最終更新日 2024.01.22
業界研究
新卒未経験でゲーム業界に就職することは難しいのか?
あなたはゲームが好きだろうか。コロナ禍による巣ごもり需要の影響もあり、近年のゲーム業界は成長を見せている。
多くの人の憧れを集め、ゲーム業界は非常に人気の高い業界である。それゆえ就職難易度はかなり高く、内定が難しい業界である。
この記事ではゲーム業界に就職するために求められるスキルや業界の知識を徹底解説する。あなたの就職活動の参考にしてほしい。
この記事を書いた人
東京大学工学部卒。大手一流ホワイト企業の内定請負人。就活塾「ホワイトアカデミー」を創立・経営。これまで800人以上の就活をサポート。塾はカリキュラムを消化した塾生のホワイト企業内定率100%を誇り、カリキュラムを消化したにもかかわらず、ホワイト企業の内定が出なければ費用を全額返金する返金保証制度を提供中。2019年に『子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法』(日経BP刊)を出版し、「親が子育ての集大成である"就活"に臨む際の必読書」、「これができれば本当に一流企業に内定できる」と話題。塾のYouTubeチャンネルではホワイトな業界の紹介や大手企業の倍率、ESの添削を公開するなど塾の就活ノウハウを一部紹介している。
YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCm1vSnSBj7kksfi8GIBnu0g
結論、専門学校を卒業していない大学卒や新卒でも、職種によってはゲーム会社に就職することは可能である。
確かに、中小企業の場合では、専門学校の卒業を条件としていることもあるが、大手企業の場合は開発職だけでなく、広告や営業といった総合職への応募は可能である。
専門的なスキルがなくても、ゲーム会社に就職できるチャンスはある。
まず、ゲームは大きく四種類のジャンルに分類される。
パッケージソフトゲーム
Wii、PlayStationなどの家庭用ゲーム機などの端末で遊ぶゲームで別売りのソフトを購入して遊ぶ。近年ではネットにつなげて世界中のプレイヤ―と遊ぶオンライン方針にシフトしている。
オンラインゲーム
ネットにつなげて遊ぶゲームの総称。近年オンラインの方針をとっているパッケージソフトゲームに加えて、steam等で発売されているPC版ゲームもこれに分類される。
スマートフォン向けゲーム
近年最も急速な勢いで発展しているゲームジャンル。基本は無料プレイだが、課金をさせることで大幅な利益を獲得している。
アーケードゲーム
ゲームセンターに設置しているタイプのゲーム。しかしゲームセンター自体が減少傾向で、それに伴ってアーケードゲームの販売数も減少している。
これらの他には近年市場が拡大しているトレーディングカードゲームなどもジャンルとして挙げられる。
このように一概にゲームとはいっても様々な種類があるのだ。
つぎに、具体的な企業名も挙げながら業界の全体像を把握していこう。
ゲーム業界は大きく二種類に分類できる。ハードウェアメーカー
ハードウェアメーカーはゲーム機器を製造・販売を担う。言い換えると、ハードウェアメーカーはゲームをする場所・環境を製造しているのだ。
ソニー・任天堂がほとんどのシェアを占める。
ソフトウェアメーカー
ソフトウェアメーカーの役目はソフトというゲームコンテンツを制作・販売することだ。
企業としてはガンホーやスクエア・エニックスなどが挙げられる。
ソフトウェアメーカーを細分化すると、販売に特化したパブリッシャー、ゲームの企画・製造に特化したデベロッパー、その両方を行う企業の三つに分類される。
このようにハードウェアメーカーとソフトウェアメーカーが相互に作用しあうことでゲーム業界は成り立っているのだ。ここではゲーム業界の最近主流の収益モデルを2つ紹介する。
月額課金(サブスク)
サブスクリプションは定期購読という意味で、一定の金額を支払うことでアプリ内の機能を使うことができるマネタイズ方法だ。
継続的な収益を見込めることが魅力の一つである。
アプリ課金
アプリ内で行うマネタイズ方法。アプリ内課金はゲームアイテムの購入やスタンプ販売など「機能やコンテンツの拡張」に使われる。多くのアプリでこの課金は行われている。ここではゲーム業界における主な職種について解説する。ゲーム業界の職種はプログラマーなどがイメージされやすいが、文系や未経験でも活躍できる職種もあるので安心して欲しい。
ゲームプロデューサー
ゲームプロデューサーは、ゲーム制作におけるプロジェクトを統括する。
仕事内容としては、予算やスケジュール管理、スタッフの選定、広報活動の企画などを行う。
ゲームプロデューサーになる経緯は、ゲームディレクターを経ることが多い。
ゲームプロデューサーにはマネジメント力やコミュニケーション力、企画力、プレゼン力が必要とされる。
ゲームディレクター
ゲームディレクターは、ゲーム制作現場の指揮を行う現場監督だ。
仕事内容は、ゲームプランナーやゲームデザイナー、シナリオライターとともに企画を考えて、ほかのスタッフへ伝達する。
そのため、企画力はもちろんマネジメント力、コミュニケーション力、リーダーシップが必要である。
ゲームプランナー
ゲームプランナーは、ゲームの企画立案やプロジェクトの進行管理、クオリティチェックなどを行う。
ゲームプランナーの役割は、ディレクターやプロデューサーと連携し、プロジェクトをスムーズに進めることだ。
さまざまな職種と関わる必要があるため、周囲と円滑に連絡を取れる人が向いている。
ゲームプログラマー
ゲームプログラマーは、システムエンジニアが作成した設計書に基づいてプログラミングを行うのが主な仕事だ。
プログラミングの後はテストを実施し、バグを修正することもある。
デザイナー
ゲーム会社のデザイナーはゲームのキャラクターやアイテム、背景などのデザインを制作するのが主な仕事だ。
企業によってはキャラクターデザイナーや2Dデザイナー、3Dデザイナーと呼ばれることもある。
ちなみに「ゲームデザイナー」という呼び方の場合、ゲームの企画立案や進行管理を行うプランナーを指す場合が多い。
ローカライザー
ローカライザーは、日本で制作されたゲームを海外向けに翻訳する仕事だ。ただ直訳するのでなく、ゲームの世界観に沿った翻訳が必要とされている。
また、その国の文化や習慣を考慮した翻訳をしなくてはならない。そのため、高い語学力だけでなく、各国の文化的知識も必要とされる。
なお、海外で制作されたゲームを日本ユーザーも楽しめるように日本語へ翻訳するのもローカライザーの仕事である。
営業
ゲーム会社の営業は、自社のゲームをゲームショップや家電量販店で売ってもらうことが仕事だ。
商品を取り扱ってもらうためにも、ゲームのコンセプトやシステム、ストーリーなどを理解したうえで、どうやって売り込むのかを考えることが大切だ。
近年ではゲームソフトだけでなくダウンロードコンテンツの販売も多くなっているため、広報と協力して商品認知や購買意欲を高めるイベントを企画することもある。
広報
広報は、自社のゲーム認知を高めるために宣伝をする仕事だ。
たとえば、プレスリリースといった制作発表イベントやテレビCMの企画を行う。ゲームによっては、アニメや他社ゲームとのコラボレーションを行うこともある。
また、最近はWebCMやWeb広告、SNS広告に力を入れるゲーム会社も増えている。 新卒未経験からゲーム業界に就職するためにやるべき3つのこと
出版社の記事において、出版社に就職するためには自分が出版したい本の企画書を持っていくことが重要であることは記述した。
それは、面接の段階で自分だったらこんな本を出版したいという企画書を持っていけば人事に本気度が伝わるからである。
ゲーム業界も本質は同じで、自分がリリースしたいゲームの企画書を作っておくことは就職活動において有効である。
どちらの業界にも言えることは、自分自身を消費者ではなく、製作者サイドで考えるという姿勢が大切なのである。
ゲーム業界の中には経験を問わない企業も一定数存在する。このような未経験可の求人では、ゲーム作りへの意欲やコミュニケーション能力などを重視する傾向にある。
自己PRではコミュニケーション能力をアピールしよう。
ゲーム業界は広くエンターテインメント業界に位置される。この業界のエントリーシートは独特なものが多く対策が必要である。
以下に実際にエンタメ業界の会社で出題された質問を修正して抜粋する。
今まで関わってきた、舞台制作・アニメ制作・動画配信・グッズ制作などの経験を教えてください。ない場合は、これらのエンターテイメントを作るうえで最も役に立つと思う自分の経験やスキルを教えてください。
最もハマったゲームを教えてください。(家庭用ゲーム、ゲームアプリどちらでも構いません。他社様のゲームで構いません。)
自分一人でこれらの質問に太刀打ちできない場合は就活塾ホワイトアカデミーを頼ってほしい。
ゲーム会社への就職を目指す際に必要なこととして、以下の4つがあげられる。
ゲーム会社へ就職するためには、何よりも「ゲームが好き」という思いや「ユーザーのためにより面白いゲームを作りたい」というゲーム作りへの意欲が必要だ。
「ゲーム制作になんとなく興味があるから」という気持ちでは、この高倍率な選考には太刀打ちできない。
ゲーム作りへの熱い思いがなければ、入社できたとしてもモチベーションを保てず挫折する恐れがある。
ゲーム会社で働くには、スキルだけでなくコミュニケーション能力も重要だ。なぜならゲームは1人で作れるものではないからだ。
プランナーやデザイナー、プログラマー、シナリオライターなどさまざまな職種のスタッフが協力して、1本のゲームを作り上げていく。
トラブルが発生した場合には迅速に情報共有する、相手の立場に立って意見を述べるといった姿勢を心掛けることで、プロジェクトをスムーズに進めることができるのだ。
ゲーム業界で働く上で必須ではないが、プログラマーやデバッガー以外の職種もプログラミングを勉強しておくと、求人への応募時にアピール材料となる。
たとえば、プランナーがプログラミングの知識を身につければ、プログラマーへの指示をより具体的に行うことができる。
また、デザイナーの場合は、デザイン制作だけではなくゲームの構築もできて業務の幅を広げられる。
プログラミングの知識を身につけておくことで、他職種とのコミュニケーションも取りやすく業務を円滑に進めやすくなる。
今やゲーム市場は日本だけでなく、海外でも拡大している。そのため世界のトレンドやニーズに目を向けることが大切である。
スマートフォンが普及したことにより、スマートフォン向けゲームも台頭。今後は5Gが普及し、これまで実現できなかったことをゲームでできるようになっている。
このように技術は日々進化を続けているため、トレンドを知りニーズを取り入れようとする姿勢が大切である。
①任天堂
勤務時間も短く、残業代もきっちりと払わられる点において非常にホワイトな企業だということができる。休日出勤も新入社員でもほとんどない。
さらには休憩を適度に取るように促してくれたりと、ストレスなく働く職場としては最高の環境である。
②ソニー
ソニーはPS4がかなりの人気を誇り、最近発売されたVRも売れていて給与面では申し分ない。
それに加えて、社内の雰囲気が非常に自由で、社服などもなく私服で通勤できるのも魅力だろう。
意見発言の場も設けられているため、上下関係に縛られることなく仕事をすることができるようである。
社内に診療所なども設けられていて、勤務中に診療を受けて薬を出してもらうことまでできるそうだ。
特に突出した点があってホワイト企業認定されているのではなく、全体的に高評価を得ていることもソニーの企業体制を物語っている。
③グリー
グリーはブラウザゲームを中心に配信・販売している会社である。
特徴的なのは「手厚い福利厚生」だ。チーム会食費や最新のスマートフォン購入費補助などが出るという点が若者から人気である。
ほかにも、出産・育児などで休暇を取るというのもしっかりと保証されているのも非常に魅力的な点だ。ここで2023年度のゲーム業界の売上ランキングを見てみよう。
- 1位:ソニーグループ株式会社 2兆7,398億円
- 2位:任天堂株式会社 1兆6,953億円
- 3位:株式会社バンダイナムコHD 3,781億円
- 4位:株式会社スクウェア・エニックス・HD 3,652億円
- 5位:株式会社ネクソン 2,744億円
出典:
Geekly これらの企業は総じて年収も高く採用倍率も高い。万全の就活準備が必要である。
2020年のコロナ禍による外出自粛からの巣ごもり需要のひとつとして、ゲーム消費が増えた。具体的には以下の3つの要素が、市場拡大にプラスの影響を与えている。
・行動制限によるゲームの消費増加
・ゲーム対戦の実況動画の視聴率が増加
・ゲーム空間上のコミュニケーション増加
店頭接客なしでコンテンツを購入できるゲームは、自粛ムード漂う社会状況にマッチしており、その結果ゲームデベロッパーの多くが業績を伸ばしている。
例えば「家庭向けゲーム」大手のソニーの「PlayStation4」の世界累計販売台数が、発売から7年目の2020年12月末時点で1億の大台を突破した。
また次世代機に期待が集まる中、「PlayStation5」の投入を発表して世界で話題となった。この「PlayStation5」の国内累計販売台数は21年9月時点で100万台を突破した。
また、家庭向けゲームの草分け任天堂が2017年3月に発売した「NintendoSwitch」は、3つのモード(TV・携帯・テーブル)で遊べる柔軟性がユーザーに評価され、2020年3月に世界販売台数が約8,000万台を記録した。
家庭用ゲーム機からスマホにシフトする傾向がみられる中、「NintendoSwitch」は新市場の開拓に成功している事例だ。
ゲーム業界の新たな潮流とされているのが「eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)」だ。
これは広義には電子デバイスを用いて、プレイヤー同士が対戦するゲームをスポーツ競技として捉えるものである。
実際に
「日本eスポーツ白書2022」の調査によると、2021年国内eスポーツ市場規模は前年比115.5%の78.4億円となり。 2025年には約180億円まで成長すると見込まれている。
海外での大会の盛り上がりは、徐々に日本にも浸透し、動きが活発化しつつあり、ゲーム業界にとって明るい話題といえる。
e-sports市場の急速な広がりから、ゲーム業界ではこの分野に注力することが業界トレンドにもなっている。
ゲーム業界ではこのように新たな市場の創出や、関連事業および周辺事業への取り組みなどを含めた包括的な市場拡大が望まれている。
ゲーム会社に就職したければ、これらの背景を認識した上での戦略的提案によって、新規開拓のビジネスチャンスを見出せるかを考えておくべきである。
上記で説明した通り、ゲーム業界への就職は難しいが、ゲームが好きな人にとってはまさに夢のような仕事であろう。
ゲームへの熱意を持って就職活動にあたってほしい。