最終更新日 2021.04.13
業界研究
食品業界志望の就活生に業界の職種や仕事を大公開
「食品業界は安定だし、自分は食べるのも好きだから、とりあえず受けてみよう」
このような安易な考えで食品業界を受けしまったがゆえに、選考で落とされてしまう学生が例年多くいる。
そもそも倍率が100倍越えをしている業界なので落ちやすいのは当たり前なのだが、落ちてしまう学生の大半が、食品業界のビジネスモデルがB to B to C、つまり企業を介して消費者に食品を届けるビジネスであることをわかっていない。
これらがわかっていないと、仕事内容に対して間違ったイメージを持ってしまい、面接で減点されるため、落ちるのは必然である。今回はそうならないために、食品業界の選考を突破するために必要なことについて徹底的に解説する。
ぜひ、この記事の内容を参考にして、高倍率の食品業界大手企業への内定を勝ち取ってほしい。
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この記事を書いた人
東京大学工学部卒。大手一流ホワイト企業の内定請負人。就活塾「ホワイトアカデミー」を創立・経営。これまで800人以上の就活をサポート。塾はカリキュラムを消化した塾生のホワイト企業内定率100%を誇り、カリキュラムを消化したにもかかわらず、ホワイト企業の内定が出なければ費用を全額返金する返金保証制度を提供中。2019年に『子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法』(日経BP刊)を出版し、「親が子育ての集大成である"就活"に臨む際の必読書」、「これができれば本当に一流企業に内定できる」と話題。塾のYouTubeチャンネルではホワイトな業界の紹介や大手企業の倍率、ESの添削を公開するなど塾の就活ノウハウを一部紹介している。
YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCm1vSnSBj7kksfi8GIBnu0g
まずは、食品業界の概要をおさえよう。食品業界と言う場合、基本的には食品メーカーを指すが、彼らは基本的に何らかの食品を製造・販売しており、そのプロセスとしては「仕入れ」「加工・製品化」「流通」「販売」となっている。
例えばカップヌードルであれば小麦粉やネギ、エビ、卵などが入っているわけだが、それらの材料を他社から買ってくるのが仕入れ、仕入れた材料を加工してカップヌードルをつくるのが食品メーカー、カップヌードルを買うのがイオンなどの流通業者に売るのが販売となる。
ただし、仕入れに関しては日本国内だけではすべての原材料が揃わないことが多いため、国外からも原材料を輸入している。これらを取り扱うのが総合商社の食糧部門や食品系の専門商社であったりする。
そうして仕入れた原材料を加工・製造し、スーパーやコンビニなどの小売店や飲食店に流通させるのが「食品メーカー」だ。
食品メーカーが扱う商品はビールやお菓子、ハムなど様々であるが、注意したいのが消費者はこの食品メーカーから直接商品を購入するわけではないということだ。そのため食品メーカーに入る人の多くが、流通先のスーパーやホテル、飲食店の売り上げを上げることに従事している。
もちろん、近年はインターネットなどを通じて食品メーカーが直接消費者に商品を販売するということも起こり始めているという側面もある。これは間にある小売業を省いて流通が行われるため、「スピード化」「割引」などが可能となっている。
しかし全体を見ると、食品メーカー全体の売上が約30兆円であるのに対して、ECでの販売額は2兆円に満たないということから、依然としてスーパーやコンビニからの売り上げが大きい。
そのため、食品業界に従事する人は小売店まわりをする可能性が高いということを念頭に入れて志望動機や入社後やりたいことなどに答えていくと良いだろう。
ここでは企業名を覚えてもらうために、食品業界の大手有名企業を、業界の棲み分けをもとに紹介する。興味のある会社をぜひピックアップしてみてほしい。
菓子メーカー
明治、江崎グリコ、ロッテ、森永製菓、ブルボン、不二家
即席麺メーカー
日清食品HD、東洋水産、サンヨー食品
調味料、加工食品
味の素、キューピー、キッコーマン、ハウス食品グループ、ミツカン、カゴメ、エスビー食品
飲料・乳業メーカー
サントリー食品、コカ・コーラボトラーズジャパンHD、雪印メグミルク、森永乳業、伊藤園、アサヒ飲料、大塚HD、キリンビバレッジ
酒類メーカー
サントリーHD、アサヒHD、キリンHD、サッポロHD
食材メーカー
日清製粉、日本製粉、日清オイリオ、昭和産業、J-オイルミルズ、不二製油
補足:世界の食品メーカーについて
世界の食品メーカーについても、売上順に掲載してみた。やはり「アメリカ」が圧倒的に強いということがわかる。これは、国内での大量消費に加えて、海外への輸出も盛んであるためであると考えられる。
- Nestlé(スイス)72,245$ millions
- PepsiCo, Inc.(アメリカ )66,683
- JBS(食肉・ブラジル ) 52,580
- Anheuser-Busch InBev(BUD・ベルギー)47,063
- The Coca-Cola Company(アメリカ)45,998
- Archer Daniels Midland(アメリカ)43,232
- Tyson(食肉、牛肉では世界1位・アメリカ )37,580
- Mondelez International(食品・飲料・アメリカ)34,244
- Cargill(穀物メジャー、食肉も・アメリカ)33,700
- Mars(チョコ、M&Mなど・アメリカ)33,000
世界の食品・飲料業界ランキングより引用
新卒が就くであろう食品業界の主な職種は以下の4つである。
主に文系の学部卒を採用する。最も多く人を採る職種であるので、食品業界に行きたい人はこの職種に就くことを想定して志望動機や入社後やりたいことを考えた方が良い。
営業であれば、食品卸会社・スーパー・小売店・外食産業などに営業や提案を行う。
例えば大型のスーパーマーケットに対して、「今キリンのビールを一番良い位置に置いてるけど、アサヒのビールを一番良い位置に置いてくれれば1個当たりの価格を安くしますので、その分そちらの儲けが増えるよ」といった具合である。
一方、販売促進であれば、商品を効果的に販売することを目的として、広告枠の買付から広告の製作までを手がけることになる。食品メーカーの場合、直接お金を払ってくれるのはスーパーなのでtoBだが、販促の面ではtoC向けの広告になることを理解しておく必要がある。
なお、販売促進については採用数が少なく、早慶クラス以上の高学歴しか採らない傾向にあるので注意すること。
主に文系の学部卒のうち、早慶以上の高学歴を採用する。
市場調査から商品企画、市場や販売チャネルの開発、新商品の広報活動や売上データ分析といったように多岐の業務を行う。
例えば新しいポテトチップスを企画する、となった場合に、ただなんとなく新しいポテトチップスを企画するのでは仕事にならない。今市場で人気のポテトチップスはこういう傾向があって、現在のポテトチップスに対する不満やそこから見えるニーズとしてはこのようなもので、だからこの新しいポテトチップス、というようにデータに基づいた企画を行う必要がある。
結果、扱うデータが多く、必然的に頭脳労働になるため、高学歴を採用する傾向にある。
主に理系の学部卒や大学院卒がこの職種に就く。仕事内容としては、既存商品の品質を一定に保ったまま、できるだけ安価かつ大量に商品を生産できるようにすることである。
具体的には、細菌検査業務、各種工程の検査、教育・啓蒙活動、従業員の衛生管理などがある。品質不良を出さないことで、企業に対する信頼性やブランドイメージを守る役割を担っている。
主に理系の農林水産学系や化学系の大学院生がこの職種に就く。仕事内容としては、原材料や添加物から商品の開発及び既存商品の味の改良などを行ったりする。このほか、既存商品を生産するプロセスの改良についても研究対象となる。
新商品の開発をする際には、食品の安全性を保証するための試験についても関わることになる。
食品業界を目指す人にありがちな志望動機は、「食品が好きだから」というものである。これは、志望動機としては二流だ。なぜなら、働いている側からすれば、「好きなら買ってりゃいいんだよ」というのが本音だからである。
食品業界に就くのであれば、文系であれば営業職やマーケティング職に就くことになるため、「世の中の人に食品を広めたい」ということがコンセプトとしてあるべきである。このことを自分自身の体験談から自分の言葉で話せると内定を勝ち取りやすいだろう。
一方で理系であれば、商品生産・品質管理色や研究開発職に就くことになるため、「安全な食べ物を届けたい」であるとか、「新しい食品を開発してお客様に喜んでもらいたい」というものがコンセプトとしてあるべきである。
このように、志望動機の方向性を正しく持つことが内定確率を上げる1つ目のポイントである。
倍率100倍越えと言われる食品メーカーの選考をくぐり抜ける際に、その会社の商品を知っているかどうかは必ず聞かれる。よって、最低3つはその会社の商品名をおさえておくべきである。
ただし、商品名を知っているだけでも、その商品の良いところを言えるだけでは、「お客様」の域を出ることができない。
食品メーカーが求めている社員の多くが「既存の商品の売上を上げてくれる社員」である以上、選んだ3つの商品の売上をどうすれば上げられるのかについての意見を持っておきたい。
具体的に言えば、食品のパッケージをどう変えるか、流通先としてどこに置くべきか、広告はどう変えるべきか、などの意見を持つべきである。こうすることで、お客様としてではなく、社員としてほしい人材であることをアピールでき、内定確率がグッと高まるだろう。
食品業界ならではのトレンドやニュースをおさえ、それらを自分のアピールポイントとつなげたり、入社後やりたいことに盛り込んでいくと、さらに内定確率が上がる。トレンドについてざっくりと掲載すると、
・顧客となる消費者の人口減少問題
・健康や美容意識の高まり
・中食(惣菜)マーケットは広がっているが、内食は停滞
・原材料の高騰
・食品への安全性の高まり
・東アジアや東南アジアへの進出
などがある。
全般的に、国内は健康・美容系商品に伸びる余地があるが全般的に頭打ちであり、海外に活路を見出しているケースが多い。
よって、文系学生であれば高齢者向けに健康食品を広めたり、海外の販路を開拓することが求められるため、そのあたりをアピールしていくと良いだろう。
以上、今回は高倍率な食品業界の選考を突破するために必要な業界研究や選考対策について紹介した。
記事の途中にも掲載したとおり、食品業界は倍率100倍越えが多く、お菓子メーカーの明治に至っては2750倍という天文学的な倍率となっている。
しかし、その倍率をくぐり抜けて社員になることができれば、「年収600万以上」「休みが多い」「福利厚生充実」というホワイトな環境が待っているため、ぜひ頑張って関門を突破してほしい。
とはいえ、一人ではその関門を突破できそうにないという就活生は、ホワイトアカデミーに来ることを検討してほしい。
ホワイトアカデミーでは食品業界大手の先生と二人三脚で選考対策を行うことができるので、内定確率を大幅に上げることが可能になる。毎月20名限定で無料相談も行なっているので、本気で食品業界に行きたい人はぜひ参加してほしい。
あなたが食品業界に内定して理想のファーストキャリアを実現できることを応援している。