護師、調剤
  • 製薬業界:研究、開発

医学部や薬学部出身の多くが、医師や看護師、薬剤師として、医療機関に就職します。

また、製薬会社へ就職する医学部や薬学部の学生もいます。

製薬業界では、研究・開発分野に就く場合が多いです。

情報学部

情報学部に人気の職種は次の通りです。

  • IT業界:エンジニア、プログラマー
  • Web業界:マーケター、デザイナー
  • 広告・マスコミ業界:ディレクター、デザイナー

情報系に最も人気の業界はIT業界です。

エンジニアやプログラマー、ITコンサルタントなど幅広い職種で活躍できます。

また、情報学部はWeb業界でも需要があり、WebマーケターやWebデザイナーに就職することで、大学で学んだ知識を活かせます。

その他、広告・マスコミ業界のディレクターやデザイナーも人気の職種です。

理系の就職をサポートするおすすめ就活エージェント

おすすめの就活エージェント

就活に迷った理系学生の方は、就活エージェントの利用を検討してください。

就活エージェントでは、契約した企業に学生を斡旋することで、企業からお金を受け取るビジネスを行っています。

企業相手のビジネスなため、学生側に金銭的負担がないのがメリットです。

また、就活に困っている学生向けに、面接の練習や履歴書の添削といったサポートも行っています。

理系におすすめの就活エージェントは次の3つです。

  • リクナビ就職エージェント
  • 理系就活チャージ
  • 理系就職エージェントneo

それぞれ詳しく解説します。

リクナビ就職エージェント

リクナビ就職エージェント
画像の引用元:リクナビ就職エージェント

「リクナビ就職エージェント」とは、リクルートが提供する新卒の学生向け就職支援サービスです。

リクナビ就職エージェントでは、学生のタイプに合わせて専門的なアドバイスを行っており、理系学生向けのサービスも提供しています。

理系に精通したアドバイザーによる進路相談を受けられる他、履歴書添削や面接アドバイスといった就活対策を受けることも可能です。

選考スケジュールの調整も代行してくれるので、忙しい理系学生の方でも効率よく就活できます。

また、リクナビ就職エージェントは豊富な求人数も特徴です。

その中でも5割以上が非公開求人となっており、このサイトならではの求人を見つけられます。

求人数が多い就職エージェントを利用したい方は、リクナビ就職エージェントを利用しましょう。

理系就活チャージ

理系就活チャージ
画像の引用元:理系就活チャージ

「理系就活チャージ」は、メイテックネクストが提供している理系専門就活エージェントです。

理系就活チャージの最大の特徴は、セミナー動画を無料で視聴できる点です。

ESの書き方や、志望動機の考え方など就活ステップ別に動画を視聴することで、効率よく就活対策できます。

また、専攻学科向けのおすすめの就職先を紹介する動画や、その業界の特徴や現状を紹介する動画など、理系学科向けの動画も数多く視聴可能です。

個別相談を行うアドバイザーも、その多くがメーカーの技術系出身で、理系学生の就活ノウハウを持っているのも嬉しい点です。

メーカーへエンジニアとして就職を目指している方は、ぜひ理系就活チャージを利用しましょう。

理系就職エージェントneo

理系就職エージェントneo
画像の引用元:理系就職エージェントneo

理系就職エージェントneoは、ネオキャリアによって運営されている就活支援サービスです。

理系就職エージェントneoの特徴は、求人数の多さです。

10,000を超える求人の中から、専任のアドバイザーが適性にあった求人を紹介してくれます。

面接対策のサービスも行っており、自分の強みをアピールできる自己PRや志望動機を一緒に考えてくれるのも嬉しい点です。

紹介している仕事も幅広く、研究・開発から技術営業やSEなど自分の希望にあった求人を探せます。

「自分の適性が分からず、どんな仕事を選べばいいのか分からない」という人は、理系就職エージェントneoを利用し、自分にぴったりの求人を見つけましょう。

理系就活に関するよくある質問

理系就活に関するよくある質問

最後に、理系就活に関するよくある質問をまとめています。

今後の進路に迷ってしまった理系学生の方向けの疑問に回答しているので、ぜひ目を通しておいてください。

推薦応募で落ちることはある?

推薦応募であっても選考に落ちる可能性はあります。

推薦応募は、大学側から優秀な人材であることが担保されているため、企業側は内定を出す可能性が高いです。

しかし、推薦を受けていたとしても、ビジネスマナーを守らなかったり、ESや面接に問題があったりすると選考に落ちる場合があります。

推薦応募だからと油断せず、事前にESの添削や面接の練習といった就活の対策をしておきましょう。

文系職種に応募できる?

文系職種に応募できる?

理系学生であっても文系職種に応募することは可能です。

文系職種とは、営業職やコンサルタントなど理系の専門知識を必要としない職種です。

文系職種の多くは、応募条件として文系であることを求めていないので、問題なく応募できます。

ただし、理系であることで就職が有利になることもないので注意が必要です。

文系職種への就職を目指す場合、文系も応募している高倍率をくぐり抜ける必要があります。

研究職と開発職の違いは何?

研究職と開発職は、研究によって成果を出す点は共通ですが、仕事内容は異なります。

まず、研究職は学術的な研究を行い、新たな技術や概念などを生み出す職種です。

研究は長期に渡り、成果が出るまで数年以上かかる場合もあります。

次に、開発職は、研究職によって発見された技術や概念を商品化する職種です。

研究職と比べると短期間で成果が出るという違いがあります。

研究職は0から1を生み出し、開発職は1から10や100を生み出す職種と言えます。

修士課程修了以外に学部卒でも研究職に応募できる?

学部卒からでも研究職に応募できる?

理系学部卒で研究職に応募することは可能ですが、内定を得るのは難しくなっています。

研究職では、高い専門性が必要になるため、応募資格として修士課程修了以上が必要になることがほとんどです。

特に大手企業では、研究職に就くには修士や博士以上であることが前提となっています。

一方で、中小企業であれば、研究職に学部卒を採用している場合があります。

学部卒で研究職を目指す場合には、中小企業やベンチャー企業への応募を検討してください。

自由応募と学校推薦のどちらが良いのか?

希望の会社がすでに決まっている理系学生の方は、学校推薦を利用するのがおすすめです。

学校推薦であれば、高確率で合格でき、選考も短期間で済みます。

しかし、学校推薦は内定を断ると、学校や教授など周りに迷惑をかけるので、希望の会社が複数ある場合にはおすすめできません。

どの企業を選ぶのか明確に決めかねている場合には、自由応募で就活しましょう。

院進学か就活か迷っているんだけどどうしたらよい?

院進学か就活に迷った場合は、院進学の準備をしながら就活を行いましょう。

学部のうちに就活を行っておけば、院進学したとしても2年後の就活の参考になります。

また、就活中に第一希望の企業に就職が決まった場合にはそのまま就職すれば大丈夫です。

もし、どうしても院進学したくなったら内定辞退もできます。

選択肢を広く持っておくためにも、院進学の準備と就活を並行して行いましょう。

このページのまとめ

このページのまとめ

理系学生は、自由応募か学校推薦での就職を目指すことになります。

また、研究職を目指すのなら院進学も選択肢の一つです。

この記事のまとめは次のようになります。

  • 理系は文系より就職率が高い
  • 理系学生の約40%が院進学を選ぶ
  • 理系学生であっても文系職種への就職は可能
  • 推薦応募でも落ちる可能性はあるので就活対策は必要
  • 就活と院進学で迷っている人は並行して進めるのがおすすめ

理系学生におすすめの職種は、学部によって異なります。

また、自分の適性にあった職業が分からない方は、就活エージェントに頼るのもおすすめです。

様々な選択肢の中から、自分にあった業界・職種を見つけましょう。