総合商社の仕事は一言でいえばトレーディングに代表される
口銭ビジネスだ。そしてその取引先は世界中ではあるものの、半数を超える取引先が日本となっている。
この口銭ビジネスをわかりやすく言えば、取引の間に入って手数料を2~10%ほどもらう仲介のことである。
例えば、図にあるような自動車業界の部品製造会社と車両・エンジン製造会社の間に商社が入った場合、商社は仲介した取引について、部品製造会社からその売り上げの3%をもらうという形である。
手数料は商材によって異なり、花形の鉄鋼では3%などとなっている。ただお分かりの通り、「だったら商社を挟まずに直接メーカー同士が取引をすればいいじゃないか。商社っている意味がないのでは?」となるわけだが、それが意外と意義があるのである。
というのも、メーカー同士が直接取引をするにも「相手に信用がおけないので直接取引はしない」「売り先がない」という事象が発生するためだ。
商社が第三者として間に入ることによって、「商社さんが仲介してくれるなら安心」「商社さんのおかげで売り先が見つかった」となるので、やはり商社の信用やネットワークは意義があるのである。
ただ、ここで商社からすれば、「別におたくの商社でなくても他の商社でもいいんだけど」とメーカーから言われるリスクを常に持っている。
事実、どの商社を使ったところでメーカーからすればそこまで差はなかったりするので、全部の取引を同一の商社に任せるのではなく、半分を三菱商事、半分を双日、という形で分けているケースも多い。その方が、商社からもらえる販売先についての情報量も多くなるからだ。
しかし、商社からすれば、それが
リスクである。そこで、事業投資を行ってそもそものメーカーそのものを買収しにいくわけである。
たとえば、先ほどのメーカーを買収してしまえば、そこから生じる取引を全部牛耳ることができるようになり、それによって継続的に儲けることができるため、総合商社の多くが事業投資を行ってサプライチェーンを牛耳ろうとするわけだ。
事業投資によって、その会社からの配当に加えて、その会社の取引から発生する手数料までもを継続的に手にすることができるため、二重の意味で安定収益を得ることができるようになる。この安定収益が潤沢にあるため、総合商社は社員に多くの給料を出せるというわけだ。
ちなみに、英語を多く活用するかと思いきや、
取引先の多くは国内のメーカーや小売店であったりするので、英語が帰国子女レベルにできなくても総合商社に入社することは十分に可能である。とはいえTOEICで730点程度は必要なので、商社を目指す方は日頃から勉強しておくことを勧める。