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最終更新日 2024.11.21

学部・学科別の就職対策

教育学部卒は就職活動で不利なのか?その実態と対策を徹底解説

教育学部は就活事情とおすすめの進路
教育学部、あるいは教育学部出身の人に対してあなたや周りの人はどのようなイメージを持っているだろうか。

おそらく大半の人は、教育学部は教員を養成する場所であり、教育学部出身の人は絶対的に将来に教員になることを目指しているものだと思っているだろう。

そのため教育学部生の就職活動では「将来は先生にならないの?」という質問がされ、教員を目指していない人は困ることが多い。事実、インターネット掲示板の2chでは教育学部の就職活動についてネガティブなスレッドも散見される。

そこで、この記事では教育学部=教員というイメージが深く根付いてしまっている現代において、


  • 教育学部出身者が実際にはどのようなところに就職しているのか

  • 一般企業・教員就職率はそれぞれどれくらいなのか

  • 教育学部出身の人が一般企業の就職面接でどのような事をアピールしていけばいいのか


などの面接の極意まで幅広い内容を徹底的にまとめ、解説する。教育学部出身で教職以外の仕事に就職したい方はぜひ参考にしていただければと思う。

この記事を書いた人

竹内 健登

Kento Takeuchi

東京大学工学部卒。大手一流ホワイト企業の内定請負人。就活塾「ホワイトアカデミー」を創立・経営。これまで800人以上の就活をサポート。塾はカリキュラムを消化した塾生のホワイト企業内定率100%を誇り、カリキュラムを消化したにもかかわらず、ホワイト企業の内定が出なければ費用を全額返金する返金保証制度を提供中。2019年に『子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法』(日経BP刊)を出版し、「親が子育ての集大成である"就活"に臨む際の必読書」、「これができれば本当に一流企業に内定できる」と話題。塾のYouTubeチャンネルではホワイトな業界の紹介や大手企業の倍率、ESの添削を公開するなど塾の就活ノウハウを一部紹介している。

YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCm1vSnSBj7kksfi8GIBnu0g

なぜ教育学部卒は就職に不利と言われているか

教育学部が就活で不利といわれる理由
教育学部出身の方は「教育学部から一般企業への就職を目指すのは不利」という噂を耳にしたことがあるのではないだろうか。

教育学部は医学部・薬学部などと同じように、固定された職業イメージを持たれてしまうので教職以外の道をイメージする事が難しいのであろう。

確かに資格の取れる医療系・福祉系などに比べ、文学部や教育学部を含む人文系の就職率は低いと言える。また、経済や法など他の文系学部から見ても、人文系はわずかながら低い。

しかし心配することはない。なぜなら志望理由を明確に答えられれば不利になることはないからだ。

私の指導経験上、人文系の就職率が低い理由の一つには人文系で学んだことについて上手く面接で回答できないということが考えられる。

経済学部や商学部は学んだ内容をどのように仕事に活かせるか、という質問に対して比較的答えやすいのに対して、人文系で学んだ内容はなかなか直接的に仕事に活かすイメージをすることができず、結果として就職面接の際に上手く答えられないということになってしまいがちた。

つまり逆に考えれば、教員以外の仕事をしたいことに関しての理由を明確に答えることが出来ればたとえ教育学部出身だったとしても、一般企業への就職をするのが不利になるということは絶対にないので安心してほしい。

各大学の教育学部出身者の卒業後の主な進路

主要大学の教育学部生の進路
それでは、実際に教育学部出身の学生が本当に就職で不利なのかについて、各大学のデータを踏まえて実証する。

①帝京大学教育学部の就職事情

まずはじめに帝京大学の教育学部の就職先をデータをまとめてみたので見てほしい。

業種割合
サービス33.8%
教員16.9%
商社10.8%
情報通信10.8%
小売・流通7.7%
進学7.7%
メーカー4.6%
金融3.1%
建設・不動産3.1%
運輸1.5%

引用:帝京大学教育学部の卒業後の進路実績より筆者作成

帝京大学教育学部では、卒業後に教員になるのはわずか16.9%である。この大学では、大学院に進学する7.7%を除けば、75.4%が民間企業に就職している。その内訳は、サービス業(33.8%)、情報通信(10.8%)、商社(10.8%)と広い範囲を占めている。

②東北大学教育学部の就職事情

東北大学の場合は、卒業後に教員になるのはたったの1%しかいない。これはある種衝撃的なデータであろう。

就職先割合
民間企業47%
国家公務員5%
地方公務員16%
進学19%
その他12%
教員1%

引用:東北大学教育学部より筆者作成

教員以外の就職先の内訳をみると、公務員から民間企業まで実にバラエティに富んでいる。また民間企業の業種も様々であり、非常に多様性があると言える。主な企業進路は以下の通りである。

<主な企業進路>


東北電力株式会社
株式会社ニトリ
三菱電機株式会社
トヨタ自動車株式会社
日本通運株式会社
東日本旅客鉄道株式会社
NTT西日本
株式会社読売新聞
ライオン株式会社
ENEOS株式会社
東京海上日動火災保険株式会社
株式会社村田製作所
アステラス製薬株式会社
三井化学株式会社
東北放送株式会社
公益財団法人日本財団

引用:東北大学教育学部の卒業生の進路

③早稲田大学教育学部の就職事情

早稲田大学教育学部の卒業後の就職先も非常にバラエティに富んでいる。その中で教育関連の進路は7.7%に留まった。その中には塾などの民間の教育機関も含まれているので教員の割合はさらに低いと言える。

<主な企業進路>


  • 日本放送協会
  • 毎日放送
  • 住友商事
  • バンダイ
  • 大塚商会
  • 富士通
  • NEC
  • 日本IBM
  • サントリーホールディングス
  • アクセンチュア
  • etc...

参考:早稲田大学教育学部の進路状況

④信州大学教育学部の就職事情

一方で、信州大学教育学部の卒業後の就職先は約7割が教員である。これは大学内の教員就職支援が充実していたり、教育委員会との連携が強いからである。

とはいえ、3割が民間就職しているので、決して民間就職が難しいというわけではないということが言えると思う。

教員58.0%
公務員5.1%
民間企業等20.0%
進学11.0%
その他5.9%


参照元:信州大学教育学部の卒業後の進路より筆者作成

このように各大学の教育学部の進路はかなり開けている。一方で、上記で紹介した大企業の倍率はかなり高い。例えばサントリーホールディングスの採用倍率は300倍、住友商事の採用倍率は100倍とも言われている。

このような人気企業に採用されるためには相当な事前準備が必要となるため、一口に民間就職といっても、受ける業界や企業によって難易度にかなりばらつきがあるということを覚えておくと良いだろう。

参考記事:食品業界についての記事
参考記事:総合商社についての記事

おすすめの就職先5選

おすすめの就業先
ここからは、教育学部で学んだことをも活かせるおすすめの一般企業就職先を5つ示したい。

  • 教育学部出身だが、初めから教員になるつもりはあまりなかった方
  • とにかくその大学に入りたかったから特に学部を絞ることはせずに大学を受験してそのまま教育学部に入学した方
  • 実際に教育実習等に参加して教員という仕事の想像以上の大変さから教員になることをやめたいと思ったという方

の就職先案の参考にしていただければ幸いである。

1.塾やスポーツ教室

教育学部で人を育てるということを学んだなら、「塾やスポーツ教室を運営している一般企業」に就職するという選択肢がある。このような企業では、入社直後に現場に配属されて子供たちの教育に携わる事ができる。

数年間現場で指導した後には、本社の営業部や企画部、総務部などへの異動を希望することができるので、教育の知識と現場での経験の両方を活かしながら仕事を続けることが可能である。

2.企業内講師

一般企業では、定期的に様々な社内研修を実施している。研修の種類としては、マナー研修やパソコン研修、新入社員研修があるが、こうした「研修を担当する講師」を目指して一般企業に就職するという方法が存在する。

ただし、いきなりこうした講師を任されることは滅多にないので、まずは企業で数年間働き続けた後に、人事部や総務部に異動願いを提出したのち、企業内講師として活躍することが可能となる。

3.玩具メーカー

次にオススメなのが、玩具メーカーである。一見、教員とはまったく関係のない職種に見えるかもしれない。しかし、玩具は基本的には子どもが遊ぶものである。

教育実習を通して「安全な玩具を提供したい」と考えた場合や、教員になるつもりはないけど何かしらの形で子供の生活に関わりたいという方にはおすすめの就職先だと言えるのではないだろうか。

4.金融機関

教育学部出身者から人気な一般企業職として挙げられるのは、地方銀行などの金融機関である。理由としては、金融機関は収入が安定している傾向にあるというところが教員などの地方公務員と重なるからだ。

さらに、「転勤をしたくない」という思いがあるならば、地方銀行はおススメの就職先である。これも、転勤が少ないというところが地方公務員に通ずるのではないであろうか。

ただ、地銀に限らず外資系投資銀行や政府系銀行、証券会社やメガバンクなどの就職倍率はかなりの高くなるので、より一層の就職対策が必要である。

関連記事:金融業界についての記事

5.出版業界

教育学部出身という強みを活かしたいという方々から人気なのは出版社だ。出版社と一括りで言ってもその実態は集英社・講談社・小学館の3大出版社から、教科書出版などの専門出版社まで多岐にわたる。

教科書出版においては、テキストの制作や編集部に携わっていなくても、営業職として自社の本を販売する際、教育学部で学んだ知識を使って、その本の魅力を伝えることに役立つはずである。

また、受験生ガイドなど、全国の大学の受験情報などをまとめている媒体や企業などもあるので、そこで編集兼ライターなどをする際にも、文章に自身の経験を織り交ぜるなどの方法でそれを活かせるのではないであろうか。

一方、3大出版社のような大手出版社への就職を希望するのであれば就職対策において注意が必要である。なぜならこれらの企業は有名で人気がある反面、採用人数が20~30人と少なく、倍率が非常に高いからである。

就活で押さえるべきポイントとは?

内定獲得をするためのポイント
ここからは教育学部出身の就活生が一般企業に就職しようと思った理由を答える際のポイントと、就職活動と教育実習の関係について紹介したい。

教員ではなく、一般企業に就職したいと考えている就活生はしっかりポイントを押さえて、就活に挑んでもらいたい。

ポイント1.絶対に聞かれる質問に対処できるようにする

本来であれば教員免許を取って教師として就職するのが流れではある教育学部出身者が、一般企業を目指す際に不利になってしまうのは、やはり教員以外の仕事をしたい理由が明確ではない場合である。

逆に言えば、その教員以外の仕事をしたい理由をしっかりと答えることが出来れば何の問題もない。

教育学部出身者にとって、天敵とも言えるような2つの質問が存在し、その質問にこれまで何人もの教育学部出身者が苦しめられてきた。以下に質問を2つ列挙する。

質問1.「なぜ教育学部出身なのに教員にならなかったの?」


この質問はまるで、教育学部出身者自身の大学生活四年間のすべてに対して問いをかけているかのような、絶大な重みを持った質問であろう。

しかしこの質問は教育学部出身者が一般企業への就職を目指す際には、絶対に避けることのできない壁なのだ。

この質問を乗り越えられなければ教育学部出身者の就活がうまくいくことは決してない。

ではどうしたらこの強大な壁を乗り越えることができるのであろうか。
以下にポイントを3つ列挙する。

①「教員のことを否定しない」
一般企業への就職を目指す教育学部出身の就活生がやってしまいがちなのは、実習を通して見えた教員の苦労から教員という仕事自体を否定してしまうことである。

教員という仕事は確かにハードで、近年は教えるだけではなく、部活などの管理や、近年問題視されているモンスターペアレントの対応などもしなければならない。

しかし、その大変さを理由に教員以外の仕事をしたいのであれば、なおさら教員のことを否定したり非難したりしてはいけなのである。

他の仕事を否定してその会社への思いを強調をするというのは、面接官にとっては間違いなく逆効果しかないので決してやってはいけないことなのである。

教員という仕事への尊重を忘れず、且つそれでも自分が一般企業への就職を目指したのかということを答えられるように万全の準備をしておこう。

②「仕事として実現したいことが教員ではできない」旨を理由とともに述べる
「私が仕事として実現したいことが教員ではできない」ということをこれまでの体験などから述べていくと、相手はすんなり納得する可能性が高い。

「なるほど、確かにそういうことがやりたかったら教員じゃないよね」と相手に思ってもらうことができれば勝ちと言えるだろう。

③受けている企業で何がしたいかを具体的に答える
一般企業に就職しようと思ったときは、その企業で何がしたいのかを具体的に答えることも大切である。

志望先の企業に入りたい理由はもちろんのことだが、そこでどんな仕事がしたいのか、どのように成長したいのかなどを具体的に考えておく必要がある。

先ほどの玩具メーカーなら、「実習をしていくなかで、子どもが一番手に取るおもちゃに安全を追求したいと感じたため、安全性を追求した商品を企画したい」といったように具体的かつ、教育学部独自の強みを活かすことができれば一番理想的である。

質問2.「将来的に教員になる可能性はあるの?」


この質問は企業側の視点で見れば、教育学部の学生を採用したとして、うちで長く働く意思はあるのかを確認したい質問である。企業側からすれば採用コストがかかっている以上就職活動生には長く働いてもらいたいと思うことは当然である。

この場合は、受ける企業を一番に考えている姿勢を見せることが何よりも大切である。仮に将来教員になる可能性があったとしても、現状の志望理由を明確にして企業とのマッチングを図るべきである。

ポイント2.就職活動と教育実習の重複に注意する

教育学部の就職活動生が苦労するのはおそらく就職活動と教育実習の両立であろう。

教育実習は大体の場合、4年時の5,6月に行われることが多い。一方でその時期は就職活動において、一般的にはエントリーシートの提出や面接などが忙しい時期である。

そのため、できればそれよりも前の段階の2月や3月で民間企業の早期選考で内定を取っておくことが望ましい。

ただ、そのためには緻密な準備が必要となるため、就活塾などの就職のプロを活用すると両立も十分可能になるだろう。

きちんと対策をすれば一般企業に就業できる

準備をすれば民間企業への就業は可能
以上が教育学部の就職活動事情と就職活動にあたってのポイントである。この記事で少しでも就職活動の役に立てたのなら非常に嬉しく思う。

教育学部だからと一般企業への就職が不利になったり、そのことを気にして自信をなくすことは決してない。自分自身が今までの経験の中で学んできたことを踏まえ、企業の採用方針と照らし合わせてしっかりと自分をアピールすることが出来れば何も問題はないのである。

この記事を読んで、しっかりと対策をして就職面接などに臨んでもらえればうれしく思う。

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