最終更新日 2022.05.23
業界研究
IT業界への就職の実態とは?業界について徹底解説
近年のコロナショックによりIT業界は大きな変革を遂げることとなった。業界の市場規模は拡大を続けている。
そんなIT業界に就職したいと考えている就活生も多いのではないだろうか。
一方で内定は取りたいが、今までパソコンにあまり触れたこともないと不安に思っている人もいるだろう。
この記事では、未経験でもIT業界へ就職したいと考えている就活生に向けて、IT業界の現状と就職するための対策を徹底解説する。
この記事を書いた人
東京大学工学部卒。大手一流ホワイト企業の内定請負人。就活塾「ホワイトアカデミー」を創立・経営。これまで800人以上の就活をサポート。塾はカリキュラムを消化した塾生のホワイト企業内定率100%を誇り、カリキュラムを消化したにもかかわらず、ホワイト企業の内定が出なければ費用を全額返金する返金保証制度を提供中。2019年に『子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法』(日経BP刊)を出版し、「親が子育ての集大成である"就活"に臨む際の必読書」、「これができれば本当に一流企業に内定できる」と話題。塾のYouTubeチャンネルではホワイトな業界の紹介や大手企業の倍率、ESの添削を公開するなど塾の就活ノウハウを一部紹介している。
YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCm1vSnSBj7kksfi8GIBnu0g
一口にIT業界と言っても、その実大きく4種類に分類される。
①ソフトウェア業界
ソフトウェアとはコンピューターを動かすためのプログラムのこと。これを開発する業界をソフトウェア業界という。
平成30年特定サービス業実態調査では、対21業種の80.4%を占めており、事業所数は2万1953事業所である。また従業者数は70万7642人と最多である。
②インターネット・webサービス業界
インターネット・ウェブを通して様々なサービスを提供する業界。
インターネット・webサービス業界の主な業務内容としては、webサービスの企画・開発、インターネット広告の制作、電子書籍・動画などのコンテンツ制作・販売などが挙げられる。
ビジネス形態としてはBtoBとBtoCの2つに分類される。
BtoBは企業向けにwebサイトの作成やインターネット広告などを手掛ける。対してBtoCは消費者に対して、SNSサービスやマッチングアプリ、ゲームなどのサービスを提供する。
③ITサービス業界
企業が抱える悩みをITシステムの力で解決していく業界。特徴により5つに分類される。
ユーザー系
一般企業(商社・金融など)のシステム部から独立したIT企業。安定して働きやすいことが特徴。
メーカー系
主にパソコンパソコンメーカーから独立したIT企業。事業的に、親会社のシステム開発を行うことが多いので安定感がある。
独立系
親会社を持たないIT企業。親会社の縛りがなく、柔軟で独創的な開発が可能である。
コンサル系
プロジェクトの上流工程を担う。経営課題を解決するシステムの企画、提案などを行う。クライアントの利益を上げるための戦略を立案する。
外資系
外国資本のIT企業。能力主義で、仕事ができれば高給を期待することができる。
④通信サービス業界
我々がインターネットサービスを利用する際に必要な通信インフラを設置して運用する業界。
通信インフラは「固定回線」「無線回線」「海底ケーブル・衛生通信」の3種類に分類される。IT業界の職種は主に3つに分類される。
①営業・コンサルタント職
ITコンサルタント
IT技術を駆使して企業の課題を解決する専門家。主な業務フローは「ヒアリング・分析→課題解決提案→マネジメント」である。
システム開発の最上流工程を担うITコンサルタントには、IT技術の知識と経験のほか、クライアントである企業の課題を正確に把握する理解力と、課題解決に向けての論理的思考力が必要になってくる。
キャリアパスとしては、システムエンジニアやプログラマーなどを経て、知識と経験を身につけてからITコンサルタントに転向するのが一般的である。
セールスエンジニア
一般営業担当者とクライアントに訪問し、ITサービスの導入の交渉を行う。ITの知識はもちろんのこと、知識のないクライアントにわかりやすくワービスの内容を伝える力も必要になってくる。
②マネジメント職
プロジェクトマネージャー
開発プロジェクトの管理を担当する職種。具体的な業務内容としては、プロジェクトメンバーの選出や予算管理、スケジュールや進捗管理など、プロジェクトの全体管理を行う。大局的な視野が必要な職種である。
プロジェクトリーダー
システム開発の現場責任者を担うポジション。プロジェクトマネージャーの指揮のもと、現場を管理する。プロジェクトマネージャーよりも現場の技術者と密に関わることができる。
③技術・開発職
システムエンジニア(SE)
クライアントの要求に応じてシステムを設計する。主な業務フローは4つに分類される。
①要求分析・要件定義
顧客へのヒアリングを通して、顧客がどのようなシステムを求めているかを明確にする。
②基本設計
要求分析・要求定義のデータに基づいて、システムの設計を行う。
③詳細設計
基本設計を基にどのような技術や仕組みを使用するかを具体的に落とし込む。プログラマーがプログラミングできるように詳細な設計を行う。
④テスト
プログラミング完了後、システムが正常に作動しているかをテストする。
プログラマー
システムエンジニアが作成した設計書を基に実際にプログラムのコードを書く。システムに不具合が生じた場合はシステムエンジニアと連携をとり、問題解決を図るのも仕事。
サーバーエンジニア
サーバーの設計・構築・保守を行うエンジニア。
サーバーとは利用者の要求に対して、求められた情報を返すコンピュータやソフトウェアのことである。
ネットワークエンジニア
ネットワークに特化したエンジニア。情報処理推進機構が実施する情報処理技術者試験のネットワークスペシャリスト試験合格者。
サーバーエンジニアが設計・運用したサーバーをネットワークエンジニアがネットワークに接続することによりwebサービスが成立する。近年のIT業界の市場動向を見ると、右肩上がりで成長していることがわかる。そのようなIT業界に存在する課題を2つ紹介したい。
①IT人材の不足
経済産業省の調査では、2030年までにIT人材の不足数は約45万人になると言われている。
このような問題に対して国はIT教育に力を入れ、小中学生のプログラミングの義務化を図り、IT人材の不足の解消、スキル向上を促している。
②エンジニアの長時間労働
エンジニアの労働時間の長さはかねてからの問題とされてきた。現在はそうした労働状態を改善しようとしている企業は多いが、繁忙期や納期前はどうしても労働時間が長くなってしまうことは起こりうるだろう。コロナショック以後、社会・経済のデジタル化は加速度的に進展している。
我々の生活スタイルは対面接触を避けるように変化していき、消費行動や娯楽のスタイルまでもデジタル化の影響を受けている。
消費行動ではインターネットを活用したオンライン消費が一般化してきた。娯楽では、Netflixなどの動画配信サービスが躍進し、加入者を大幅に伸ばしている。
このように空前のコロナショックはIT業界の技術躍進を促し、これからも業績を伸ばし続けるだろう。
就職事情①〜人気企業ランキングとホワイト企業ランキング〜
Rakutenみん就が2022年3月卒業予定の学生を対象に調査した『2022年卒 IT業界新卒就職人気企業ランキング』は以下の通りだった。
1位 NTTデータ
2位 楽天
3位 富士通
4位 SCSK
5位 伊藤忠テクノソリューションズ
6位 グーグル
7位 Sky
8位 ヤフー
9位 LINE
10位 アクセンチュア
引用:
Rakutenみん就『2022年卒 IT業界新卒就職人気企業ランキング』 これらの人気企業は当然就職難易度が高い。就職を考えるのなら万全の対策が必要である。
続いて、IT業界のホワイト企業ランキングを見てみよう。当塾が発表しているホワイト企業ランキングTOP100の中でIT業界の企業をピックアップした。
- 1位(1位):グーグル合同会社 (検索エンジン)
- 2位(2位):Facebook Japan株式会社(SNS)
- 3位(18位):アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(クラウドサービス)
- 7位(1位):オートデスク株式会社(ソフトウェア)
- 9位(14位):ヴイエムウェア株式会社(クラウドコンピューティング・仮想化)
- 12位(33位):シスコシステムズ合同会社(通信)
- 13位(16位):株式会社セールスフォース・ドットコム(営業支援・CRMツール)
- 14位:日本マイクロソフト株式会社(Windows、officeなど)
- 18位(187位):アカマイ・テクノロジーズ合同会社(CDN、クラウドセキュリティー)
- 21位: マイクロソフトディベロップメント株式会社(SIer)
- 24位(44位):エクスペディアホールディングス株式会社(旅行予約サービス)
- 26位(24位):Apple Japan合同会社(電機メーカー)
- 29位(53位):ブルームバーグ・エル・ピー(経済や金融情報の配信、通信・放送事業)
- 32位(7位):マスワークス合同会社(MATLABなどの数学的計算ソフトウェアの開発)
- 35位:Booking.com Japan株式会社(旅行予約サービス)
- 37位:シーメンスEDAジャパン株式会社(電子設計の自動化ソフト・ハードウェア)
- 39位(171位):株式会社電通国際情報サービス(SIer)
- 49位:Twitter Japan株式会社 (SNS)
- 53位(26位):株式会社アークシステム(SIer)
- 57位(79位):豊田通商システムズ株式会社(SIer)
- 61位(117位):クラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社 (リサーチ)
- 62位(25位):株式会社アシスト(SIer)
- 63位(106位):株式会社NTTデータ・フィナンシャルコア(SIer)
- 64位:アンシス・ジャパン株式会社(構造解析ソフトウェア開発)
- 67位:アマゾンジャパン合同会社(EC)
- 68位:AT&Tジャパン株式会社(通信)
- 75位:都築電気株式会社(SIer)
- 76位(129位):株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(SIer)
- 79位:ジュニパーネットワークス株式会社(通信・クラウド・AIなど)
- 80位:株式会社メルカリ(フリマアプリ・EC)
- 82位:ナイル株式会社(デジタルマーケティング)
- 93位:株式会社リクルートカーセンサー(自動車メディア運営)
- 95位(126位):Sky株式会社(SIer)
参考記事:
【2023年卒版】新卒で入りたい一流ホワイト企業ランキングTOP100 ホワイト企業ランキングTOP100における約4割をIT業界の企業が占める結果となった。
結論から言うと、IT業界は他の業界に比べ、学歴フィルターで大学偏差値を重要視はしない。IT業界では高卒の方にも門戸は開かれているくらいである。
ただ、SIerやITコンサルタントなど、上流工程を担い、論理的思考力が必要となる職種では結果的に高学歴層が集中することはある。
また、IT業界は理系しか就職することができないのか気になる人もいると思うが、決してそんなことはない。ITエンジニアの最終学歴の30%は文系出身なので、文系出身の就活生は安心して欲しい。
IT業界就職に有利になるであろうおすすめの資格を3つ提示する。
①ITパスポート
ITパスポートは、独立行政法人情報処理推進機構が実施している試験。IT系の資格の中で最も基礎的なことを学ぶことができる資格である。
ITにまつわる様々な知識を知ることができる上に、近年では大企業も取得を推奨している。
②基本情報処理技術者試験
ITエンジニアの登竜門と言われる試験。ITパスポートとの違いは、基本情報処理技術者試験の方が、プログラミングやアルゴリズムなど、ITの知識をより深掘りされることである。したがって合格率も20〜30%と決して高くはない。
③MOS
MOSはMicrosoft社が提供するMicrosoft Office製品の操作スキルを証明する資格。
近年の学生はスマホやタブレットで全てを済ませてしまう傾向があるので、このようなPCスキルを証明する資格は企業からしたら貴重なものとなっている。IT業界に就職したいが、大学ではパソコンにほとんど触れたこともないという方もいるだろう。そのように経験のない人はどうすればIT業界に就職することができるか。以下にやるべきことを3つ列挙する。
IT業界に向いている人については後述するが、それに合わせた経験を積むことは一つの手である。
例えば、協調性をアピールするためにサークルのプロジェクトをチームで達成するという経験は面接の時に語ることができるだろう。
①とかぶってしまうかもしれないが、ITのベンチャー企業のインターンに参加して経験を積むのも一つの手である。インターンを通して会社の実務とITの知識に触れることは、就職活動において自分自身の唯一の経験となり、エントリーシートや面接のネタになる。
Progateとは初心者向けのプログラミング学習サービスである。プログラミング学習の登竜門と言われている。
前述した資格を取得する時間もないという人はこのProgateでプログラミングに慣れておくと就活時にやる気をアピールすることができる。
キャリアアップしやすい
IT業界は専門的知識を身につければキャリアアップしやすい業界であると言える。例えば、最初はプログラマーからキャリアをスタートさせ、システムエンジニア→ITコンサルタントなど、業界内でのキャリアアップを実現しやすい。
また、近年では様々な業界でDX化が進展しており、IT技術を持つ人材は重宝されるだろう。
時代の変化の先端に立っている実感
変化の激しい業界だからこそ、新しい技術や情報にいち早く触れることができることはIT業界の魅力だろう。IT業界に向いている人は大きく分けて3種類いる。
①協調性がある人
IT業界のプロジェクトはチームで行うことがほとんどである。またプロジェクトリーダーなどは、チーム全体を俯瞰して的確な指示を出せるリーダーシップも必要となってくる。
②継続力のある人
半年に及ぶプロジェクトが多い中、最後まで責任を持って職務を全うすることがこの業界では必要となってくる。
③論理的思考力のある人
特にSIerやITコンサルタントではクライアントの課題を分析し、解決するために論理的思考力が必要となってくる。目覚ましい発展を遂げるIT業界。そんなIT業界におけるトレンドワードを提示する。
5Gは高速・大容量・低遅延の通信が可能なシステム。日本では2020年春からサービスがスタートした。
今後のDX化の促進の基盤として期待される。
X-techとは、既存業界のビジネスとIT技術を掛け合わせ、新たなサービスや製品を生み出す取り組みを指す。
具体例としては教育とテクノロジーを組み合わせたEdTech、金融サービスとテクノロジーを組み合わせたFinTech、農業とテクノロジーを組み合わせたAgriTechなどが挙げられる。
IoTはInternet of Thingsの略である。インターネットによってモノが繋がる状態のことである。
IoTの応用例は多岐に渡り、離れたところにあるモノを操作したり検知したりすることができる。
DXとはデジタルトランスメーションの略であり、デジタルを用いた確変という意味である。
現在多くの企業がデジタル技術を用いて社内のビジネス戦略やシステムを刷新している。
このDX化の流れを受けて業界を問わずに需要が上がってくると予想されるのがDXエンジニアである。
以上がIT業界の実態と就職に向けてのアドバイスである。
IT業界自体が人材不足ということで、就職は簡単だと思っている人もいるかもしれないがそれは間違いである。
人気企業ランキングやホワイト企業ランキングに載っているような大手企業に内定するためにはとにかく論理的思考が重要であり、これは特に文系の学生は鍛えなければならない力である。
もしも独学で身につけるのが難しいと感じた場合はぜひ就活塾ホワイトアカデミーを頼ってほしい。
ホワイトアカデミーではIT業界に勤める現役のビジネスマンがマンツーマンでIT業界に内定するためのテクニックと訓練を授けてくれる。
IT業界に本気でいきたい人はぜひ一度検討を勧めたい。
また以下に、ITとの融合性の高い金融業界についての記事を提示する。業界研究の参考になれば幸いである。
参考記事:
金融業界についての記事