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最終更新日 2022.11.29

業界研究

化学業界へ就職するためには何が必要か。業界を徹底解説

化学業界の特徴と就職するための心得
毎年就活生からの人気が高い化学業界。業界全体がホワイトなイメージがあり、理系のみならず文系の学生も憧れる業界の一つではないだろうか。

しかしその商材は理系であれば馴染みはあるかもしれないが、文系の学生はどうであろう。ほとんどが触れたことがないものではないだろうか。

このように馴染みの薄い化学業界に就職するためには業界研究はもちろんのこと、有効な志望動機を作成する必要がある。

この記事ではそんな化学業界に就職したい人のために、化学業界の知識や就職のためにやるべきことについて詳しく解説する。この記事があなたの就職の手助けになれば幸いである。

この記事を書いた人

竹内 健登

Kento Takeuchi

東京大学工学部卒。大手一流ホワイト企業の内定請負人。就活塾「ホワイトアカデミー」を創立・経営。これまで800人以上の就活をサポート。塾はカリキュラムを消化した塾生のホワイト企業内定率100%を誇り、カリキュラムを消化したにもかかわらず、ホワイト企業の内定が出なければ費用を全額返金する返金保証制度を提供中。2019年に『子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法』(日経BP刊)を出版し、「親が子育ての集大成である"就活"に臨む際の必読書」、「これができれば本当に一流企業に内定できる」と話題。塾のYouTubeチャンネルではホワイトな業界の紹介や大手企業の倍率、ESの添削を公開するなど塾の就活ノウハウを一部紹介している。

YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCm1vSnSBj7kksfi8GIBnu0g

化学業界の概要

概要

業界の構造

業界の構造
化学メーカーとは、化学反応を伴う生産プロセスを通して製品を生み出す企業のことだ。

商材としては、例えば、薬品、紙、パルプ、ゴム、合成繊維、化粧品、洗剤などがあげられる。

化学業界の構造はよく川に例えられることがある。

川上に属する企業は原油や天然ガスを精製してエチレンやナフサ、ベンゼンなどの原材料を生み出す。

また、川上を担う企業は川中と川下を一貫して行う総合化学メーカーであることが多い。就職活動においては、規模が大きいため知名度が高く就職倍率が高い。

川中に属する企業では川上企業から原材料を調達し、加工して素材や化成品を製造する。

例えばポリエチレンやポリエチレンなどのプラスチック、合成ゴムや合成繊維などの中間製品が当てはまる。

このような企業は知名度が低いものの、特定の領域でトップを走る企業であることも多くみられる。よって志願者が少ないため、就職活動の初期で志望すれば採用される可能性が高くなり、自分に合った穴場の企業が見つかることもある。

川下に属する企業では私たちが普段手にする最終製品を製造する。

具体的には化粧品や薬品、写真用フィルムなど幅広い分野のメーカーが該当し、企業の事業内容が比較的狭いのが特徴である。

業界の特徴

日本における化学業界の役割として、原油精製の副産物の「ナフサ」を原料とするサプライチェーンを中心に、ポリエチレン等の汎用品から半導体素材等の最先端素材まで、自動車や医療など幅広く産業を下支えしていることが挙げられる。 

このように、一つの工程で同時に複数の製品が生産される「連産品」により製造されていくことも化学産業の大きな特徴と言える。一つの工程の変化がその製品のみならず、下流の他の製品に影響を与える構図となっているのだ。

そして、化学メーカーは主に「総合化学メーカー」「誘導品メーカー」「電子材料メーカー」の3つに分類されると言われている。

以下にその3つのメーカーについて詳しく解説する。

総合化学メーカー

総合化学メーカー
総合化学メーカーとは、エチレンなどの石油化学誘導品の元になる基礎原料からプラスチック・合成繊維・合成ゴムなどの中間製品を作り、さらに中間製品から最終の製品を生み出す一貫生産を行う企業のことである。

つまり川上を担う企業は川中と川下を一貫して行うということである。

過去は主な基礎原料であるエチレンを製造販売しているメーカーを指したが、現在はその定義は曖昧で、広く定義されている。

総合化学メーカーの主な強みは以下の通りだ。


  • ①上流から下流まで一貫生産しているため、製品のコスト競争力がある

  • ②基礎化学品にはじまり高機能化学品、医薬・製薬まで多様な製品群を手掛けているため安定性がある

  • ③基礎原料からはじめる基礎技術や特許の蓄積しており、他国の新興科学メーカーが真似できない化学製品を生み出せる。



自社で安く原料を使って、安く製品を作れること、さらに多様な製品を手掛けており、ある分野・製品が売れなくなっても、他の分野・製品でカバーしやすいことが特徴と言える。

総合化学メーカーは一般的には三菱ケミカルホールディングス、住友化学、三井化学、昭和電工、東ソー、旭化成の6社を指す場合も多いが、この6社に信越化学工業やUBE株式会社(旧社名:宇部興産)を加える場合もある。

誘導品メーカー

誘導品メーカー
誘導品メーカーとは、化学製品のいわゆる川中部分の製品を製造・販売する企業である。

誘導品とは、基礎原料から作られる最終製品に必要な部品や素材のことであり、製品材料メーカーはこの誘導品を用いて特殊な機能を持った素材や部品を作って、最終製品メーカーに販売している。

自動車の部品に使われる特殊なプラスチックやタイヤのゴム、リチウムイオン電池を作るための材料のほとんどは化学メーカーが作っている。生産する製品が直接消費者の手に渡るわけではないが、最終製品の性能を左右する重要な素材である。

誘導品/製品材料メーカーの強みは以下の通りだ。


  • ①安価な原料から高付加価値製品を製造することで、利益率の高いビジネスを行う

  • ②独自の製造技術で国際競争力がある

  • ③新技術は特許に守られているため新興国企業にコピーされにくい



各社独自の技術で付加価値の高い製品を製造することで、他社との価格競争に巻き込まれず高い利益率である会社が多いため、市場の住み分けができている。

ニッチな市場で強みを持っている企業も多く、それぞれの得意分野でグローバルにビジネスを展開している。

電子材料メーカー

電子材料メーカー
電子機器メーカーとは、基礎原料や誘導品から半導体、ディスプレイなどの電子部品の生産を行うメーカーだ。身近な例を挙げると、スマートフォンやパソコンの部品を製造している。

スマートフォンやパソコンという最終製品に近い製品を扱っていることから、誘導品/製品材料メーカーよりも景気や流行りの影響を受けやすいという特徴がある。

例えば新型iPhoneや5G対応スマートフォンが発表され多くの消費者が購入する場面では、当然その部品を製造している電子材料メーカーの売上も伸びていく。

一方でスマートフォンの機能に真新しさがない場合には消費者は買い控え、電子材料メーカーの売上も伸び悩む。

最近では新型コロナウイルス感染症拡大の影響で各企業が在宅勤務を導入したことから、在宅勤務をするために自宅のパソコン等を買い替え動きがあり、売上が増加した企業が多くあった。

主な職種

職種

研究・開発職

化学メーカーの研究開発職は、新たな発見や仮説の検証などを行なって新規開拓を行う基礎研究と、基礎研究で得た成果を具体的な製品化につなげるための応用研究を行う。

当然、化学メーカーで研究開発職に就くためには、入社後の研究で成果をあげる必要があるため、高い専門性が求められる。

そのため、修士号以上の学位取得者が採用されるケースが多い。

しかし、化学専攻だけでなく生物専攻や物理専攻の方も採用される場合もあるので、化学メーカーの研究開発職=化学専攻のみと考える必要はない。

生産技術開発職

生産技術開発職
製造・生産技術開発職は、製品の製造に関する技術や生産方法の開発をする職種だ。

この製造・生産技術開発職により、製造の効率化や量産化が可能になり、製品が市場に出回ることができる。

高い専門性だけでなく、関係部署との連携が多い職種であるため、選考ではコミュニケーション能力も重視される。

どれだけ優れた製品を開発することができても、技術開発によって製造・生産技術が確立しなければ商品化が難しくなるからだ。

製造・生産技術開発職は化学専攻だけでなく、機械専攻等の他分野を専攻していても採用されるチャンスがある。

品質管理職

製品の生産プロセスの中で、完成品のチェック機能を担うのが「品質管理/品質保証」である。

化学業界の「品質管理/品質保証」が扱うのは、主に電機・消費財・アパレルなどのメーカーの原材料や素材などである。

生産段階でも不具合率改善の取り組みを絶えず実施しているが、「品質管理/品質保証」は、これと併せて完成品の検知・検証に取り組むことになる。

調達・購買職

調達・購買職
調達・購買職の仕事は原料やパーツの発注および納品対応がメインだ。 それに加えて発注先の選定や取引条件の交渉、物流の管理にも携わる。

原料は国外の企業から調達することも多く、高いレベルの語学力や交渉力が求められる分野であり、 原料の品質は自社製品の品質に直結する重要な職種である。

営業

営業職は、イメージできる方も多いと思うが、製造・生産したものを社外に売り込んだり、現場のニーズを社内にフィードバックする役割を持っている。

とくに営業職は、顧客に売り込むために自社が取り使うものに関しての知識が必要なため、入社後の勉強は欠かせない。

化学メーカーは、研修が手厚いところが多いので、専門外から就職しても入社後に必要な知識を深める機会がある。

そのため、化学メーカーの営業職は理系しかできないというわけでなく、文系でも化学の知識を意欲的に学べる人であれば活躍することができる。

おすすめホワイト企業と平均年収ランキング

ホワイト企業と平均年収ランキング

おすすめホワイト企業

  • 16位(11位):旭化成株式会社(化学全般)
  • 31位(135位):スリーエムジャパンイノベーション株式会社(化学全般)
  • 70位(63位):帝人株式会社(合成繊維)
  • 77位(184位):デュポン株式会社(化学全般)
  • 89位(11位):ポリプラスチックス株式会社(エンジニアリングプラスチック)


今年は産業向けの需要が回復し、化学系メーカーが盛り返してきた。この業界はホワイト企業が多く、旭化成の平均年収は923万円、帝人は943万円、外資系の企業も平均1000万円弱であり、高待遇の会社が多い。

そのぶん選考倍率は高く、理系学生および大学院生の間でさえ例年熾烈な戦いが行われており、大手企業の研究職では旧帝大でも一握りしか受からない。

また、文系総合職も4,5人しか採用しない会社が多いため非常に高倍率である。入念な対策なしでは通過は困難である。

平均年収ランキング

  • 1位:三菱ケミカル 1,014万円
  • 2位:富士フィルム 970万円
  • 3位:積水化学工業 904万円
  • 4位:住友化学 857万円
  • 5位:信越化学工業 848万円
  • 6位:三井化学 837万円
  • 7位:花王 823万円
  • 8位:日産化学 806万円
  • 9位:カネカ 734万円
  • 10位:ライオン 692万円

参考:メトリーキャリア

ランキングの結果として、三菱ケミカルが1000万円の壁を越えることがわかった。
どの業界でも言えることだが、平均年収ランキング上位の企業は選考倍率は高いため、万全な就活対策が求められる。

文系から化学業界に就職するために必要なこととは

文系から化学業界へ
文系から化学業界に就職するために必要なこと、それは志望動機を明確化させることだ。

化学業界の志望動機を書く際は「なぜ化学業界なのか」「なぜその会社なのか」をしっかりと深堀りしておくことが必要である。

具体的には自分が将来何を成し遂げたいのか、例えば「素材を通して、日本のモノづくりの新しい可能性を引き出したい」「世界に誇れる技術力を持つ企業で働き、日本だけではなく世界のものづくり産業を支えたい」などといった化学業界ならではの理由を述べよう。

例えば旭化成であれば、企業の特徴は化学技術を用いてケミカル、生活製品、住宅、繊維、エレクトロニクス、建材、電子部品、医薬品、医療などの事業を展開するということだ。

このように、旭化成は技術領域の広さとそれぞれの事業領域における高い技術力をかけ合わせた総合力が強みであるので、自分ならこの強みをどのように活用していきたいかを述べてみよう。

化学業界の話題

化学業界の話題

業界の動向

日本の科学技術はグローバル市場獲得に向けて、自己の優れた技術に着目し、発展させる形でイノベーションを起こし、革新・先端素材におけるシェアを拡充している。

経済産業省が発表した化学産業の現状と課題によると、日本の炭素繊維は 2035年の市場規模は 3兆8,482億円とされており、宇宙航空・自動車・土木建築・風力発電など様々な分野での活躍が期待されている。

今後はモビリティや半導体等のエレクトロニクスに加え、今後、異業種・異材料分野の協業により、 益々拡大が見込まれるヘルスケア、医療福祉機器、バイオ製品等での更なる展開が期待されている。

市場規模と利益率

業界動向によると、2020年-2021年の化学業界の業界規模(主要対象企業194社の売上高の合計)は29兆9,685億円となっている。

2011年26.3兆円
2016年27.2兆円
2018年29.7兆円
2019年29.2兆円

参考:業界動向を元に筆者作成

また上の表によると、ここ数年の動向は横ばいで推移している。

以上のデータより、化学業界の市場規模は経済や生活を支えるほど大きい業界だが、すでに成熟期にあるというわけだ。

万全な就活対策を

万全な就活対策を
上記で説明した通り、化学業界は待遇の良いホワイト企業が多くある。

そしてその分、就職難易度は高いものとなっているのだ。

もし一人でこの化学業界に立ち向かうことができないと感じたら、ぜひホワイトアカデミーを頼って欲しい。

ホワイトアカデミーには、実際に化学業界での勤務経験のある現役社会人がマンツーマンで、あなたの就活力を高めてくれる。

魅力的な化学業界を本気で目指すのであれば、一度ホワイトアカデミーの門を叩いてほしい。

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